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第21回 平和をもたらす"安心"の本質とは


ー PROLOGUE ー

 2024年8月マンスリーゲストは、認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事 鬼丸昌也さん。東京都世田谷区へ逢いにいってきました。

地雷撤去の活動、元子ども兵の社会復帰支援をはじめとする国際協力事業や、国内における平和教育・啓発事業を行い、「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を目指し奔走する鬼丸さんの経験や価値観に今回は注目します。

鬼丸さんの「いい」が未来にもたらすものとは。インタビューの様子を全4回にわたり配信します。

2024年8月マンスリーゲスト 認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事 鬼丸昌也さん

ー INTERVIEW ー

 鎌倉投信プレゼンツ「Finding the GOOD」今回のマンスリーゲストは、認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事 鬼丸昌也さんです。鬼丸さん、引き続き宜しくお願いします。

 宜しくお願いします。

24年間活動を続けていると、ある程度、自立を叶えた人達も見えてくるのかな、と想像できるのですが、実際はいかがでしょうか。

 そうですね。いろんな変化があります。例えば、ある一人の元少女兵、モニカ(仮称)は、13歳でウガンダの武装勢力に誘拐され、2年間拘束されていました。ここでは言えないような体験をして、自分の村に帰っても、加害者とされて、差別や偏見を受けていました。テラ・ルネッサンスの支援により、洋裁の技術訓練や、平和教育というカウンセリングを兼ねた心のケアを受けることで、自分の心を見つめ直し、洋裁店を開き、自分で稼げるようになりました。そうすると、周りにいる村の貧しい女性たちが、モニカに聞くんです。「どこでその技術を学んだんだ?」と。モニカが、「テラ・ルネッサンスだよ」と答えると、「じゃあ、私達にもテラ・ルネッサンスは教えてくれるのか」と。

 希望する全ての人を支援したいですが、資金にも人手にも限りがあります。どうしても優先順位をつけなくてはなりません。私達は、元子ども兵をメインに支援をすると決めています。モニカは正直なので、「テラ・ルネッサンスはお金がないらしいから、元子ども兵にしか教えてくれないよ」と伝えます。すると、その貧しい女性達は、とぼとぼと家に帰っていったそうです。その姿を見たモニカは、すぐさま、お金を借りて、自分の洋裁店の隣の部屋に8台ほどミシンを並べて、学校を開いたんです。延べ人数で100名を超える女性達に、洋裁の技術を教えています。つまり、「助けられていた側が、助ける側になる」ということです。紛争や戦争によって、人間性が根こそぎ奪われるわけではない。そこに光を当てることが、私達にとって大事な支援なのだろうなと思います。

 東日本大震災が起き、テラ・ルネッサンスとして被災地支援をするかどうか迷っていた時に、ウガンダから一本の電話がありました。それまで支援してきた元子ども兵士たちや、ウガンダ人の職員達が話し合って募金を募り、5万円ほど集まったと。ウガンダでは、公務員の平均月給が7千円。レストランのウェイターの月収が3千円。その国の5万円ですから、価値がわかりますよね。「いつも支援してくださる日本の皆さんが、今、本当に大変な状況にあるので、このお金を使って毛布を買ってください」と。そして、さらにもう一言、こう言われたんです。「それで、テラ・ルネッサンスは何をするんだ?」

 同じ日本にいて、あなた達は何をするのか、と問われたのです。良い問いは、良い答えを導きます。その問いがあったからこそ、ご縁のあった岩手県大槌に復興支援をすることができました(大槌復興刺し子プロジェクト「大槌刺し子」の活動はこちら)。つまり、私達にとって、フィールドが学校であって、支援を受けてくださる皆さんが教師であって、そこで起きる課題が教材なのです。まさに支援とは、相互学習であり、相互理解であり、相互支援です。その考え方を、支援者の皆さんにも理解していただきたい。だからこそ、寄付という形で関わってほしい、仲間として一緒に取り組みませんか、という呼びかけをしているわけです。

一人の自立が、未来を明るくしていく。その成果が、この24年間で、しっかりと見えてきているのですね。

 そうですね。一人の幸福ほど偉大なものはありません。世界平和を叶える一番の方法は、まず自分自身がしっかりと幸せになることです。何かを我慢させてまで途上国の支援をしてもらおうとは思いません。一人ひとりの"満ち溢れた幸福"が、世界に行き渡るのです。幸福を創り出していくことこそが、世界平和を創るのだと思います。これも、鎌倉投信の投資先の企業の皆さんが、私達に教えてくれていますよね。

鬼丸さん自身の幸福とは?

