成人発達理論から見るリーダーシップと交渉学 −1-
vol.0010
■下記の論文から
『成人発達理論から見るリーダーシップと交渉学』渡邊竜介
日本説得交渉学会誌 2019年、Vol。11、p1-13。13p。
▶︎はじめに
本稿では
1、変化に適応するためのマインドセットの変化とはどういうことなのか?
2、それがリーダーシップ、そして交渉学にどういった意味があるのか?
についてロバート・キーガンの成人発達理論の視点から検証してみる。
▶︎キーガンの成人発達理論
成人以降の心理的発達について研究・検証し、人間の発達理論を政治まで拡大した。
キーガンの成人発達理論の大きく2つのコンセプト(Bergeer,2012 ;
Kengan,1982,1994;田村・渡邊・渡邊,2019)
1つは構成主義的発達理論
1つは主体・客体理論
構成主義的発達理論(constructive-developmental theory)とは
構成主義と発達主義というふたつの概念をミックスした理論
構成主義:人は自分を取り巻く世界や経験を、自分のレンズを通して独自に
構築して意味付けていると言う考え方
発達主義:人間は生涯にわたって発達すると言う考えた
成人の発達とは=マインドの変容(マインドとは考え方や思考法のこと)
マインドが複雑さを増していくほど、より複雑な課題に対応することができるとキーガンは考えている。
主体・客体理論(subject-object theory)とは
マインドが複雑さを増していくほど、より複雑な課題に対応することができるとキーガンは考えているが、マインドが複雑さを増していくとは一体、どういうことだろうか?
キーガンは人が構成する世界の主体と客体の関係性を見るlことによって、マインドの複雑度、成人の発達度を測定することができると考えた。
主体:我々にとってのブラインド・スポットを示す。我々は主体を見ることも言語化することもできない。我々が無意識のうちに当然と思い込んでいる概念、自分にとっての絶対的な価値観や真実(心の奥底に根付いた価値観)である。
↕️その逆
客体:それが何であるか、明確に定義することができ、説明することもできる。自分として責任を取ることもできる。
↓↓↓つまり
我々のマインドは、主体に定義されながら客体を定義していると言える。
キーガンの考える発達とは
主体を減らしていって、客体を増やしてくというプロセスつまり、主体と客体の均衡バランスの変容と言える。
今日の私の面白Point:これは以前読んだ論文の「成熟」の概念と同じ?
キーガンが考える発達、主体と客体の均衡バランスの変容とは、塹江清志が『日本的リーダーシップ能力の向上方策について』で書いている、「自己洞察」によって自己の無意識のそうにある自己の「影」を「自己認識」することによって、当人の「意識された」心の領域は広くなる。このことを、「心が広くなる」、「内面的成熟」、「精神的成長」という。(『日本的リーダーシップ能力の向上方策について』塹江清志 日本経営工学会誌 Vol.42 No.1(1991)P47)そのものじゃないのか⁈
興味深すぎて、noteへのまとめが後回しになる。この論文のまとめの続きは明日!