スナック忘れな草~魂の1点勝負・2024桜花賞~
■ イッテコイ
2024年4月3日(木)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「おいおい、しんちゃん。そろそろやめといたほうがいいんじゃねえか?それじゃあ、イッテコイのコースまっしぐらだぜ?」
タコ社長がカウンターの端から、反対側の端にいる真一郎に声を掛けた。真一郎は、本人にしては割と自信があった今日の兵庫女王盃を外して熱くなり、ナイター開催の川崎競馬にまで手を出していた。
真一郎は昨日の川崎記念で、グランブリッジ流しの馬複がヒットし万馬券をゲットしていた。
一転して今日はハズレが続き熱くなり、あと1,000円、もうあと1,000円だけと追加入金を繰り返す悪い流れだったのだ。
タコ社長が言うイッテコイのコースとは、川崎記念の儲け分をそっくり吐き出してしまうぞという忠告だった。だが結局この日の真一郎は、地方競馬はノー和了(ノーホーラ)に終わり、水曜日の儲けをほとんど持ってかれることになる―
■ 二度あることは・・
「チェルヴィニアの18番をどう解釈するかですね・・・」
マスターがみんなに言った。本命視していた休み明けのチェルヴィニアは、大外18番ゲートを引いていた。鞍上は短期免許のムルザバエフ騎手だ。
桜花賞
8-18 チェルヴィニア
(ムルザバエフ・木村哲也)
「二度あることは三度あるなのか、三度目の正直なのか・・・はたまたそのどちらでもないのか?」
「二度あることは三度ある?」
ギョニ子が首を傾げて訊いた。マスターが答える。
「GⅠにおける木村哲也厩舎の大外18番。実はこれが三度目なのですが、過去二回はいずれも2着なのです」
<18頭GⅠ・木村哲也>
2022 皐月賞
8-18 イクイノックス 2着
2022 ダービー
8-18 イクイノックス 2着
桜花賞
8-18 チェルヴィニア ?着
(木村哲也)
「なるほどなあ。今回も2着なら二度あることは三度ある。1着なら三度目の正直というわけだ?」
タコ社長が目の前にいるマスターに言った。マスターが頷く。
「三度目の正直ではなくとも、二度あることは三度あるが確実・・・つまり2着ならチェルヴィニアが馬連の軸でいいでしょう。問題はそのどちらでもない・・・つまり3着以下だった場合ですね」
みんなが黙ってうなずいた。4着以下ならそもそもの軸選びが間違っていたとあきらめがつくとして、3着という微妙な着順の場合、人気サイドへのワイドなら相手を絞る必要がある。かといって、3連系で勝負するならば人気薄の一発に注意を払わなければならない。それならばと、複勝1点で勝負するほどのオッズ妙味があるかどうか・・・
■ 男の料理教室
「さあ、ここいらでちょっと休憩しようぜ。ママ!例のもの頼むぜ!」
重苦しい雰囲気を一掃するように、タコ社長が明るい声をだした。麗子ママはそろそろ来ると思っていたのか、タコ社長に軽くウインクをするとすぐに準備に取り掛かった。
今日、近所の公民館で男の料理教室に参加したタコ社長は、そこで作った手打ちそばをみんなにふるまうという。
「あら、タコ社・・・いや社長さん!たまにはいいことするじゃない?」
ギョニ子が舌なめずりをしながら言った。右隣の真一郎は軽くタコ社長をいじる。
「そんなこと言って、実は僕たちの分はなかったりして?」
「へへへ。どうだろうねえ・・」
タコ社長がニヤリと笑いながら言った。
「おめえらラブラブカップルの分はねえかもな。もっといい“そば”があるだろう?」
タコ社長の目配せを受けたマスターは、あうんの呼吸で都都逸を披露する。
「信州信濃の新そばよりも あたしゃあなたの そばがいい ですね?」
そういうことだとタコ社長は笑い、マスターに親指でグッドのポーズを見せた。
■ 時そば
「うん!おいしいですよ、社長さん!」
ずるずるとそばをすすった真一郎は、忖度なしの笑顔をみせた。タコ社長がなんのなんのと照れ笑いする。
「ちょっと太さが不揃いなのが、逆に新鮮でいい味だしてるわ!」
そう言ってギョニ子はあっという間にそばをたいらげた。ひとりだけざるそばではなくかけそばにしてもらったマスターは、うまいうまいと言ってつゆまで残らず胃に収めてから、タコ社長のほうを見て言った。
