「この1年のアウトプットは前職の数年分」大企業出身エンジニアがスタートアップで手にした成長スピード
こんにちは。Finatextホールディングス 広報担当、ミヤカワです。
Finatextグループのメンバーを紹介していく社員インタビュー。今回は、保険事業のバックエンド開発を担うエンジニア、今中公紀さんにお話をうかがいました!
開発内製化と技術力のアップデートに奔走した大企業時代
– 本日はよろしくお願いします!今中さんは大学院で物理を専攻した後、大手旅行会社に新卒で入っていますよね。
物理学が好きだったので元々研究者を志望していたのですが、実際に研究生活を送ってみると、もっと身近なところで自分の能力を活かせる仕事につきたいと思うようになり、途中で民間企業への就職に切り替えました。プログラミングの経験はあったのでソフトウェアエンジニアになろうと思い、プロダクトを世の中に出すことに興味があったので、ITベンダーではなく事業会社を中心に見ていました。その中でも大手を選んだのは、組織規模の大きい会社のほうが失敗させてもらえそうというか、色々とチャレンジしやすいかなと思ったからですね。
– なるほど。前職の大手旅行会社ではどのようなチャレンジをされたんですか?
私が入社した時期は、ちょうど社内開発チームを立ち上げようとしていたタイミングでした。当初はわずか4名のチームで、BtoCの旅行サイトから社内システムまでさまざまなシステムを内製化していくことに。しかもチームメンバーのうちエンジニア実務経験者は1名のみで、私を含む2名が新卒。そんな状況下でしたので、自ずと1年目から幅広い経験を積むことができ、一通りの開発スキルを身に付けられました。
当時、スキルアップのために勉強会やカンファレンスによく参加していたのですが、開発のトレンドを学ぶうちに、自社の環境がかなり遅れていることに気付いたんです。コード管理をGitでやっていなかったり、CI/CD環境がなく毎回手動リリースだったり。そこで、私が主導する形で技術のアップデートを行い、Goやスクラム開発、DDD、CI/CD、ヘキサゴナルアーキテクチャなどを採り入れました。
– 理想的なチャレンジとスキルアップをされている印象ですが、失敗もあったのでしょうか?
試行錯誤の連続だったので小さい失敗は色々やっていますが、私が人生最大の失敗経験だと思っているのが、インドのオフショア拠点の立ち上げプロジェクトです。ある日、オフショア開発をやろうという話がトップダウンで降りてきまして、現地でブリッジSEとして2か月間そのプロジェクトに関わりました。しかし、社内システムにつながらなくて開発が進まなかったり、仕様書がすべて日本語で書かれていたりと、色々とカオスな状況で。私自身のマネジメントスキルの不足もあってうまく立ち回れず、最終的に納期に間に合わせることができませんでした。今思い出しても苦い経験です。
自分の実力を試したくて選んだスタートアップという道
– 成功も失敗も色々と経験してきたんですね。転職を考えたきっかけは何だったのでしょうか。
経験の浅いエンジニアが多い環境で、自分なりに勉強しながら4年弱が経っていたのですが、自分の実力がどの程度なのかを確かめたくなったんです。そのために、ハイレベルなエンジニアがいる環境で働いてみたいな、と。
転職先として考えたのは、自社のプロダクトを持っていて、そのプロダクトに対する自分自身の寄与度が高く、関われる技術領域も広そうな環境。となると、おのずと大企業ではなくベンチャー企業を中心に検討することに。
– Finatextのことは元々知っていたんでしょうか。他にも候補はあったと思いますが、Finatextを選んだ決め手も聞きたいです。
Finatextを知ったのは、エージェントの紹介でした。他にも何社か紹介されていて、不動産や金融のベンチャーが候補にあったと思います。Finatextでは保険のチームで「Inspire」というプロダクト(SaaS型の保険基幹システム)を担当すると聞いていました。当時はローンチから間もなく、これからグロースさせていくというフェーズが魅力的でしたし、保険というレガシーな分野に切り込もうとするFinatextのアプローチも興味深かったですね。
