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特別障害者とは?

障害者が受けられる様々な優遇措置の情報を見ていると
「特別障害者」という言葉を目にすることがあります。

障害者の中でも特別な措置を必要とする方を
特別障害者と定義しているのですが、
法律上の少し難しい解釈が必要となるため、
詳しく調べたことはないという方も多いのではないでしょうか。

今回は「特別障害者とは何か」を分かりやすく解説し、
「一般障害者や特定障害者との違い」「受けられる優遇措置」
も併せてご紹介します。

特別障害者という言葉を今回初めて知ったという方も、
特別障害者とそれ以外の障害者の違いを理解しておくことで、
優遇措置を受ける要件についての誤解や
勘違いを防ぐためにも役立つでしょう。

■特別障害者の基準や定義

特別障害者とは障害者の税法上の区分で、
「所得控除を受けられる障害者の中でも重度の障害を持つ人」を指します。

ただし、障害児福祉手当及び特別障害者手当の支給に関する省令の中では「特別障害者の認定基準」という別の意味を持つ規定があるため、
特別障害者という言葉が必ずしも一つの制度や
基準を指すものではないことに留意する必要があります。

ここでは、主に所得税法や
地方税に関する特別障害者について解説を進めます。

まず、特別障害者に該当する基準や定義を確認してみましょう。
国税庁の公式サイトには以下のように記載されています。

▽特別障害者とは
・身体障害者手帳の1級または2級
・精神障害者保健福祉手帳の1級
・重度の知的障害者
・いつも病床にいて、複雑な介護が必要な方 など

障害等級は障害の種類や症状で全く異なる上、
かなり細かく規定されていますが、
等級数が小さいほど重度の障害に該当します。

特別障害者という言葉があるということは、
特別でない障害者もいそうですが、その点を詳しく解説します。

■特別障害者と一般障害者の違い

そもそも特別障害者は、所得税法の第29条により
「障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定める者」
と定義されています。

「政令で定める者」というのは、
所得税法の施行令で示している以下に該当する障害者です。

特別障害者
①精神上の障害により、日頃から物事の道理を理解する能力を欠く人
②児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医で知的障害者と判定された人
③精神障害者保健福祉手帳を取得していて、障害等級が一級と記載されている人
④身体障害者手帳の交付を取得していて、身体上の障害の程度が一級、または二級と記載されている人
⑤戦傷病者手帳の交付を取得していて、障害の程度が恩給法における特別項症から第三項症に該当すると記載されている人
⑥原子爆弾被爆者の援護に関する法律にて厚生労働大臣の認定を受けている人と常に就床を要し、複雑な介護を要する人
⑦65歳以上の障害者で、障害の程度が同法10条の1号または3号に準ずると市町村長や特別区の区長の認定を受けている人

大まかに言い換えると、
「精神障害によって判断能力が著しく低い人」
「知的障害と判定された人」
「障害者手帳の等級が1級か2級の人」
と言えば分かりやすいかも知れません。

また、特別障害者に対して「一般障害者」という言葉もありますが、
一般障害者というのは俗称で、
税法上の定義などで出てくる正式な名称ではありません。

つまり、所得税法の28条で
「(一般的な)障害者」を定義付け、所得税法29条で重度障害者を
「特別障害者」と区別しているのです。

念の為、同28条の「障害者の定義」も見ておきましょう。

(一般の)障害者
①精神上の障害により、日頃から物事の道理を理解する能力を欠く人
②児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、
 精神保健指定医で知的障害者と判定された人
③精神障害者保健福祉手帳を取得している人
④身体障害者手帳の交付の所有者で、
 身体上の障害があると記載されている人
⑤戦傷病者手帳を取得している人
⑥原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律で
 厚生労働大臣の認定を受けている人
⑦常に就床を要し、複雑な介護を要する人
⑧65歳以上の障害者で、障害の程度が同法10条の第1号
 または第3号に準ずると市町村長や特別区の区長の認定を受けている人

