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不安障害とは?原因と症状の種類
不安や恐怖は人間に備わっている自然な感情で、ふつうはそれとうまくつきあって生活しています。
ところが、不安障害のある人は極度の不安や恐怖に襲われ、仕事にも支障きたして休職や離職を余儀なくされるケースが少なくありません。
ここでは、なぜ不安障害が起こるのか、その原因と治療法をお話ししていきます。
■不安障害とは
不安障害とは、ある物事や状況に対して過度の不安や恐怖を感じ、不適切な対処をしてしまうためにさらに不安がつのり、さまざまな症状が現れる状態をいいます。
不安障害は独立した病名ではなく、パニック障害や広場恐怖症、社会不安障害などの心因性疾患の総称です。不安障害の人は思考力や判断力の低下といった抑制症状は少ないので、周囲の目には障害があるようには見えません。
しかし、本人は一度体験した不安や恐怖が頭から離れず、まさに「とらわれの身」になっている心理状態です。そのとらわれから逃れようとして、「人前には出ない」「会社に行かない」といった回避行動を取るようになり、重症化するとだれにも会えなくなってしまうことがあります。
こうした症状にはこれまで「神経症」という病名が使われていましたが、現在では「不安障害」と呼ばれるのが一般的になっています。
この「不安障害」も、アメリカ精神医学会の「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」の日本語訳では「不安症」に変更されました。
そのため、日本不安症学会では、新病名の「不安症」と旧病名の「不安障害」を/(スラッシュ)で併記することとしていますが、実際にはまだ「不安障害」を使うことが多いため、この記事では「不安障害」の名称を用いて説明します。
■不安障害の種類と症状
▽分離不安症/分離不安障害
愛着のある人や場所から離れることに対して強い不安を抱くものです。発達過程の幼児に見られる愛着感情よりはるかに過剰な不安や苦痛があり、成人でその状態が長く続く場合は分離不安障害の可能性があります。
▽選択性緘黙(せんたくせいかんもく)
普段はふつうに会話ができるのに、特定の場所や状況に置かれるとひと言も発せず、黙り込んでしまうものです。幼児期に発症することの多い障害です。
▽限局性恐怖症
特定のものや状況に対して極度の不安と恐怖を感じるもので、不安の対象によって次の4つのタイプに分けられます。
動物型
犬や虫などが恐怖の対象になります。道でおとなしい仔犬を見かけただけで逃げ帰ったりします。クモやヘビなどは苦手な人が多いものですが、不安障害の人は極度に怖がり、写真やイラストでも見ることができません。
自然環境型
高所、嵐、水などに対して過度の恐怖心を抱き、台風が来そうな日は外出もできなくなります。雷を異様に怖がる人もいます。
状況型
エレベーター、トンネル、航空機など、逃げ場のない閉鎖的空間に対して過度の恐怖心を抱き、そのような場所を避けるようになります。
血液・注射・負傷型
血を見たり注射をしたり、ケガをすることを極度に恐れます。注射やケガはふつうの人でも怖がりますが、不安障害の人は実際に血圧や心拍数が低下して失神してしまうことがあります。
▽社交不安症/社交不安障害
「社会不安障害」「社会恐怖」とも呼ばれていたもので、他者と接することに対して恐怖を抱き、なんとか回避しようとします。また、スピーチなど人から注目される状況に置かれると手足が震えたり、のどがカラカラに渇いたりして本当に話せなくなってしまうことがあります。
▽パニック症/パニック障害
理由もなく突然、動悸や呼吸困難、めまい、発汗など自律神経症状を伴うパニック発作を起こし、「死ぬのではないか」という恐怖に襲われます。重症化すると「またあの発作が起こるのではないかと」という予期恐怖が増し、外出できなくなるなど行動が大きく制限されるようになります。
▽広場恐怖症
映画館や劇場、電車、バス、行列の中など群衆がいる場所に対して恐怖を抱くものです。「何か恐ろしいことが起こるかもしれない」「ここで心臓発作を起こしたらどうしよう」という予期恐怖を覚え、動悸や発汗、息苦しさなどの症状が現れます。
重症化すると「人込みは怖い」という観念にとらわれ、買い物はネットショップを利用するなど、引きこもり状態になることがあります。
▽全般性不安症/全般性不安障害
特定のものが不安や恐怖の対象になるのではなく、将来のことや家族のこと、健康のことなど、生きていくうえでのあらゆる出来事が対象となるものです。
慢性的な不安からくるイライラや集中力の低下などの精神症状と、不眠やめまい、肩こりなどの身体症状が現れるようになります。全般性不安障害はうつ病を併発しやすいといわれています。
このほか、アルコールやカフェイン入りのドリンク、睡眠剤、抗不安薬などがパニック発作を誘発する「物質・医薬品誘発性不安障害」、甲状腺機能亢進症など体の病気に起因する「他の医学的疾患による不安障害」もあります。
■不安障害の発症には性格が深くかかわっている
不安障害は主にストレスが原因で発症する心の病です。しかし、ストレス耐性は人によって異なり、同じようなストレス受けてもうまくコントロールできる人と、ストレスをため込んで不安障害などを引き起こす人がいます。このような個人差が現れるのは、その人の性格が深くかかわっているからです。
不安障害(神経症)の精神療法として知られる森田療法の創始者である故・森田正馬博士は、次のような性格傾向が発症要因になると提唱しています。
▽森田正馬博士による神経質性格
・内向的、自己内省的
・心配性、小心、敏感、ささいなことにこだわりやすい(弱気な性格傾向)
・完全主義、理想主義、頑固、負けず嫌い(強気な性格傾向)
このように、弱気な一面と強気な一面をあわせもつ性格ゆえに、現実の小心な自分と、「こうなりたい」という理想の自分との間にギャップが生じ、ギャップが大きいほど心の中の葛藤が強まり、不安障害などを招きやすいと考えられています。
■不安障害には薬と精神療法が用いられる
不安障害が疑われる症状が6か月以上続く場合は、精神科か心療内科を受診しましょう。動悸やめまいなどの身体症状が強いときは、内科の領域である心療内科のほうが適しています。
不安障害の治療は、薬物療法と精神療法が基本です。ストレスが蓄積して心身共に疲れているようなときは、長期休養が必要です。
主治医から1か月間休養するようにと指示された場合は、休養も治療の一環と理解して必ず指示を守るようにします。
薬物療法では、抗うつ薬の1種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が中心になります。セロトニンとは思考や意欲、感情、気分などに関わる脳内の神経伝達物質で、服用すると不安を緩和する効果が得られます。
精神療法にはいろいろありますが、不安障害に対しては主に次のような療法が用いられます。
▽認知行動療法
認知とは物事に対する考え方・受け止め方のことです。ストレスにさらされて心身が疲弊すると何でも否定的・悲観的な判断をするようになります。たとえば、上司に注意されると「私は嫌われているんだ」と悪い方へ考えてしまいます。
このように根拠もないのに結論づけるのは「認知のゆがみ」のせいと考え、「別の考え方はないだろうか」と違う視点から見直すことでゆがみを修正していくのが認知行動療法です。
▽森田療法
不安や恐怖を感じたとき、それを排除するのではなく、「あるがままに」受け入れ、そのときの気分に左右されることなく「目的本位」の行動を取ることで不安を克服していくものです。森田療法は入院して行うこともあります。
入院して1週間は「臥褥期(がじょくき)」でひたすらベッドで横になっています。その後「軽作業期」「作業期」「社会復帰期」と続き、1~3か月ほどで退院し、社会復帰していきます。
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