 私の幸福とは、私自身も含めて全ての人が、その可能性を阻害されず、発揮できている環境があることです。その方が楽しいですよね。深刻な課題ですが、深刻な環境に人は集まりません。真剣に取り組めば、人は楽しく明るくなります。真剣と深刻は違いますからね。

鬼丸さんご自身は、普段、福岡を活動拠点にしているそうですね。世界中を飛び回っているかと思いましたが、そうでもないとか。

 そうなんです。私、頷くのは得意なんですけど、英語が話せないのです。でも、英語を話せないことが良かったなと思っているんです。英語が話せないからこそ、支援とか海外のことは私以外の人に頼むしかなかった。だからこそ、テラ・ルネッサンスは広がったのです。NPO、NGOにとって、一番大事な経営資源とは何か。それは、ビジョンとミッションと同時に、"できないこと"です。なぜなら、"できないこと"ができる人との"のりしろ"となり、運動が広がっていくからです。私達のできないことは、誰かのできること。そう思っています。

認定NPO法人テラ・ルネッサンスは、「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を理念に掲げていらっしゃいます。この「安心」とは一体どういった状態なのでしょうか。安心の本質をどのように捉えていますか。

 そうですね。安心とは、自分が生きていることに対して、不信感を持たず、「自分は、自分と誰かのために、ささやかでも役に立っている」という自覚を得られている状態かと思います。だとすると、自分だけが幸福であっても安心は得られない。誰かの役に立っている、誰かに求められているという自覚こそが安心。他者の幸福があってこそ、本当の深い安心が得られるのだと思います。しかもそれが、長い時間軸によって行なわれ続けることで、いい状態につながるのだと思います。

平和をもたらす安心を、みんなで得るために、誰もができる、今すぐできる、アクションのヒントをいただけませんか。

 3つあります。まずは関心を持つこと。自分に、そして世界に。自分を起点に少しずつ関心の輪を広げていってもらいたいです。次に、周りの人に伝えること。例えば、「今日こんな話を聞いたよ」とか「あのラジオ番組いいよ」とか、なんでもいいんです。周りの人に伝えることで、自分の気づきを周りと分かち合っていくことができます。最後に、できることを少しずつ続けること。例えば、寄付をするならば、一回だけでなく、何回か続けてみる。でも、しんどくなったら休んでもいいと思うんです。止めるのと、休むのは違いますからね。疲れたら休めばいい。また力が湧いてきたら、また歩んでいく。その歩みの中で、自分と周りの幸福を創っていくことで、安心をみんなで得ていくことができるんじゃないかなと思います。

私達にできることが、たくさんありますね。ありがとうございます。最後に、テラ・ルネッサンスのPRも含めて、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 ありがとうございます。テラ・ルネッサンスは遠い国の課題に取り組んでいますが、世界の課題は私達の暮らしと密接な関係があります。私達の関わりの変化こそが、世界の変化に繋がります。その関わりの一つの形として、寄付があります。みなさんと一緒に世界を変えていきたいと思っています。テラ・ルネッサンスに直接寄付いただくこともできますが、佐賀県のふるさと納税を通じて、ご寄付いただくことも可能です。佐賀県産の美味しいものをいただきながら、世界を想うということも、いい支援の形だと思います。「テラ・ルネッサンス ふるさと納税」で是非検索してみてください。

ありがとうございました。鎌倉投信プレゼンツ「Finding the GOOD」今回のマンスリーゲストは、認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事 鬼丸昌也さんでした。鬼丸さん、本日はありがとうございました!

ありがとうございました!

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ー Podcast ー

今回のインタビューを聴きたい人はプレイリストでチェック!

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ー CONCEPT ー

〜これからの社会に本当に必要な「いい会社」に投資する〜
鎌倉投信が提供するラジオ番組『Finding the GOOD』
全国を飛び回りゲストとクロストーク。
ものごとの「よさ」とはどこにあるのか。
さぁ。「いい」を探す旅に出よう。

ー PLAY LIST ー

これまでの放送は公式チャンネルプレイリストでチェック!

ー Instagram ー


写真家モロイユウダイ撮り下ろしインタビューショット
イラストレーターほりはる描き下ろし線画など
見つけた「いい」を集めています。

ー Youtube ー

収録前後の様子やインタビューの全貌をノーカット版で公開しています

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