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findが目指す「落とし物が必ず見つかる世界」 —シリーズAにて総額7億円調達!創業者が「超オープンに」語る調達の舞台裏

findの高島です。このたびシリーズA調達の報告ができて嬉しく思います。資金調達への捉え方は立場によっても様々ではありますが、findの事業・組織・プロダクトの価値・期待が認められて資金が集まっているということですので、私はfindのメンバーと共に胸を張ってこれを報告します。

調達の内容はプレスリリースがありますので、このnoteでは私から今回の調達背景を、findのバリューである「オープンでいこう」のもと、赤裸々に語りたいと思います。特にこのフェーズでは珍しいであろう①プロパーでの数億円のデット調達、②創業株式の一部セカンダリー取引に触れますのでぜひお目通しください!

オープンでいこう(findバリューのひとつ)

なぜ、今シリーズA調達を実施したのか


我々が提供している「落とし物クラウドfind」は2023年5月の京王電鉄さん向けの正式リリースから世の中で使われるようになりました。正式リリース後はシードラウンドを実施し、初期メンバーを拡充し、必死にコンセプトをお客さまに伝え、足りない機能を気合と根性でカバーしてきました。できてなかったことも多いですが、石に噛り付いてまで課題解決にコミットするメンバーと、ビジョンに共感いただいた素敵なお客さまに助けられました。少数精鋭の組織で「みんなで作るfind」を掲げ、ひとつひとつ課題をクリアし、約1年半が経過。気づけば契約先は20社を超え、Product Market Fit(PMF)からGo to Market(GTM)のフェーズになりました。我々のプロダクトはお客さまの意思決定から導入までに時間がかかることもあり、実現済みのARRは1.7億円ながら、導入内示をいただいた案件は4倍以上に積みあがってきました。
 
findは、半年前まで小さいチームで小回りきかせてPMFを達成することを目標にしており、開発チーム3人・ビジネスチーム3人という驚愕の少数精鋭の状況でした。どれだけ少数精鋭かという小話をすると、エンジニアは日々の運用保守の傍ら一人毎日2000行近くコードを書き、カスタマーサクセスは既に一人MRR600万円分の案件を対応していました。

そこで前述した案件増とPMFの確かな手ごたえをもとに、GTMに向かう初期の組織作りの採用をここ半年ほど急ピッチで進めてきました。そうすると、もちろん沢山のお金が先行して会社から出ていくわけですが、意思決定から導入までのリードタイムが長いということはキャッシュインのタイミングは後になるのということなので、まとまった資金調達をしようと調達活動をスタートすることになりました。

2024年2月時点のコアメンバー(少ない!)

銀行融資の舞台裏


半年前時点では「エクイティはなるべく先延ばしにしよう」という考えのもと、INQの若林さんからご紹介いただいたマジリス中辻さんとタッグを組み、「2億円ほどを銀行借り入れにチャレンジしよう」と動き出しました。10行以上の銀行さんと面談を重ね、findの事業の成長性と健全性、良好なパイプラインについて語りました。ここでとても驚いたのですが、スタートアップへの取引実績のある銀行部隊の方々から面談中に「ARPU」や「LTV」などの単語が出てきたことです。中辻さんからは今のfindならしっかり銀行調達できる」と言われていたものの、ほんの半年前に1000万強の追加融資を実行するのに大変な思い(当然、経営者の個人連帯保証)をしていた私は、正直半信半疑でした

でも、話をすると、この銀行窓口の方々であればしっかりfindの事業理解をいただき、本質的な融資の判断をくださる、そんな直感を持つことができました。そして結果的には、当初「2億円いければ」と思っていた銀行さんの融資オファーはなんと10億円近くとなり、枠を絞らせていただき数億円程の融資を実行いただいた形です。いわゆる「ベンチャーデット」と呼ばれる、先行投資過程にある赤字スタートアップ企業への融資は、銀行さんにおけるリスクプレミアムも大きいため、短期間(3年以内)、金利は5%以上、そしてストックオプション付きなどが慣行ですが、なんと今回のfindの調達では5年、金利3%前後、プロパー(無担保無保証)という好条件で融資をご実行いただくことになりました。

