全国規模でみれば、(医療安全は)有事・平時の活動いずれもが不十分で、大きくばらついています。例えば、すべてのインシデントにおいて医療ミスかどうかを正しく鑑別し、余分に医療費が発生したなら医療機関で確実に負担するといったこと一つとっても、できていない医療機関が多いです。しかし、患者安全の歩みは想像を遥かに超えるペースでスピードアップしているのも事実です。優れたリーダーを養成すること、医療者全員が患者安全をオプションではなく中核業務と認識すること、理想と現実のギャップをエネルギーにするという品質管理の根幹姿勢を浸透させ、定量的なものさしが社会実装されるなどすれば、日本の患者安全はさらに発展すると信じています。間違ってはならないことは、私たちが闘うべき相手は患者や社会ではなく、医療に潜むリスクそのものだということです