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【ゲームレビュー】真・女神転生Ⅴ Vengence 完全版商法の先にあるものとは?

真・女神転生V  Vengeanceのクリアレビューです。
2024年発売のアトラス作品最後のレビューになります。
ストーリーのネタバレを含みますのでご注意ください。

はじめに

私自身ペルソナから女神転生に入り、今年初頭に遊んだメガテン3が初プレイでした。
メガテン5の無印版はプレイしておりません。
基本的に評価は二つのルート共通で行いますが、個別の評価点は区別して記載します。

ゲーム概要

2021年にswitch向けに発売された真•女神転生Vの完全版になります。
新たなルートである復讐の女神編と、新キャラ、新悪魔等が追加され、ゲームも遊びやすくなってています。

あらすじ

創世の女神編
主人公は縄印学園に通う高校生三年生。
平和な日々を過ごしていたが、 ある日トンネルの崩落事故をきっかけにく悪魔>が跋扈する
砂漠と化した東京くダアト>に迷い込んでしまう。 謎の男くアオガミ>と合一し、禁忌の存在くナホビノ>となった主人公は、世界の未来を賭けた、神と悪魔たちの戦いに身を投じることになる。 ダアトでは伝説の悪魔たちが闇から目覚め、東京と人間たちを狙っているのだという。 同級生の敦田ユヅル、太宰イチロウは悪魔に対抗するカ<悪魔召喚プログラム>を使い主人公はナホビノの力を用い、ベテルの一員として東京を守る決意をする。

復讐の女神編
人間を襲い、混沌の世界を作らんとする悪魔たち。そして神の秩序を守らんとする天使の組織<ベテル>。対立するこれらの争いに巻き込まれた主人公は、 ダアトを探索中、く尋峯ヨーコ>と出会い、行動を共にすることになる。 魔法を使用し、共に戦線に立つヨーコと主人公の前に、<カディシュトゥ>と名乗る4人の女魔たちが立ちはだかる。 「見つけたぞ、復活の鍵を・・・・・・」 カディシュトゥ・リリスは、主人公を<復活の鍵>と、そして自らをく虐げられる者>と呼ぶ。果たして彼女たちの目的とは・・?
虐げられた者たちによる復讐譚が、今始まる一

公式サイトより

プレイ状況

創世の女神編:80時間
復讐の女神編:40時間
合計約120時間
難易度:2周全てハード

良かった点

セミオープンワールドの探索

私は今年の年始に女神転生3でメガテンデビューしました。
3はシリーズ初期のダンジョンRPG時代のノリを引きずっているせいで、3Dマップとはいえ窮屈な印象を受けていました。そのため、どちらかというと細かな探索をするというのが私のメガテンに対するイメージでした。
しかし、本作は打って変わっていわゆるセミオープンワールドのようなフィールドになっています。
加えて主人公が高速で移動可能なこともあり、上記のようなイメージは完全に覆りました。(勿論本作にも従来のようなマップは存在します。)
アトラスらしい現実の東京をある程度再現したマップだったのも面白かった点ですね。
また、ミマンというキャラクターを集めて得た力で主人公の能力を解放するという要素もあるのですが、一部難しい場所を除きこれらを集めるのも楽しかったです。

ゼルダブレワイのコログ集めに近い

後述する問題点もありましたが、基本的に探索は面白かったです。(特に序盤マップ)

フィールドはアトラスっぽくない感じ

悪魔合体

メガテンといえば悪魔合体ですが、今作も楽しさは健在です。
特に本作は便利な機能が追加されており、組み合わせを探すのが非常に楽になりました。

逆引き全書合体はペルソナにも欲しい

悪魔の造形

美麗な3Dになった悪魔達も、今作の大きな魅力の一つです。
今回switchでプレイしましたが、P3Rのペルソナよりもグラフィックは上回っていたと思います。
既存の悪魔のグラフィックと今作から登場したであろう悪魔の造形、全体を通じて非常に魅力的に描かれています。

以下お気に入り悪魔達

今回は特に女系悪魔のデザインが色んな意味で魅力的です。

高難易度の戦闘

メガテンの魅力といえば戦闘です。
今回難易度ハードでプレイしましたが、ラスボスに至るまで頭おかしくなるレベルの高難度でした。(自業自得)
マガツヒゲージという必殺技ゲージを貯めて、一気に畳みかけるのが戦闘の肝になります。(会心が強すぎるので一択になりがちなのがたまにキズ)
他にも細かいですがメタファーと異なり次に送るコマンドを貯めることができるのも良かった。