今回、findの成長性を評価いただきスピーディーにご実行いただいた、三菱UFJ銀行五反田支店の樋口さま・丸尾さま、みずほ銀行浜松町支店の藤井さま、北國銀行の中村さまには大変お世話になりました。ありがとうございます。そして、そういった銀行キーマンをしっかりお繋ぎいただいたマジリス中辻さん、セーフィー佐渡島さんにも併せて感謝しています。

エクイティの舞台裏


起業家の至上命題とも言えるエクイティ調達。資本市場においては株式調達でも色んなプレイスタイルがありますが、スタートアップは新株発行による第三者割当増資がメインで、特に新株発行をすることでの希薄化をどこまで許容するかはよく議論されるところです。findは前述の銀行借入の感触もあり、「銀行調達をメインに置こう!エクイティは自己資本比率を上げて銀行融資をいただけるレベルにする程度の少額実行、すなわちプレシリーズA程度の位置付けにしよう」と考えていました。エクイティ調達を行おうとすると株価の目線感を持って投資家コミュニケーションへ臨んでいくわけですが、今回はDual Bridge Capitalの伊東さんの出会いから急発展する形になります。

伊東さんとは2024年7月にICC KYOTO 2024の公開ピッチ練習の場でお会いしました。起業家のピッチへフィードバックを行う審査員のお一人として参加されていて、「ぜひ話を!」とその場でお声がけいただき、後日個別にMTGしました。伊東さんのニッセイキャピタル時代のバックグラウンドや2023年4月に新設したDual Bridge Capitalのことをお聞きし、率直にワクワクして興味がわきました。その後同じく代表パートナーの寺田さんとも一緒にお話をし、「一緒に仕事をする」イメージが沸きました。ICCの小林雅さんがよく言っている「即断・即決・即実行」が私はとても好きで、自分でも実践するよう日々努めているのですが、DBC伊東さんはまさにそれを地でいっている方です。当初は少しエクイティ調達すればいいという程度で考えていましたが、DBCさんをリードにして、「一緒に仕事をしたい方に声をかけてしっかり調達をしよう」と考えを新たにし、エクイティラウンドがスタートしました。事業を大きくするためには「希薄化を過度に恐れないこと」の大切さをICCのイベントで1000億円以上企業の先輩起業家やCFOの方々から伺ったことも背中を押された形になります。

HIRAC FUNDさんとは、創業前から佐藤匠さんとfindを共同創業した和田が知り合いだったため、コミュニケーションを取っていました。なんと匠さんの奥さまはfind初期から活躍されている落とし物チャットオペレーターでもあります(いつもありがとうございます)。銀行調達をしっかり行っていくfindにとって、LPに多くの銀行さんがいるHIRAC FUNDさんは魅力的です。そして担当の甚野さんは本当に20代?と思う辣腕ぶりで「この人と仕事がしたい、というか未来のCFOで来てほしい」と感じるほど。代表の金坂さんからの直接のメッセージもいただき、出資が実現しました。
 
DIMENSIONさんとは、キャピタリストの古家さんは前々から私にアプローチいただき、定期的に連絡・面談をしてくださり、本質的に事業のことを理解する姿勢が伝わりました。ファンドサイズが100億円ほどの先につき、今回の枠では厳しいかなと思いつつ、ICCリハ会場で宮宗さんとも縁があったこともあり、思い切ってお声がけさせていただきました。私はGojo & Comapanyの慎さんを大変尊敬しており、五常に初期から出資している宮宗さん、という憧れもあったのは事実です(笑)  宮宗さんと古家さんとのディスカッションは大変有意義で、事業・金融・組織、色んな観点で起業家を力強く後押ししていることがよく伝わりました。