「あー、ごっそおさん。悪いけど今日は細けえのしかねえんだ。いいかい?手を出してくんねえ! ひいふうみいよう・・・」
落語『時そば』の金をくすねるくだりだ。ちゃんと10円玉を15枚用意していたところを見ると、かけそばにしたのはこれをやりたかったかららしい。
「いつむうななやあ・・っと今なんどきだい?」
「ええと、ここのつで」
「とう、じゅういち、じゅうに・・」
「へい!まいどあり!」
15枚の10円玉が乗った両手で拝むようにし、タコ社長はマスターに礼を言った。
麗子ママがまず拍手し、真一郎とギョニ子もそれに続いた。
「ええとそれって落語のなんだっけ、『なんちゃらそば』よね?」
ギョニ子がタコ社長のほうを見て言った。時そばだとタコ社長が教える。
「勘定の途中でわざと時間を訊くことで一枚くすねるっていうのはわかるんだけど、『ここのつ』っていうのは夜の9時でいいのかしら?」
ノンノンノンと、タコ社長は笑みを浮かべながら人差し指を左右に振った。
「そこが素人の赤坂青山ギロッポンだ!いいかい?昔は『十二時辰(じゅうにじしん)』といって・・」
ここからタコ社長の長い講釈が始まる。いつもなら聞かなきゃよかったと、露骨に嫌な顔をすることもあるギョニ子と真一郎だが、今日はおいしいそばにありつけたとあって、真剣に話を聞いている。
タコ社長の説明はこうだった。『十二時辰(じゅうにじしん)』とは、十二支を用いた昔の時刻の数え方である。24時間を12で割るのでひとつの干支は2時間となる。そのため、「ここのつ」と言う言い方をしてもぴったり9時などを示しているのではなく、夜11時から夜1時までのように、それぞれ2時間の幅があるのだ。
「そこまではなんとなくわかりましたけど・・・」
真一郎が腑に落ちないという顔で訊いた。
「11時から1時なのになんで『ここのつ』なんですか?」
もっともな疑問だった。タコ社長はそこも丁寧に説明する。
「昔は外に大きな時計なんかなかったから、鐘を鳴らして時を知らせたのさ。まず3つ打つ。これは今から時を知らせるよという合図だ。少し間を開けて、それから打つのが時の数だ。例えばここのつ打てば夜なら11時から1時、昼なら昼の11時から1時となる。
夜の『ここのつ』は干支の最初の『子(ね)』だし、昼の『ここのつ』は『午(うま)』となる。ここまではいいかい?」
ギョニ子と真一郎が頷いた。
「夜の『丑(うし)』は午後11時から午前1時の『子(ね)』のあとだから、午前1時から午前3時までの2時間・・・怪談話などでよく出る『草木も眠る丑三つ時』は、『丑(うし)』の刻2時間を4等分したうちの3つ目だから、午前2時からの30分となる」
へえーとギョニ子と真一郎が声を挙げた。タコ社長が続ける。
「ええと今でた『丑(うし)』だが、これを『子(ね)』の『ここのつ』からひとつ引いて『やっつ』と呼ぶ。以下、『寅(とら)』が午前3時から午前5時で『ななつ』、『卯(う)』が午前5時から午前7時で『むっつ』、『辰(たつ)』が午前7時から午前9時で『いつつ』、『巳(み)』が午前9時から午前11時で『よっつ』となる」
タコ社長はそこまで一気に言うと、ふたりの理解を確かめるように間を開けた。真一郎がスマホのメモ機能に書いた文字を確認しながら訊く。
「ええと、『巳(み)』の次の『午(ウマ)』は、さっき『子(ね)』と同じで『ここのつ』だと言いましたよね?」
タコ社長が頷く。
「ここのつ、やっつ、ななつとカウントダウンしてきて、なんで『よっつ』から『ここのつ』に戻るんですか?『みっつ』でいいんじゃないんですか?」
最後の『みっつ』でいいんじゃないんですかの言い方は、某女性議員を思わせた。
「いい質問だ、しんちゃん!」
タコ社長がにっこり笑って言った。この質問も想定内だったのだろう。
「最初に言っただろう?これから時を知らせますよという合図は、鐘を三つならすんだと。だから『よっつ』のあとに『みっつ』が来ちまうと、聞いてるほうは『みっつ』の鐘を二度聞くことになり、これから知らせますよという合図の『みっつ』なのか、時を知らせるほうの『みっつ』なのか、こんがらがっちまうというわけさ!」
