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レストア屋の親父みたいに

車や機械が好きな人なら頷いてくれるかも知れませんが、若い頃にレストア屋、リビルド屋と呼ばれるおやっさんに憧れました。修理とはまた違って、長年使われたものにその個性を生かして新しい命を吹き込む。車業界にいたときのこと、奮発して買ったアルファを18万キロの時にヘッドを突いてしまい、エンジンを載せ替えるか部分移植するかという状態に。そこでそのおやっさんを頼って再生をお願いしたことがありました。2ヶ月後慣らしも終わらせてくれて受け取ったそれは全く別の命を宿していました。

「ちゃんとしたらこれくらい回るんよ。今度は大事に乗りや。」

1.6リットルの小さなエンジンにもかかわらず、高回転になればなるほど音が整い吹け上がっていく。少しのアクセルワークで挙動を変えれるほどリニアに反応する。その日、僕は一晩中走って翌朝そのまま仕事に行きました。

さて、釣りの話。

毎年星の数ほどの新製品が生まれ、中古の市場も中にはプレ値がつくようなプロダクトも多数存在します。趣味の世界なので世界で一本だけのオーダーロッドなどもあれば、道具をチューニングしより性能を引き出してくれるチューナーもいます。車と同じで道具を使う趣味に共通する市場が釣りにも存在します。

若い友人室谷君が始めたプロジェクト

RE:BOOT Fishing Tackles

彼は仕事で海洋ゴミの解決を試みる事業に参画しています。自身はそれに並行してもう使われなくなったロッド、海でゴミとなって放置されていたロッドを拾い集め、そこに新しい命を吹き込み、特色を持ったロッドを製作したりしています。

ぼくもバスフィッシングを再開するときに、ショートロッドを一本作ってもらいました。今もぼくがエリー115を投げるときはこのロッドです。川魚の形に似せたミノーと呼ばれるルアーの中で、左右に水の中を飛ばせて逃げる魚のように誘うのに適したものをジャークベイトといいます。
ジャークベイトをいろいろ試し、エリーと言うルアーが僕のリズムにドンピシャでした。そしてこのミノーを小気味良く、柔らかに飛ぶ動きを実現するのに最適なロッドだということがわかり、以来専用ロッドになりました。元は使わなくなったロッド2本。長さ、ガイドの位置や重さなどで味付けをして作ってくれたものです。

有名メーカー、アングラーが開発したロッドも素晴らしいものです。最高の素材を使って1からオーダーするのも堪りません。だけど、昔よく使ったけど今は出番がないロッドがあるのなら、そのロッドをベースにして新しい命を吹き込んでみるのもひとつの愉しみかもしれません。

ロッドのリビルド、レストア。
彼が始めたプロジェクトは、そういうものだと思います。もし、これを見てくれた釣り人の方がいらっしゃれば、倉庫から元相棒を引っ張り出して彼に預けてみませんか?

宣伝みたいになったんですけど、つまりは、僕はこういうことをやるやつ、こういう、なんというかものを大事にするとかではなくて、ものとの友情を大事にするような行いが好きなんです。

ぼくも来月また一本お願いする予定です。古いルーミスをスピナーベイトスペシャルにしてもらいます。

久しぶりにバスフィッシングのこと書きました。彼がいつか、ピッコロのおやっさんのようになる日を夢見て。

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渡部勝之
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