救急車に乗る 4/9/2023
日曜の朝、俺は前日のゴルフで今年初の80台を出してご機嫌だった。なのに朝から腹が痛い。まぁ空腹のせいだろうと思って、妻が焼いてくれたホットサンドを食べても治るどころか酷くなる一方。仕方がないので布団に戻ったのだが、一向に改善の兆しが見えずトイレに籠ることに。用を足したところで急に世界がブラックアウトし、一気に全身の汗が噴き出してくる。車を呼んで市の救急外来に行こうと思ったが、とても自力では無理そうだ。最後の死力を振り絞り、便器から下りてズボンを上げて、妻の名前を叫ぶ。あわてて寄ってくる彼女に「救急車呼んで」と言ったところで動けなくなる。
ほどなく救急隊が到着し、何とか這いずってシートに横になり、そのまま救急車にインである。喋りたくないくらいの腹痛だが、意識はあるので何とか救急隊員と会話をしていると搬送先が見つからないとのこと。日曜で病院に来ているドクターが少ないとかで、それでも4件目の病院が受け入れてくれることに。
癌とかでこのまま入院してお陀仏だったら嫌だな。昨日が最後のゴルフになるとしたら2バーディーだし、それは悪くないかも。でも、実力以上のスコアだったせいで神様が怒ったのかも。だとしたら、最後の5mのパットは外しておくんだった。それと2月に無理をしてサグラダファミリアを見ておいて良かった。でも、最後に妻ともう一度致したかったなぁ。
などと馬鹿な考えていると病院につき、血液検査をされ、CTに入れられ、点滴を受ける。一向に痛みは引かないが、意識は完全に戻り、少しずつではあるが身体が動くようになる。落ち着いて考えると毎年人間ドックに通ってるのだから自覚症状のある癌とかなはずはないのだ。だとすると盲腸か何かかなと考えていると、ドクターが検査結果を見ながら「大丈夫です。どこも悪くありません。薬を出しますので、今日はお帰りください」と丁寧に口調で、しかしながら「大したことでもないのに面倒かけやがって」という表情で俺に話しかける。この頃には点滴から鎮痛剤を注入されていたおかげで、痛みも我慢できるレベルにまで来ていたので、俺はノロノロと起き上がり、妻が置いておいてくれたカーディガンを着て、靴を履いて立ち上がる。こけそうになったが、何とか自力で立ち上がり、清算を済ませてくれた妻とタクシーで帰宅する。
妻が薬局に行ってくれて処方された薬を見ると、ただのカロナール。ここで藪医者疑惑が頭にかすめたが、そもそも俺が悪いのだ。悪化したら、違う医者に行けばいいだけの話だ。
今日は翌日の月曜である。まだ、腹は痛い。藪医者め、せめて痛みの可能性くらいは教えるもんだろ。そんな俺のLINEにゴルフ仲間から連絡が入る。
5月2日は空いてますぜ。