「ふーん。それで『よっつ』のあとは『ここのつ』に戻るのね」
そう言ってギョニ子は指折り数えはじめた。ここのつ、やっつ、ななつ、むっつ、いつつ、よっつ。ここまでで「6通り」、つまり6掛ける2時間で合計12時間だ。なるほど午前と午後の違いは昼と夜で区別がつくから、昼の12時を含む2時間からは、ここのつに戻ってもいいわけだ。
■ 未と丑
「ええとやっとわかってきました。干支の1番目と7番目、2番目と8番目といった具合に、間を5つ開けたふたつの干支が同じ呼び方のペアになるんですね?」
タコ社長が大きく頷いた。
「『子(ね)』と『午(うま)』が同じ『ここのつ』のペアで、『丑(うし)』と『未(ひつじ)』は同じ『やっつ』のペア・・・合ってますね?」
タコ社長が再び大きく頷いた。
「牛と羊が同じって偶然にしては面白いですね・・ほら?ホーリックスとオグリキャップのジャパンカップを取り上げたときに、マスターがオグリキャップの頭文字『オ』と、ホーリックスの尻3文字『ックス』で『オックス』、つまり『牡牛』だとまとめてくれました」
みんながうんうんと頷いた。先週、日曜の中山にアリエスステークスが新設されていた。アリエスは12星座の『牡羊座』にあたるが、大阪杯は『牡羊座』トリオのベラジオオペラが制していたのだ。
大阪杯
6-11 ベラジオオペラ(4/7生まれ→牡羊座)
横山和生(3/23生まれ→牡羊座)
林田詳来(4/4生まれ →牡羊座)
そこへ来て、高松宮記念が外国産馬1着、大阪杯が地方出身騎手2着という流れ、そしてマッドクールと戸崎圭太の土日重賞がすべて2番だったことから、ホーリックスのジャパンカップへと連想を広げていた。
2023 フェブラリーS
レモンポップ(坂井瑠星・田中博康)
2024 高松宮記念
2番(外)マッドクール(坂井瑠星)1着
2024 大阪杯
2番 ローシャムパーク(田中博康)2着
坂井瑠星と田中博康は、
2023レモンポップのコンビ
ローシャムパーク戸崎圭太(地方出身)は、
土日重賞いずれも「2番」
↓ ↓ ↓
外国馬1着→地方出身馬2着・「2並び」
→2分22秒2で枠2-2のジャパンカップ
(オ)グリキャップ(地方出身馬)
ホーリ(ックス) (外国馬)
→「オックス(牡牛)」
オグリキャップ:ニュージーランドT勝ち馬
ホーリックス :ニュージーランド産馬
「先週が牡羊座、つまり羊。そしてニュージーランドトロフィーがある今週は牛。羊と牛は、十二時辰(じゅうにじしん)だと同じ『やっつ』のペア。十二支が何かサインになるんでしょうか?」
■ 假屋崎省吾
「しんちゃん、それはいい視点かもしれません!」
マスターが目を見開いて言った。
「新しいコンテンツ『ベルサイユのけいばな』。情報量が多すぎてちょっと脇に追いやってたんです。ですが一発目はシンプルに假屋崎省吾からサインが出るとすれば、『省吾』から『正午』・・つまり『12番』という狙いはありかもしれません」
桜花賞
6-(12)ステレンボッシュ
「へえー!『正午』という言い方も干支に関係があったんだ!」
ギョニ子が感心したように言った。マスターが頷く。
「社長さんの説明にあったように、午前11時から午後1時までの2時間が『十二時辰(じゅうにじしん)』の『午』に当たります。2時間と幅が広いので、ちょうど真ん中に当たる時刻を『正刻(せいこく)』と呼びます。そこから、『午』の『正刻』でぴったり12時が『正午』になったというわけです」
みんながうんうんと頷いた。
タコ社長を除いては-
■ 12星座と十二支
タコ社長が腕を組んで言った。
「假屋崎省吾単体から『正午』だから『12番』というのは悪くねえ。ステレンボッシュがビンゴかもな・・・だが、『十二時辰(じゅうにじしん)』で『丑(うし)』と『未(ひつじ)』が同じ『やっつ』のペアだからと言って、それがステレンボッシュにプラスとは思えねえなあ・・・」
みんな黙って続きを待った。
「いいかい?先週が牡羊座で今週は牛という読みは12星座のほうからだろう?そこへ来て今度は干支のほうをやや強引に絡めている・・・干支のほうからも、今週は『午(うま)』だという後押しがあれば、なるほど12番のステレンボッシュは買いだ!・・・そうならねえか?」
