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SPIの性格検査を技術で切り抜けたあの頃

「回答に一貫性がないようです。素直に答えていますか?」
と分析されたのがこの間の会社のストレスチェック。大真面目に素直な回答を選んでいるのに、それが矛盾しているとは何事かと、私はひどく憤った。

しかしあなたも覚えがないだろうか。就活をするときに必ず見ることになるSPIの性格検査だ。あれも矛盾した回答をしてしまうと、同じように矛盾していると診断が下される。

しかし人間の思考は矛盾するものだ。あるところでは善悪を基準に判断し、あるところでは身内の利益を最優先し、あるところでは自分一人で行動することを好む。人間は一貫しているものではなく、場面場面で自分なりのこだわりを発揮するものではないか。

しかし性格検査はそれを許さない。回答の傾向を見て、この人はじっくりと思考する人だ、この人は素早い判断をする人だ、この人は協調性がある人だ、などといって安易な型にはめてしまう。

話によるとSPIの性格診断は心理学の知識を応用したものらしい。研究の結果一定の妥当性が確認された、なんて論文もある。私が安易にバカにしていいほどあやふやな検査ではないようだ。

しかしその偉大な性格検査は、私を矛盾した男だと断定する。就活生だった私はそれはそれは必死こいて傾向と対策を考えた。まるで受験だった。

私は理系だったし大学院に在籍していたので、なんとなく研究職に就きたい欲があった。では技術屋に重宝がられる診断結果はどうすれば引き出せるのか。

調べてみると、質問には「思考力」に関する回答を意識した方がいいと書かれている。技術屋になりたいなら慎重さとデータに基づく選択肢が、営業職なら協調性を意識した選択肢が有利らしい。なるほどそういうことか。これは性格診断ではなく適職診断なのだ。当時の私の対策はそれなりに功を奏した。

しかし同じことがストレスチェックでも起こった。つまり、素直に答えると矛盾していると言われるのだ。SPIはともかく、ストレスチェックは適職診断ではない。社員が壊れる兆候を察知して救い出してあげるものではないのだろうか。「素直に答えていますか?」の分析結果が出たときは本当にがっかりした。

そういえば、巷ではMBTI診断なんてものが流行っている。いくつか質問に答えると、自分を16のパーソナリティのどれかに分類してくれるものだ。私も流行り初めにやってみて、INFJの診断が下った。提唱者という性格らしい。

提唱者にとって「成功」とは、地位や財産だけで測られるものではありません。

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ほぉほぉ、確かにそうかもしれない。私にとっての成功は単に財を築くことじゃなく、人々に何かを与えられることだ。

善悪について明確な理解がある人たちですが、だからといって世界を理想化したり美化したりしているわけではありません。

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なるほどその通りだ。私はずっとそういう主義を貫いてきた。私は善悪についていつも深掘りしているし、リアリストだからな!

率直かつ現実的に、直感と知識にもとづいて状況の判断をする傾向もあります。

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おー!最高だ!まさしく私のことを言い当てている!
直感と知識!その通りだよー!直感とは膨大な知識が無意識化したもの……!

とまあ喜んだはいいものの、今見ると生成AIで作り出したような文言だ。バーナム効果をフル活用したような診断結果ではないか。なーんだ、結局お遊びに過ぎないのか。

そう思ったのだが、SPIの性格検査なんかより、よっぽど私の自尊心を温めてくれた。どうやら性格診断の中でも私が大好きなタイプのそれだったらしい。女の子との雑談にも使えるぞ。やったー!

それだけでいいのに、なんでストレスチェックでは矛盾してるなどと侮辱されたのだろう。なんだか本当にバカバカしくなってくる。

性格診断は遊び程度に付き合っていくのが私の性に合っているのだろう。

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