最終的な決め手は、代表の林さんです。面接後に長文のメールをいただきまして、そこには私に対する鋭い分析と、その内容を踏まえたFinatextのアピールがたっぷり書かれていました(笑)。面接では自分のマイナス面をそこまで話してはいなかったはずなのですが、あっさりと私自身の課題が見抜かれていた上に、「Finatextならその課題を乗り越えられる理由がこれだけある」と。その内容はもちろんのこと、代表自らがこれだけの熱量で向き合ってくれるという点にも惹かれました。
誰も管理しないのに、開発が爆速で進むという不思議
– 続いて入社後の話に移りますね。まずは担当されている業務内容について聞いてもよいでしょうか。
保険チームで主にサーバーサイドを担当しています。これまでに、Inspireの「保険金承認機能」や「自動送金機能」などの機能改修をしました。あとは、つい最近まで半年間ほど、日本生命グループのニッセイプラス少額短期保険(以下、ニッセイプラス少短)様へのInspire導入プロジェクトに、PM兼実装担当として関わっていました。
– 入社して約1年が経っていますが、大企業からスタートアップに来てみてどうですか?ギャップなどはありましたか。
個としてのエンジニアのレベルも、社内の開発体制のレベルも、前職とは全然違いますね。CI/CDでプロセスが自動化されていたり、Infrastructure as Codeが導入されていたり、モダンな開発体制が整っているのが素晴らしいです。ギャップという意味では、組織がフラットすぎて衝撃でした。
– 衝撃とは、具体的にどのような……?
前職での慣習から、「何かをするためには誰かの承認が必要」という感覚が染み付いていました。上司の承認を得ないと物事を進められないのも、関係部署に根回しをしておかないと横やりが入るのも、もはやそういうものなのだと。
Finatextには、そういうしがらみがありません。プロジェクトで一度役割を担ったら、各人が裁量権を持って、自分自身がベストだと思うことをスピーディーに実行していくのみ。必要に応じて周りに相談することはあるけれど、自分の意思決定に他人の承認は必要ありません。最終的なオーナーシップを持っているのは自分ですし、決断するのも自分なんです。
– 各々がそれぞれの判断で自走していて、承認フローもないと。その状態でチームとしてはワークするものなのでしょうか?
それが、ワークしているから不思議なんです。しかもすごく綺麗に。正直、今までの組織の形とは違いすぎて、きっとどなたも直感的に理解できないと思います(笑)。
でも、技術的にも人間的にも優秀な人たちが集まり、その人たちが現場に入り、そこで考え抜いて出した結論であれば、基本的にはそれがベストである可能性が高いんですよね。そこに形式的な承認はいらない。例えば、上司の承認を得るためだけの資料作成みたいなタスクがないので、時間効率は圧倒的によくなります。その分だけ深く考え、速く手を動かせる。だから、パフォーマンスも高いんだと思います。
– なるほど。ちなみに、案件やタスクの管理はどのように行っているのでしょうか?
いわゆる「管理」を誰もしないというか、それぞれが自分自身の管理をするのみですね。私も以前の感覚であれば、誰がマネージャーで、誰がチケットを管理して、という構造をイメージするところですが、そのような体制だと今お話ししたような動き方はできません。自分自身でやりたいこと・やるべきことを把握し、それを誰にも管理されずに自分でコントロールして進めます。といっても、それは自分のことしか考えないという意味ではなく、お互いがやっているタスクや状況は見えるので、「他の人は大丈夫か」とか「大変そうなら手を差し伸べよう」とか、そういうチームワークは常に働いています。結果として、フラットな組織ながら、パフォーマンスとチームワークが高次元で実現できているのかなと。
エンジニアリングの幅を広げ、見える景色を変えたい
– 続いて、今中さん自身が普段の業務、特にエンジニアリングで意識されていることを聞いてもよいでしょうか?