みんなが黙ってうなずいた。干支の話になったのは、あくまでたまたまタコ社長がみんなにそばを振舞ったからだ。その話がなく、假屋崎省吾だから正午で12番だと誰かが提案したとして、すぐにみんな飛びついただろうか。
10分ほど休憩を取り検討を再開したが、その後はだらだらとした話が続き進展がなかったため、30分ほどでお開きとなった。
■ 申未午
2024年4月5日(金)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草への途中-
真一郎はスナック忘れな草へと向かって歩いていた。今日は一日中忙しく、競馬を検討する時間はほとんどとれなかった。いつもなら歩きながらAmazonのオーディブルで小説を聞くのだが、今日は昨夜のことを考えていた。
干支のほうからも今週は午だというネタ・・・か。
信号待ちで真一郎は、改めて干支を頭の中で追ってみた。
子(ねずみ)、丑(うし)、寅(とら)、卯(うさぎ)、辰(たつ)、巳(へび)、
午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(いのしし)
「そうか、午も羊の隣なんだ」
思わず声が出ていた。12星座では牡羊座の隣・・次に当たるのが牡牛座だ。一方干支は、午、未、申と続く。
申?
ええとどこかで申が出てこなかったか?
・・・・・・・・!!!
そうか、つながったぞ!干支でも今週は「午」だと言えるネタがあったんだ!
信号が青になると、真一郎は駆け出していた。
■ 伊藤英明
「社長さん、生ビールね!・・じゃなかったママさん生ビールね!」
そう言いながら真一郎はギョニ子の右に座った。ママからもらった生ビールを一口飲み、やっと呼吸が楽になった。
「ええと社長さん、昨日の宿題が解けましたよ!」
真一郎はそう言って、右手の親指と人差し指で小さな輪を作った。
「おう!聞こうじゃねえか!」
タコ社長が腕まくりをして身を乗り出し、他の3人も真一郎に注目した。
「干支は午から未、申と続きます。これをひっくり返して、申、未、午とします。ここまではいいですね?」
みんながうんうんと頷いた。
「高松宮記念の中京競馬場ゲストは伊藤英明。彼が申を暗示しています!」
みんながおおという歓声を挙げた。マスターが言った。
「主演映画の『海猿』ですね?」
真一郎が頷く。
「そして先週は新設レースのアリエスステークス・・・つまり羊があった。干支で言うと申、未ときたわけです!」
「なるほどしんちゃん、でかしたぜ!それで今週は午ってわけだな?」
タコ社長はそう言って軽く手を叩いた。
3/24(日)
高松宮記念→申(さる)
ゲスト伊藤英明『海猿』
3/31(日)
大阪杯→未(み・ひつじ)
裏中山10R
アリエスS(新設)→牡羊座
4/7(日)
桜花賞→午(うま)
假屋崎(省吾)→正午
「すごいわ、しんちゃん!これなら正午が示唆する12番のステレンボッシュ。堂々の本命候補ね!」
ギョニ子がそう言うと、みんながうんうんと頷いた。だがこれは、怒涛のネタラッシュの序章に過ぎなかった。最終的には馬単1点サインへとつながっていく―
■ ベルサイユのさくら
それから各自がスマホやパソコンで10分ほど調べものをしているときに、タコ社長が大きな声を挙げた。
「おお!やっぱりあったぜ。ベルサイユのさくら!」
タコ社長が言うには、JRAと『ベルサイユのバラ』のコラボは、過去にもあったという。前回2021年は、『ベルサイユのさくら』と称し、桜花賞はこんな結果になっていた。
2021 桜花賞 ※ベルサイユのさくら
1着:2-04 ソダシ (吉田隼人)
2着:8-18 サトノレイナス (国枝栄)
3着:1-02 ファインルージュ(木村哲也)
「いいかい?1着ソダシ、2着サトノレイナス・・・つまりだ!1着吉田、2着国枝。まんまステレンボッシュじゃねえか!?」
1着:(吉田)隼人
2着:(国枝栄)
6-12 ステレンボッシュ
(国枝栄)・(吉田)勝己
みんなが手を叩いて同意した。