ベータ・ベンチャーキャピタルさんは、前回シードラウンドのリード投資家。今回も追加出資をいただきました。東京生まれ東京育ちの創業者2名がつくった東京本社の会社のリード投資家が九州のVCというのは我ながらユニークで好きです。ベータ代表の林さんは、2年以上前にJR九州さんをご紹介いただき、提案がばっちりハマったことで、「これ九州で落とし物が必ず見つかる世界いち早く作れそうじゃん!」と一緒に盛り上がりました。当時50社近くのVCと面談しましたがどこも振り向いてくれない中で、林さんは我々の未来を信じて1年半前のシードラウンドをリードいただきました。今回のラウンドの意思決定にもfind目線での的確なアドバイスをくださり、フォロー出資も実行いただいた形です。林さんは「ベータは文化に投資をするVCです」と言っているのですが、企業文化・カルチャーこそが企業の競争力の源泉と本気で信じている私(『WHO YOU ARE』『ビジョナリーカンパニー』は愛読書です)にとってもすごくフィットしたVCだなと考えています。

今回のVCの皆さまとは、しっかり信頼関係を構築し、この先の大きな成長を一緒に実現していきたいと考えております。改めてありがとうございます。

投資家もお招きした先日のオフィス移転パーティ

そして、エクイティはまだ先だと出たICC KYOTO 2024でしたが、結果的に伊東さんや宮宗さんらとの出会いのもと今回のディールへと繋がったことになります。小林雅さんをはじめとするICCチームには大変感謝しています。

セカンダリーの舞台裏


創業者個人のキャッシュフロー問題も、会社の資金調達と同じくして起業家の至上命題とも言えるもの。相応の厚みを持って創業後を過ごせるのは連続起業家や外資系金融・コンサル出身者くらいではないでしょうか。私も和田も庶民なので、自分達の少ない資産を切り崩してfindを創業し、役員報酬は当初1年間は月3万円(たしかギリギリ社会保険に加入できる最低額)でした。私に至ってはそもそも資産がほぼなかったので、先輩起業家や家族にも頭を下げて借入れをしており、実のところ半ばカイジ的状況の時期もありました。findがPMFの手応えを感じ確かな成長をする中、私個人のキャッシュフローはfindの成長イメージとは乖離があるものでした。そんな中、ヤプリ庵原さんと元SmartHR宮田さんがセカンダリーを実施していたという記事を見て、大変勇気をもらいました。和田とも「IPOがみえてきたら、いつかどこかのタイミングでセカンダリーはやってみたいよね」と話をしていました

セカンダリーとは、プライマリーと呼ばれる新株発行や公募増資のような新たな株を発行して買うのと異なり(買い物で言うと新品?)、誰かが持っている株式を誰かが買うこと(中古?二次?売買)です。まさかこのタイミングで行うことになるとは調達活動前には考えていなかったのですが、①投資家との需給、②ヤプリ庵原さんとの会話を経て、今回実行するに至りました。

①投資家との需給
当たり前ですが、株式取引は「売り手」と「買い手」が互いの満足する価格で取引は成立します。新株発行は優先株式で行うことが一般的で、創業者が持つ普通株式については双方合意されたディスカウントがかかります。今回、創業者で「売り手」ある高島・和田が「このバリュエーションだったら規律あるごく少数の株式を現金化してもよい」と考え、投資家と合意をできた形です。また、今回の新株発行側では前述した銀行借入が好調につき、発行株数を抑えたため、新規で入る投資家の保有比率確保といった狙いもありました。

②ヤプリ庵原さんとの会話
ICC KYOTO 2024でお話する機会があり、思い切って本件について相談してみたところ、「きっと投資家も理解してくれるから相談してみたらいいよ」と背中を押していただきました。

具体的な金額は触れませんが、大金持ちになったわけでは全くありません。「数年後のIPOで価値の上がる株だからごく一部でも放出はしない方がいい」という話ももちろん出ましたが、高島・和田にとって例えば今の1000万円と5年後の1億円を比較したときに、どっちが重要で価値があるか?を考えたときに二人とも即決で「今」を選びました。findのバリューに「波が良かったら海に行こう」を掲げているのですが、これはプライべート・人生を思い切り楽しんで充実させようというもので、「今」に価値を置いた我々らしい意思決定だなと思います。

