【アイディア#31】ベルマークって?
ご家庭でお子さんと試していただきたい、ちょっとしたフィナンシェ(金融家)なアイディアをご紹介します。今回は「ベルマークを親子で学ぶ」です。
認知度の高いベルマーク。私の時はなかったのですが、娘の小学校では収集中。どのクラスが最も集めたか、校内放送があるそうです。ところで、皆さんはベルマークの仕組み、ご存じでしょうか…?
■ 仮想通貨でいうマイニングのような感覚…?
ベルマークというと「寄付」のイメージが強いと思います。しかし、行動を起こさないと、寄付できるお金は生まれないのです。行動、というのはベルマークの付いた商品を買い、ベルマークを切る、集めて数える、というもの。このベルマークをコツコツ集める行為、仮想通貨のマイニングとちょっと似ているような気がします。仮想通貨ほど環境負荷はかかりませんが、ベルマークを会社別に分けて何点か数える行為はマイニング並みに大変な作業ですし、行動しないとお金が使えない、という意味です。
最近は、ウェブベルマークというものもあるようです。こちらは、楽天やふるさと納税などででき、初回登録+ネットショッピング前にウェブベルマークのサイトをクリックする仕組みになっています(学校の指定も可)。
マイニングという言葉は、子どもにとっては分かりにくいので、普通に「ベルマークを集める」と言っていますが、自分が集めないとお金が発生しないよ、という点は伝えてあげるポイントかなと思います。
■ マイニングしたお金は、銀行に預けられる
そして、集めたベルマークは一旦ベルマーク財団に預けられ「ベルマーク預金」になります。ベルマーク財団=銀行、のような感じです。
ベルマークを商品に付けている企業(協賛会社)は、点数が集まった分だけ寄付。ベルマークで買い物できるよという企業(協力会社)は、ベルマーク預金と学校で使う備品を交換してくれます。
つまり、私たちが払ったお金の一部を「商品にベルマークを付けた企業」が学校に寄付し、その寄付金は「買い物できるよ企業」の売上としてお金が循環する、という仕組みです。
娘の小学校では、「今年はベルマークで本を●●冊買いました」等の報告が子どもたちになされるそうです。
■ 自分の学校以外への寄付にもつながる
寄付金は全部、「買い物できるよ企業」の売上になる、というような印象を受けますが、売上の10%は国内外の学校への寄付に使われるそうです。ですので、学校に販売した企業も寄付をしている、という構図とも言えるかもしれません。
ちなみに、2019年度のベルマークは約4億円分が集まったそうです(19年度決算報告書を参照)。
■ 小学校では対象商品を教えてもらっただけ…
このように、さまざまなお金の流れがあるのですが、小学校では「ベルマークの対象商品はこれです」というチラシをもらっただけ。どのような仕組みでベルマークがお金になるの? 寄付ってどういう意味、どんな役割? 自分たち以外に喜ぶのはどんな人? などといった基本的な説明はありませんでした。
子どもたちは集めることが自体が楽しくなり、クラス別に競い合ったりしがち。でも本来の目的や、お金の循環がどのように社会に影響を与えているのか、という視点を盛り込んで欲しいなと思います。
実際、娘に話したところ「ふーん…」と言ったリアクションでしたが、学校の中でお話いただけると、受け取り方もまた異なるかもしれません。
もしお子さんの学校で、お勤めの学校でベルマークを集めていたら、
・「切って集める」行為でお金に生まれ変わるものがあること
・自分が支払ったお金の一部が、学校に使われることになること
・ベルマークを学校が使うことで、他の子どもたちにも寄付されること
を伝えてみてはいかがでしょうか。
参考文献:『な~るほど!ベルマーク運動』
また欲を言えば、ベルマークの付いた商品や、ベルマークで買える商品は環境や社会に配慮して作られたという認証もしっかり担保できている、という取り組みになるとより良いのにな…と個人的に思っています。
フィナンシェの会では、「お金がどこからきて、どこへ行くのか」という流れを意識した金融教育を目指しています。他にも、日常生活で子どもとお金のことを学べるさまざまなアイディアをご紹介しています。宜しければ他のアイディアもぜひご覧ください。