「ちなみに2着サトノレイナスのゲートと、3着ファインルージュの木村哲也でチェルヴィニアも浮上するぜ!」
2着:(8-18)
3着:(木村哲也)
(8-18)チェルヴィニア(木村哲也)
■ 死に目の12番
次にネタを見つけたのはギョニ子だった。
「気づいていた人いたかしら?桜花賞の12番って今まで一度も勝利ゲートになってないのよ?」
みんながえっという顔をした。マスターが首を傾げながらすぐにパソコンを操作する。
「本当ですね、今日子ちゃん!五大クラシックのもうひとつ、オークスでも12番は勝利ゲートでは死に目となっています」
<12番の優勝がない平地GⅠ 1986~>
大阪杯 (0.1.0.7/8頭)
桜花賞 (0.3.3.32/38頭)
オークス (0.2.4.32/38頭)
ジャパンC (0.2.1.33/36頭)
ホープフルS(0.0.0.7/7頭)
※チャンピオンズC、高松宮杯(GⅠ)、朝日杯3歳Sは、
それぞれJCD、高松宮記念、朝日杯FSで12番優勝歴あり
「おいおい、ステレンボッシュを本命にという流れに、水を差すようなデータだな・・」
タコ社長が眉間に皺を寄せていった。だが、ギョニ子はにっこりと笑って言った。
「・・・と思うわよね?昨日でた18番の木村哲也じゃないけど、嫌なデータよね・・・でもね、死に目12番は假屋崎省吾の『かりや』でサンドされてるのよ!みんな、『桜花賞、スペース、馬番別』でググってみて!」
みんながスマホやパソコンを操作しだした。まず真一郎が、次にマスターと麗子ママがあっと声を挙げた。10秒ほど遅れて、タコ社長も本当だぜと大声を挙げる。
「11番で勝った最後の2頭カネケヤキとリーゼングロス。13番で最初に勝ったヤシマベル。この3頭の頭文字が『カリヤ』だ!ギョニ子、てめえはよくこんなの見つけたぜ!!」
ギョニ子がぺろりと舌を出して肩をすくめた。ステレンボッシュ推しのネタはまだ続く。
■ オグリローマン
次は麗子ママの番だった。
「えーと、誰も言わないのが不思議だったんだけど、今週オグリキャップの名前が出てたわよね?」
みんながうんうんと頷いた。
「そしたら桜花賞があるんだから、妹のオグリローマンは気にしなきゃダメでしょ?」
確かにそうだという声や、うっかりしてたぜという声が挙がった。
「もしかしたら、1点サインがあるかもよ?」
1994 桜花賞
1着:1-01 オグリローマン(正1)
(武豊・母ホワイトナルビー→オグリキャップの半妹)
2着:4-07 ツィンクルブライド(正7)
3着:6-12 ローブモンタント
桜花賞
6-12 ステレンボッシュ(逆7)
8-18 チェルヴィニア (逆1)
「1着が武豊というのも奇遇ですね・・」
真一郎が眉根を寄せていった。例の盗難被害のことを言っているのだろう。麗子ママが頷いて続ける。
「もちろんあの盗難被害にやらせもなにもないのだけれど、神のいたずらだとしたら正番を逆番にしたド一発があるかもしれないと思うの」
マスターが補足した。
「オグリローマンとツィンクルブライドの万馬券は、武豊の婚約発表だか結婚だかのサインと言われていましたね。ポジティブなニュースの馬番を、ネガティブなニュースだからそっくり逆番に入れ替える。しかも1着と2着も入れ替える・・・あるかもしれませんね」
1994 桜花賞
正1→正7
2024 桜花賞
逆7→逆1(正逆入れ替え・1.2着入れ替え)
■ 木村哲也
さすがにもうお腹いっぱいだろうというところで、靴磨きの政やんからとどめとなるネタが舞い込んできた。
「おっと、政やんからメールが来てました・・」
マスターはそう言って、メールの文言に目を通した。10秒ほどしてスマホを置き、みんなをゆっくり見渡して言った。
「オグリローマンからの12番、18番という馬単1点。木村哲也からもサインがありました!」
<GⅠ・18番・木村哲也>
2022 皐月賞
1着:7-(14)ジオグリフ
2着:8-(18)イクイノックス(木村哲也)
2022 ダービー
1着:7-(13)ドウデュース
2着:8-(18)イクイノックス(木村哲也)
木村哲也18番で2着時の1着馬
14番→13番→12番のカウントダウン?
