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オープンAIやマイクロソフト、エヌビディアも提携するG42とは⁉謎の多いAI第三極の中核企業を解説します。

AI市場で存在感を増すG42

G42と呼ばれる企業グループが、世界のAI市場で日毎に存在感を増してきています。
オープンAIやマイクロソフトなど米国を代表するIT企業とも提携し、半導体のエヌビディアや製薬会社のアストラゼネカとも提携関係を築いています。
注目度の高い投資も実施しています。
AI覇権を巡る米国と中国の熾烈な戦いの鍵を握る存在でもあります。
本記事ではG42についておそらくどこよりも詳細に解説をしていきます。

G42

G42はアラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビに本社を構える企業グループです。
数年前まで中東地域はイスラエルを除くとAIやITの文脈では殆ど触れられることの無い地域でしたが、UAEとサウジアラビアが本格的にAIへと参入し、瞬く間にAIの第三極とでも言うべき重要地域に躍り出ようとしています。
G42はそうした台頭著しい中東のAI市場を代表する企業グループといえます。
一方では情報が極端に少なく、欧米側から見ると謎の多い企業ともなっています。

・名 称 G42
・本拠地 アラブ首長国連邦アブダビ市
・設立年 2018年設立
・代表者 Peng Xiao
・公式サイト 
https://www.g42.ai/

G42はアブダビ発のテクノロジー企業グループです。
テクノロジー投資ファンドや人工知能モデル開発、ゲノム解読など多様なベンチャーで構成されています。
公式サイトによれば、G42は75以上の国籍のスタッフが集まる多国籍集団で、世界中の優秀な人材を結集して研究を進めています。

超豪華な出資陣と提携企業

G42にはアブダビ首長国の政府系ファンドであるムバダラ・インベストメントの他、米国の投資会社シルバーレイクが出資しています。
シルバーレイクは英プレミアリーグの強豪、マンチェスターCの保有率第2位の大株主としても知られる投資会社です。
2024年4月16日には、米マイクロソフトがG42に15億ドルを投資し少数株主となることを発表しています。
G42はオープンAIやマイクロソフトの他、これまでにデル、IBM、エヌビディア、オラクルなどとも提携を結んでいます。

G42グループの構成企業

G42は傘下に以下の企業を抱えています。42社抱えている訳ではありません。

・Core42(AI企業)
・AIQ
・Bayanat
・Hayat Biotech
・Khazna Data Centers
・M42
・Presight
・G42 Expansion Fund

Core42(AI企業)

G42公式サイトより

Core42はデジタルトランスフォーメーションを提供する企業です。エンタープライズAIと国家規模のAIプログラムの提供を可能にする膨大な技術力とソリューションを展開しています。
Core42は2023年10月16日にG42 Cloud、Inception、Injazatという3つの会社が合併する形で設立されたIT企業です。
国家規模のAIソリューションとサービスに注力し、最先端のIT技術を駆使したITプラットフォームを提供しています。
Core42はG42グループCTOでもあるキリル・エフティモフCEOが率い、生成AIに代表される最新のイノベーションに対応したプラットフォームを構築します。
Core42は専門性があり実績のあるスタッフを数多く抱えています。
Core42のアンドリュー・ジャクソン博士 (執行副社長兼最高人工知能責任者)は、旧InceptionのCEO時代にアラビア語の大規模言語モデル(LLM)である「Jais」 の立ち上げに成功しています。
イーサン・アナタウィ(Ihsan Anabtawi) 執行副社長兼最高商業責任者)はマイクロソフトからCore42へと入社し、最近ではマイクロソフトUAEの最高執行責任者と最高マーケティング責任者を務めています。
タタル・アルカイッシ(Talal Alkaissi)執行副社長は旧G42 CloudのCEOを努めていた人物で 、現在は最高製品・グローバル パートナーシップ責任者を兼任しています。

AIQ

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