割り切る　2023J1第3節 神戸4-0G大阪

ネタラヴィを封じた齊藤‐大﨑‐山口の中盤　前半戦

・GKは３試合連続で前川が先発。DFライン右から高徳、菊池、山川、初　瀬。中盤はアンカーに大﨑が入り、IHに蛍と齊藤。FW右に武藤、中央に大迫、左には汰木が入った。
・前節不在だった高徳、途中出場した菊池と負傷者続出していたDF陣が続々と復帰してきているのは嬉しい。さらにトゥーレルが戻ってきてくれれば心強いのだが。
・神戸は前節同様に前線からの統一された守備が目を引く。ファーストディフェンダーの大迫、武藤、汰木はやみくもにいかず、後ろの選手の動きを確認しているのがよく分かる。
・開始３分。いきなり先制点が決まる。右サイドのスローインを高徳がしっかり頭で跳ね返し、回収した蛍がワンタッチで武藤へ。
・キープした武藤は内側を走る蛍に出そうとするが、相手に引っかかる。これを拾った高徳は、ランニングをやめなかった蛍に再度パスを送る。
・G大阪はマークの受け渡しがはっきりせず、至る所でズレが発生。ポケットに侵入することに成功した蛍はマイナスのボールを大迫に合わせる。
・シュートはジャストミートしなかったが、結果的にGKのタイミングを外すことに。早い時間帯で先制点を奪うことに成功した。
・G大阪は１８番のネタラヴィ選手がアンカーに入り、存在感を見せる。自身を囮に使いながら、周囲の選手を使う術にも長けている。また、身振り手振りで味方に指示を出し、ポジションを修正させている。
・ネタラヴィの指示もあるのか、IHに入った宇佐美のポジションがいい。いつものドリブルと振りの速いシュートも健在。クロスバー直撃のシュートは肝を冷やした。これが入っていたら、展開は変わっていたはず。
・神戸は大﨑がアンカーでどっしり構え、背後のスペースを管理する。おかげでIHに入った未月と山口が思う存分前に行けていた印象。警戒していたネタラヴィには徐々にボールが入らなくなった。2人のボールハンターを活かすためのこの配置は効いていたのではないだろうか。
・前半途中で菊池が負傷交代。急遽、本多が左CBに入る。これまで2試合このポジションを務めており、安定感のあるプレー。上背はないものの身体能力が高く、危険察知も優れている。京都さんはなぜこの選手と契約更新しなかったのだろう。

咄嗟の判断力が光る　後半戦

・47分、高徳の追加点。蛍のクリアから左サイド汰木が仕掛ける。グラウンダーのボールは大迫に合わなかったが、強烈なシュート。GKが右に弾いた。
・高徳が猛ダッシュでこのセカンドボールを回収。斜め後ろに大﨑が来ていたので一瞬預けようとするが、内側が空いていることに気づいた高徳は左足でのシュートを選択。黒川に当たり、方向を変えたボールはゴールに吸い込まれた。
・G大阪が後半前に出かかったところでの追加点。このゴールは大きかった。

・66分、武藤のヘディング。CKの場面。PA中央に立つ大﨑の後ろに武藤が隠れるようにポジションをとる。相手DFもマークにつく。
・キッカーの初瀬がボールを蹴った瞬間、武藤は大﨑の体を回り込むようにスルスルと大﨑の前に入る。マークについていた選手は大﨑の体にブロックされるような形になり、ついていくことができなかった。
・ゴール後に大﨑がベンチに向かって手をあげていたので、おそらくこれはデザインされたプレーだったのではないか。

・72分、4点目。右サイドでボールを受けた高徳が、中央から右に走りこんだ武藤に出す。この時、左ＣＢ三浦が武藤の対応に当たったため、ＣＢがサイドにつり出される形に。
・見逃さなかった高徳は進行方向を斜めに切り替え、インナーラップ。武藤から間を縫うようなパスが通る。
・この時、高徳の近くにいた鈴木やネタラヴィはついていかず（右ＣＢ江川に任せた？）。江川はＰＡに迫ってきていた大迫や蛍が気になったのか、高徳に寄せることはなかった。
・時間と余裕を与えられた高徳は思い切り右足を振りぬく。ニアサイドをぶちぬく強烈な一撃が決まる。これは見ていて気持ちがよかった。

　これで今季早くも3勝目である。昨季3勝達成したのは何試合目だったろうか。3試合だけではあるが、首位にも立ち、嬉しい限りである。高徳が試合後のインタビューで答えていたように、昨季終盤からの戦い方を継続できていることが明らかに開幕からの好調につながっている。結果のために全員が割り切り、労を惜しまないサッカーを続けている。
　この戦い方を成熟させてほしい一方で、涼しいうちにボールを保持する戦い方も徐々に選択肢に入れてほしいところ。高温多湿な気候や連戦が続くと今の戦い方は難しくなってくるはずだ。サンペールやイニエスタの復帰時期にもよるだろうが、次のプランＢ、プランＣも準備し、試しておいてほしいと思う。
　次節はルヴァンカップを挟んで、ホームに浦和を迎える。今日のスタジアムの雰囲気も素晴らしかった。次も熱く激しい一戦になるだろう。