2024 桜花賞
1着:6-(12)ステレンボッシュ ?
2着:8-(18)チェルヴィニア(木村哲也)?
みんなが総立ちで拍手した。ある者はブラボーと言い、ある者は政やんありがとうと絶叫した。スナック忘れな草の馬単1点勝負が決まった。
スナック忘れな草
桜花賞 馬単1点勝負
◎12番ステレンボッシュ
〇18番チェルヴィニア
馬単:12→18
■ 真一郎の勝負
「あとからだとビビっちゃうかもしれないので、3万円1点勝負いっちゃいます!」
真一郎は、ステレンボッシュ、チェルヴィニアの馬単12番18番に3万円勝負するという。
「おいおい、しんちゃん!」
タコ社長が目を丸くして言った。
「そんなに大勝負して大丈夫かい?昨日、おとといの勝ち分をそっくり持ってかれたんだろう?」
「それがですね・・」
真一郎はペロリと舌を出して言った。
「実は昨日、地方競馬がからっきしでどうにもなんなくて、やけくそでボートレースを1,000円だけやったんです。それは結果を見ないで忘れてたんですが、さっき口座を見たら2万ほど増えてました」
真一郎の説明はこうだった。やけくそで買った3連単1,000円分で2万舟が当たり、地方競馬の負けをひっくり返したという。
「ちょっとー!」
ギョニ子が隣でふくれた。
「なんで一緒においしいもの食べにいこうとか言わないのよ?」
いててててと耳を引っ張られた真一郎が声を挙げ、みんなが大声で笑った。
そのあとすぐ、馬単1点勝負が当たったらハワイに新婚旅行に連れて行くという確約を真一郎からもらい、ギョニ子は上機嫌で生ビールを飲み干した。
■ 麗子ママの3連単1点勝負
真一郎が馬単1点勝負なら、麗子ママは3連単1点をダメ元で買ってみるという。例のオグリローマンの桜花賞。3着ローブモンタントの12番は、逆番にすると武豊のスイープフィートになるからだ。
1994 桜花賞
1着:1-01 オグリローマン(正1)
(武豊・母ホワイトナルビー→オグリキャップの半妹)
2着:4-07 ツィンクルブライド(正7)
3着:6-12 ローブモンタント (正12)
桜花賞
6-12 ステレンボッシュ(逆7)
8-18 チェルヴィニア (逆1)
4-07 スイープフィート(逆12・武豊)
■ ドクター関西人の統制サイン(4/7更新)
ドクター関西人ことshimaさんのGⅠリレーサイン
桜花賞注目枠は2枠or8枠です
<GⅠリレーサイン>
'23エリ女 2着枠 2枠
→23 マイルCS 隣枠 1枠 2着
'23マイルCS 2着枠 1枠
→'23 JC 隣枠 8枠 3着
'23JC 2着枠 1枠
→'23チャンピオンズC 隣枠 8枠 1着
'23チャンピオンズC 2着枠 4枠
→'23阪神JF 隣枠 3枠 2着,5枠 3着
'23阪神JF 2着枠 3枠
→'23朝日FS 隣枠 2枠 1着
'23朝日FS 2着枠 1枠
→'23有馬記念 隣枠 8枠 2着,2枠 3着
'23有馬記念 2着枠 8枠
→'23ホープフルS 隣枠 7枠 1着
'23ホープフルS 2着枠 3枠
→'24フェブラリーS 隣枠 4枠 2,3着
'24フェブラリーS 2着枠 4枠
→'24高松宮記念 隣枠 5枠 3着
'24高松宮記念 2着枠 2枠
→'24大阪杯 隣枠 1枠が2着
’24 大阪杯 2着枠 1枠
→’24 桜花賞 隣枠 2枠、8枠が候補