世界一わかりやすいTOB(株式公開買付)
こんばんは、BUDOUです。
今日は、TOB(公開株式買付)に着いて書きたいと思います。
1. TOB(株式公開買付)とは
TOBの概要
TOBとは株式公開買い付け(Take-over Bid)のことであり、多くの人々に株券を売ってもらうように勧誘し、取引所外で株券を買い付けることを言います。
TOBは、企業の買収や再編、非上場化などに利用されます。
通常、株式会社を買収するときには親会社や創業者などの株主から株式を買い取ることによって会社の所有権を移行します。その会社の全体、あるいは持分がいくらに値するかを計算し、交渉を重ねて買い取る形になります。
しかし、上場しているなどして株主が非常に多くいる場合には、一人一人と交渉を進めることは困難です。そこで、「この株を〇〇円で買い取ります」として売り手を募ります。
これがTOB(株式公開買付)です。
TOBプレミアム
TOBプレミアムとは、TOBによる買付価格と市場株価との差分を言います。
株価が100の時に、株価120でTOBを行うとTOBプレミアムは20%となります。
株主の立場で言えば、保有している株式についてTOBが行われている時には、通常よりも高い価格で買い取ってもらうことができるので、お得なタイミングだと言えます。
TOBの流れ
TOBの流れは以下のようになっています。
まず買い手はTOBを公表し、新聞などに掲載しなくてはなりません。これは、不公平な取引が生まれることを防ぐためです。買い手は買付の期間や最低/最高取得株式数、買付価格などを発表します。
次に、対象企業は買い付けに対する意見を表明します。ここで、株主に対して売却を推奨したり、反対することもできます。対象企業は買い手に対する質問事項を作成することもでき、買い手はこれに回答します。
買付期間が終了すると買い手は公開買付報告書を提出し、結果的にどのくらいの応募があり、何株取得することができたのかを発表します。
2. TOBへの対抗策
「友好的TOB」 vs 「敵対的TOB」
TOBには、「友好的TOB」と「敵対的TOB」の2種類があります。
対象企業がTOBに対して賛成している場合には友好的TOB、反対しているときは敵対的TOBです。
TOBには非上場化や組織再編などの目的もありますが、敵対的TOBが成立する時には買い手と対象企業が別々の意思を持っていますので、買収のケースが多くなっています。
敵対的TOBを予防するには
敵対的TOBを事前に予防するには、敵対的TOBを仕掛けられる前に
・新株予約権を設定しておく、取締役や従業員に多額の退職金を設定しておくことなどによってTOBのコストを増加させる
・マネジメントバイアウト(MBO)を行い、経営陣自ら株主になる
などの方法があります。
敵対的TOBに対抗するには
敵対的TOBを仕掛けられてしまった場合の対抗策には、
・他の、もっと好ましい買い手を見つけてTOBをやり返してもらう
・買い手企業に対してTOBをやりかえす
・買い手企業の悪い噂を流して撤退させる
などの方法があります。
3. TOBの事例 〜東芝の場合〜
毎年何件ものTOBが行われていますが、記憶に新しいのは東芝ではないでしょうか。
東芝は2023年9月21日、日本産業パートナーズ(JIP)をはじめとする国内連合によるTOBが成立したと発表しました。
株主の応募比率は78.65%と、成立に必要な66.7%を上回り、2023年12月には上場廃止されました。
背景には、東芝では2015年に発覚した粉飾決算以来、経営の混乱が続いてきたことがあります。
混乱を納めるため、東芝は株式の非公開化を含む戦略的選択の公募を実施しました。
この時のTOBは、JIPら国内連合の、「東芝を非上場化し、経営の安定化を図る」とする提案を受け入れた形です。
東芝自ら戦略の公募を行い、株式の売却も推奨しているので、「友好的TOB」であることがわかります。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?
M&Aに関連する用語はアルファベット3文字であることがやたら多く、内容も似たようなものばかりなのでできるだけわかりやすくまとめてみました。
誰かの役に立てれば幸いです!