2つの障害者の違いを見比べると分かりますが、
例えば特別障害者は
「身体上の障害の程度が一級、または二級で記載されている人」が該当するのに対し、一般の障害者の定義では「(障害者手帳に)身体上の障害があると記載されている人」となっています。

よって、所得税法の第28条にのみ該当する人が
「一般障害者」だと理解すれば概ね差し支えないでしょう。

■特別障害者と特定障害者の違い

少し複雑な特別障害者と一般障害者の違いを解説しましたが、
障害者に関するあらゆる制度を知ってくると、
稀に「特定障害者」という言葉を目にすることがあります。

実は特定障害者は、意味も定義も各制度上で明確な定めはありません。
あくまで税制度の中で
「優遇措置等を受けられるのは特別障害者を含めた特定の障害者」
といったように範囲指定するために使われている言葉です。

実際に特定障害者という言葉が出てくる
「相続税法」と「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」の概要を確認し、特別障害者という言葉の定義と
何が違うのか見てみましょう。

▽「相続税法」における特定障害者
同法第21条の4「特定障害者に対する贈与税の非課税」という条文において、「特別障害者、及び精神上の障害により日頃から物事の道理を理解する能力を欠く人」のことを「特定障害者」として、一定額まで贈与税が非課税になるとしている。
▽「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」における特定障害者
国民年金法の規定による障害基礎年金などを受ける権利のない人のことを特定障害者としている。

「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」は内容が複雑なため簡単な解説にしましたが、どちらにしても「特定障害者」は、「〇〇に該当する人は特定障害者」といったように定義が明確に定められたものではなく、主に上記2つの措置を受けられる人の範囲を指す言葉ということを覚えておきましょう。

■特別障害者への手当や税金の軽減措置

ここまで「特別障害者」「一般障害者」「特定障害者」と3つの名称が登場しましたが、各税法などで特別障害者に該当する方は、以下のような税制上の優遇措置や手当て等が受けられます。

所得税の障害者控除
納税者本人とその家族等が障害者に該当する場合、所得税を算出する際に一定額を所得から控除できる。なお、一般障害者が27万円なのに対し、特別障害者は40万円が控除される。

住民税の障害者控除
特別障害者に該当する人は、住民税算出時の所得から30万円が控除される。特別障害者以外の障害者は26万円となる。
※地方税のため、要件や控除額は念のため各市区町村へお問い合わせください。

贈与税の非課税制度

特別障害者と精神障害者のうち一定要件を満たす人は贈与税が6000万円まで、特別障害者以外の障害者は3000万円までが非課税となる。

相続税額の控除

85歳未満の障害者が相続人となる場合、現在の年齢から85歳までの年数1年あたり10万円が相続税から控除される。特別障害者の場合は1年につき20万円となる。

特別障害者手当

介護を必要とする20歳以上の特別障害者に対し、2万6940円を2月、5月、8月、11月に支給する。ただし、配偶者や扶養家族の数、所得額などにより手当が受けられないため、支給要件は市区町村に確認が必要。

特別障害給付金制度

国民年金に未加入だったために障害基礎年金などを受給していない障害者に対して、障害基礎年金2級の方へ月額4万1320円、障害基礎年金1級の方へ5万1650円が支給される。
※特別措置であり要件が難しいため、以下を参考に市区町村に確認されることをお勧めします。

■まとめ

特別障害者は働くこと自体が困難だったり、そもそも生活する上で介護を必要とするなど、自分の意思で税金を払うだけの収入を得ることが難しい重度障害者を税法上で区別しているものです。

障害者関連の情報を見ていると「○○障害者」という形で多くの名称を目にしますが、決して差別的に区別しているのではなく、障害者への配慮を実現するため、国や行政が制度上で必要と判断して定義を分けた結果なのです。

税制の優遇措置や手当等は市区町村の窓口での手続きが必要となります。生活上の金銭的負担を軽減させる大事な措置であり、障害者本人だけでなく、その家族が受けられる制度もあるため、各要件に該当しそうな場合は一度市区町村の役所で相談されることをおすすめします。

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