DDDやアーキテクチャ周りはサービスの保守性・拡張性に強く影響するので、SaaS開発では特に重視するべきだと考えています。SaaSのサーバーサイドには色々な企業が関わっていますので、簡単にリプレースなんてできません。ましてや保険の基盤というクリティカルな分野ですので、まず第一に障害が起きないように、万が一起きても復旧しやすいように、あるいは保守や機能追加もしやすいように作る必要があると思っています。
– 実際のプロジェクトでは、そのあたりをどのように考慮されていますか。
最近まで関わっていたニッセイプラス少短様へのInspire導入プロジェクトの例でいうと、先方の要望の中に、Inspire自体には載せられない機能が一つあったんです。しかしInspireは元々、そういう類の要望が出てくることを見据え、独自にロジックを組めるような設計で作られていました。コアに対して間にgatewayを挟み、そこでロジックを吸収するようなイメージです。今回はそこにニッセイプラス少短様専用の管理画面を設けて作業のしやすさも担保することで、Inspire自体に載せるという手段は取らずに、先方の要望を叶える折衷案を実現しました。
保険や金融領域はドメインが複雑なので、モデリングをしっかりしないとドメインロジックが流出して、一つのロジックを直すのに色々なところに手を入れなきゃいけなくなったり、最悪デグレが起きたりします。より本質的なモデリングをするための設計力は、この1年でだいぶ磨かれたと思いますね。
– なるほど。そういった難しいモデリングのスキルはどうやって磨いていますか?
色々なユースケースを想定してモデリングを考え、悩んだときは先輩エンジニアに壁打ちみたいな形で相談に乗ってもらっています。同じチームにテックリードの山崎蓮馬さん(※)という方がいまして、「こういう要件に対してこういう設計ってどうですかね」と自分の案をぶつけるんですけど、本質を突いたモデリングかつ、開発効率や将来の拡張性まで考えられた全然違う案が出てきたりして、かなり勉強になります。普段のビジネスサイドとのミーティングでも、エンジニアとしての視点を超えて、ビジネスとしてこうあるべきみたいな意見をガンガン主張されるので、そういう提案力や思考力という意味でも刺激をもらっています。
※山崎蓮馬さんのインタビュー
– まさにハイレベルなエンジニアと仕事している感じですね!以前と比べて、自分のアウトプットは変わったと感じますか?
そうですね。前職では、上司の承認を取るとか、他部署の合意を得るとか、あとはメンバーのマネジメント業務をするとかで、ほぼ開発なんてできていないようなものでしたので、アウトプットの量はまるで違いますね。前職の数年分を1年でやっている感覚です。質については自分ではっきりと差分を自覚しづらいところもありますが、周りからは成長していると言ってもらえているので、伸びているんだと思います(笑)。
– そんな今中さんにとって、これから伸ばしていきたい分野とか得意領域があれば教えてください。
開発だけではなく、エンジニアリング全般的に動けるのが理想だと思っていて、そこは意識して広げていきたいと思っています。当たり前ですが、自分が知っている範囲の中でしか思考も提案もできません。ですので、その選択肢を増やさないことには、意思決定の質や解像度も高まっていかないと感じています。
– やはり、周囲のハイレベルなエンジニアはその選択肢を豊富に持っていると感じますか?
としぽんさん(※)というインフラに強い方がいるのですが、以前話していた際、私では全く思いつかないソリューションを薦められたことがあって。そのとき、もしそれを知っていたらパートナー企業への提案がだいぶ違ったものになったなあ、と痛感したのを覚えています。インフラをほとんど触ったことのない状態で入社し、今はTerraformでインフラ構築の自動化などはできるようになりましたが、まだまだ広げていく必要があります。インフラだけでなく、フロントエンドやプロジェクトマネジメントも、今後は身に付けていきたいですね。
※としぽんさんこと孝橋稔章さんのインタビュー
– 素敵な意気込み、ありがとうございます。最後に余談なのですが、今中さんは最近はまっている趣味があるとか。
はい、昔からうどんが好きなんですが、昨年子どもができて外食に行く機会が減った代わりに家でうどんを打つようになり、そのままハマってしまいました。香川のうどん粉を用意して、ちゃんと足で踏み、手打ちしています。下準備も含め2〜3時間かけて作りますね。
– だいぶ本格的!うどん作りの腕も成長していますね!
手前みそですが、最近はお店で食べるものに近いコシや喉越しを再現できるようになってきたような気がします(笑)。ただ残念なことに、うどんを切るのが絶望的に下手くそでして、その作業だけは妻にやってもらっています。そこは今後の課題ということで……。
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▼今中さんのMeety
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