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視点ー「カーボン・ニュートラル」に潜むウソ 前編

    地球温暖化が叫ばれるようになって久しい。我々の生活から発生する二酸化炭素が、温室効果ガスとなって地球温暖化を促進。環境にマイナスに働くという、「二酸化炭素悪玉論」だ。



    「カーボン・ニュートラル」とは、カーボン(炭素)をニュートラル(中立)にする、即ち温室効果ガスの排出量と、吸収・除去量をプラスマイナスゼロにしようという考え方である。



    日本では、2020年10月に菅首相が「2050年にカーボン・ニュートラルを実現する」と宣言。経済界もバックアップし、「カーボン・ニュートラル」に全面賛成だ。まさに猫も杓子も「カーボン・ニュートラル」なのである。



    ちょっと待ってもらいたい。果たして「カーボン・ニュートラル」は正しいのか?実は、二酸化炭素が地球温暖化の元凶であるという証明も、まだなされていないのだ。



    二酸化炭素を多量に排出する火力発電が、電力の7割を占める日本の現状では、「カーボン・ニュートラル」と言っても、掛け声倒れに陥りそうだ。水力を始め風力、太陽光、地熱、バイオマスなど、代替エネルギーをクリーンなものに求めても、開発コストが何十兆円と多額に及ぶ。



    さらに、バイオマス発電を例に取ると、バイオマスを生産するために森林を大規模に開発する必要があるため、生態系の破壊など、クリーンエネルギーの開発そのものが、環境に悪影響を及ぼす、という意見もある。



    一方、化石燃料に頼る火力発電からの脱却として、原子力発電に回帰する動きも見られる。日本でも、運転開始から40年を経過し、廃炉が順当だった原発の運転延長が決まったり、技術的に危険を孕むエネルギーへの見直しが進むという現象も顕著だ。



    世界を見渡しても、石油・石炭・天然ガスなど、化石燃料にどっぷりと依存している経済システムでは、「カーボン・ニュートラル」の実現はとても無理だと、私は思うのだが。若者に「カーボン・ニュートラル」の実現可能性をアンケート調査したところ、過半数が「無理」と答えているサンプルもあるほどだ。



    こう書くと、陰謀論のそしりを免れないのだが、そもそも誰が「カーボン・ニュートラル」と言い始めたのか?それにに乗っかる企業も、「新たなビジネスチャンス到来」とばかりに賛同しているケースもままあろう。



    日本人は、「SDGs」や「カーボン・ニュートラル」など新しい取り組みに、すぐ飛びつく癖がある。中身を熟慮し、真意を図ることもないままに、言葉が独り歩きしている。日本人はお人好しである。流行りものは、盲目的に信じてしまう。何事にもウラがあることを見抜く目を持ちたい。
    

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