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ラムリンピック2021ダークラムを語る(限定品編)

🥇金メダル エンモア 1990-2016 OVER25YO ウッデンポットスティル by Bar Lamp(ガイアナ🇬🇾)

東京銀座バーランプさんのボトリングが今年の頂点に立ちました。
南米ガイアナのヘビータイプのラムです。
2021年6月にリリースされたEnmore2002(写真下)は
エンモア蒸留所が持つ木製連続式蒸留機で
これは1978年に閉鎖したVersaillesヴェルサイユ蒸留所の木製単式蒸留機です。閉鎖後 蒸留機はエンモア蒸留所に移設され、1994年のエンモア蒸留所閉鎖までエンモア名義で稼働してました。1995年にウィットブルグ蒸留所に移設、1999年に閉鎖後 現在のダイアモンド蒸留所に移設されました。
ボトラーズはVSGと表記してます。
エンモア蒸留所内にて2種の蒸留機があった混合期を楽しんでみてはいかが?

エンモア2002 ウッデンコラムスチル

🥈銀メダル アプルトン ハーツコレクション1995(ジャマイカ🇯🇲)

velier社のLuca Garganoと
アプルトン マスターブレンダーJOY SPENCEのコラボボトル。
アプルトン初のポットスチルのみで作られた原酒熟成庫20万樽から10樽を選出。
1994、1995、1999の3本がリリースされた。
イギリス系のラムにビンテージが入るのも画期的です。
2019年のラムコネクションでアプルトンブースを担当していた私に、ルカがこのプロジェクトを教えてくれたのが懐かしい。

ラムコネクション2019でヴェリエのルカガルガーノ、スリーリバース大熊氏

🥉銅メダル ヴューサジュー 4年 ヴェリエ(ハイチ🇭🇹)

こちらもヴェリエのルカガルガーノ氏のリリースしたシュガーケーンスピリッツ。ハイチの地酒クレランはラム酒とは呼ばないが、更にクレランは熟成させない為このボトルはクレランですらない。あまり長熟させるつもりは無いみたいですので、トロピカルエイジングの4年はブラックシップ的存在。
2021年はハイチで大規模な地震が起きた年。サトウキビのプランテーションで歪な産業構造になり、世界の最貧国の一つと言われる。せめてハイチの酒を飲んで支援の一環に。目黒のラムバーロマニさんではバルバンクールの売り上げの一部をハイチに支援金として送金する取り組みをされていました。



4位ニューヤーマス1994 トロピカルエイジング 26年(ジャマイカ🇯🇲)

京都 Rum&whiskyさんと 銀座 Bar Lampさんのコラボボトル。
ジャマイカ アプルトン蒸留所の姉妹蒸留所 ニューヤーマス。
定元氏と中山氏共通のシンガポールの友人Marcus  Chng氏の新ボトラーmalt,grain&cane からjapan edition初リリース。
ニューヤーマスは欧米でも大変人気が出ていて、このjapan editionはシンガポール、欧州でも販売されました。

5位 ラム ヴェルビュー1998(フランス グアドループ🇬🇵)

ダモワゾーが所有するヴェルビュー蒸留所からの一本。
西荻窪のラムバー「ラムヘッド」さん12周年を記念して、吉祥寺スクリュードライバー(ラム協会会長海老沢氏の店)さんのボトリング。
ラムバーのオーナーからの推薦が多かったボトル。コロナ禍で大半のbarが閉まっていた為ラムラバーの口に届く機会が少なかった為若干順位を下げた要因か?
長期熟成によるアグリコールラムの芳香を楽しんで貰いたい。

日本代表🇯🇵ナインリーブスエンフリプティッドIV

竹内氏が滋賀県で作るラム酒。黒糖をお湯で溶いて発酵させる作り方はハイテストモラセス製法を拡大解釈した製法であるが、ラム酒友の会ではアグリコールで無いダークラムとして分類させて頂きます。
「エンクリプテッドⅣ」は、ナインリーヴズのブレンデッドラインの第四弾です。コラボレーションブレンダーの土屋氏はバーランプの中山氏と共にナインリーヴズの立ち上げにアドバイザーとして参画しています。
そう言えば2021年は漫画「レモンハート」の古谷先生がお亡くなりになりました。レモンハートはラム酒の銘柄であったので余計に寂しい出来事でした。古谷先生がエチケットを書かれたナインリーブスが以前発売されていたので、どこかのbarで見かけたら飲んでみて下さい。

レモンハートのマスター(左)とK6西田さん(右)

レモンハート151

ダークラムまとめ
2021のダークラムの限定品はウイスキーマーケットの相場上昇につられた年であったと思う。閉鎖蒸留所のカロニのリリースは遂に10万円に届きました。ファンキーテイストと呼ばれるエステル香の強いジャマイカのラム酒はヨーロッパのウイスキーラバーに人気で、今回4位に選ばれたニューヤーマスも5万円を超える価格であったが即時完売でした。
銀メダルのアプルトンプロジェクトは今後のダークラムマーケットを予感させる一本。ポットスチル100%のラム酒をブレンドラム酒と区別しシングルモルトに対抗できる熟成酒にする事。またアグリコールラム以外にもビンテージを入れる事は画期的なトピックスであったと思う。その中心人物がヴェリエ社のルカガルガーノ氏であり彼こそが今のラム酒シーンの中心に居る。
また、国内外を問わずボトラー(セレクト瓶詰め業者)がラム酒をリリースするは今や当たり前になっている。来年以降も限定品のトップのボトルの価格上昇は止まらないと思う。楽しみ反面、懐には厳しい時代が到来する。
それでも美味しいボトルが色々リリースされると思うのでウイスキー好きも巻き込んでラム飲みの裾野が広がれば嬉しいものである。

定番品編もご一読下さい

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rumclubjapan 長谷川幹洋
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