悪かった点

ストーリー

とにかく薄い。マジでこれに尽きます。
特に問題なのが創世の女神編(無印版)のストーリーです。
序盤は非常に興味深い大風呂敷を広げてくれますが、そのほとんどは曖昧、もしくは未回収のまま終わってしまいます。

エンディングも手抜き感がすごい。
終盤にかけて期間や予算が足りなくなったんだろうなという予想が簡単にできてしまいます。

Vengeanceで新登場の復讐編に関してですが、こちらも多少マシにはなりましたが元がアレなので大差ないように感じます。
一周目創世→二周目復讐の順番で遊びましたが、物語の大筋が縛られているせいで、復讐編もそれほど変わりませんでした。
創世編との違いを楽しめたピークは学園編までだったかな...と。(ラフムを倒すあたり)
ただ、アオガミから新たにツクヨミ(越水)と合一するシーンはテンション上がりました。

期待したカディシュトゥも後半は空気

それでも創世編よりマシなのは確かなので今から遊ぶ方は創世→復讐の順に進めることを強くお勧めします。

キャラクター

ストーリーに付随するキャラクターにも問題があります。
キャラクター自体に魅力がないとは言いませんが、バックグラウンドが語られないせいか、全てのイベントが唐突で感情移入できません。

特に無印版でChaosルートにあたる敦田ユヅルに関しては、心情の変化や人間性がほとんど描かれないある意味悲しいキャラになってしまいました。
この他にも多くのキャラが登場しますが、バックグラウンドが丁寧に描かれた例は少ないです。
これらの問題点は復讐編では多少改善しています。

シナリオの被害者的キャラ

マップの高低差

先ほどセミオープンワールド化について述べましたが、これに関しては手放しで褒められるものでもありません。
なんといっても今作のマップは高低差が激しいことが特徴です。
そこそこシビアなアクションで渡っていく必要があったり、マップ通りに進んでも目的地に辿り着けないこともしばしば。
特に前述したミマン集めに関しても、複雑なマップの間に配置されていることが多いので大変です。

特に後半のマップになるにつれて複雑化していくので、最後の方はダルさの方が強かったです。

脅威の高低差で我々を苦しめた千代田区

また、魔王城というこれを上回るクソマップも存在しますが、無印版の時点でアップデートされ、多少マシ(現在と同じ)になったそうです。
そしてこの二つのマップは復讐編では削除されているので、よっぽど不評だったんでしょうね。

お勧め度は?

この女神転生というタイトル自体が好き嫌い分かれやすいものだと思いますが、戦闘と悪魔合体というこのゲームの肝が好きになれる方にはお勧めできます。それこそ100時間単位のやり込みも可能な沼があります。

完全版について

アトラスお得意の完全版商法についてです。
否定的な意見になりますのでご注意ください。

これだけ批判されても完全版商法を続けるのには何かしらの戦略があるからだとは思いますが、売り上げを見ると今回はPS等も含めたマルチになっているのにも関わらずかなり低下しています。
初週の売り上げを比較しても

真・女神転生V:143,247本
真・女神転生V vengeance (switch):31,888本
真・女神転生V vengeance (PS5):18,610本
真・女神転生V vengeance (PS4):6,367本
計56,865本

ファミ通より

その下がり幅はP5→P5Rの時の比になりません。

ペルソナ5(PS3):72,974本
ペルソナ5(PS4):264,793本
計337,767本
ペルソナ5ザ・ロイヤル:201,448本

ファミ通より

私はアトラスゲーの無印版をある程度覚悟して購入しますが、それはあくまで信者だけであって多くの方にとってはそうではないはすですよね。
お金だけでなく時間がまた余計にかかるのはこのダイパ重視の傾向が強い令和の世の中に逆行しています。
厳しい言い方をすると信用の切り売りにしかなってないように思いますがアトラスはこれをいつまで続ける気なんでしょうか...。

さいごに

厳しい意見も出しましたが、私も100時間以上遊んだようにゲーム自体は非常に面白かったです。
次回作をどのような方向性で作るのか楽しみです。

今年はメタファーをはじめとしたアトラスゲーが大変豊作で嬉しかったですね。
逆に来年以降力尽きてしまわないか心配ですが。
ここまでご覧いただきありがとうございました。

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