波が良かったら海へいこう (find4つのバリューのひとつ)

実行後は、高島は個人でお世話になっていた方に返済ができ、これからの生活を安心して過ごせそうな水準の個人残高になりました。借りたお金を返した際に「あの高島さんがこんなに立派になって」と先輩方から逆に感謝・感動されて、私もはなんて恵まれているんだと実感しました。経営者が事業に集中できる環境にいることは実はとても大事で、理解いただいた投資家、findメンバー、ほか関係者のみなさま、そして一緒の方向性で伴走してくれた和田には本当に感謝しています。

なぜセカンダリーをやったことをオープンにするか。3つの理由があります。
1つめは、同じくらいのフェーズで苦しんでいる起業家はいるはず。プラクティスとしてオープンにすることで、一人でもそんな方の役に立てればと思いました。
2つめは、アメリカ等諸外国に比べて、日本ではとにかく未上場株の流動性が低いため、こういった取組をしたことをオープンにし、資金調達の際に投資家・発行体両方が頭の片隅では考え得るオプションになれば、もっとスタートアップ起業が身近になり、発展しやすくなるだろうと思ったからです。
3つめは、株式価値のダイナミズムをfindメンバーにも知ってもらいたいということ。この先、IPOなどのタイミングが訪れたら一緒に頑張ってきたメンバー全員でリターンを得たい。その背景でfindでは毎年比較的大きめのオプションプールをメンバーに配付しています。実はその価値はとても高く、夢があるんだということを感じてもらえるようなきっかけになればと思いました(もちろん顕在株式と潜在株式は流動性における差異などはありますが)。

少し話がそれますが、「波が良かったら海へいこう」エピソードとして、10月下旬から2週間休みをもらって人生初のアフリカへ一人旅いってきました。エジプトではピラミッド、ケニアではサファリなど、大変貴重な時間を過ごしました。快く送り出してくれたメンバー、特に私が不在の間に調達クロージングをしっかりまとめてくれた管理部長の奥田に感謝です。

セカンダリーといっても放出はごくごく一部。引き続き創業経営者&大株主として、ますますエネルギーをもって事業成長にコミットします。

ケニアの広大すぎるサバンナ

findが目指す未来への挑戦


さて、調達の舞台裏はここまでです。今回の資金調達によって、今の落とし物クラウドfindをしっかり面にしていくドライブをかけていきます。落とし物周りの課題を解決する新機能を続々と構想しています。たとえば、ワンストップでfind導入施設全ての落とし物を検索できる「横断検索機能」や、今やfind利用者の5%近くを占める海外の方向けに200以上の言語に対応する「ユニバーサル find chat(仮名称)」などです。実は、もうすぐfindに登録される累計の落とし物数は100万件になります(年内までにいくかも、、、?)。しかし解決すべき落とし物の数は日本国内だけでも年間8000万件近くあります。まだまだこれから。ギアを入れなおして事業開発に没頭していく所存です。今回のnoteは調達の話なので、事業・プロダクト・組織についての思いは今後のnoteやリリースでしっかりお伝えしていきます。

ユニバーサル find chat(仮称)のイメージ

世界初の「落とし物の社会インフラ」、一緒につくりませんか?


2024年12月はちょうどfind第四期目のスタート

findは正社員ベースで13名、業務委託・パートタイムを含めると50名弱のまだまだ小さいスタートアップです。コミュニケーションと効率化という両立が難しい2つを追求し、自身も周りも一緒に成長できる環境を自負しています。チームやお客さまと一緒に作ったものが、普段の生活の身の回りで使われ、落とし主や現場係員の方から「本当にありがとう」と直接メッセージをいただくことは、言葉にならないやりがいがあります。興味をお持ちいただけたら、是非いつでもカジュアル面談しましょう!

はじめてのnoteで張り切ってしまい、長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。最高です!!

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