Fillyjonk Journal vol.5 「フィリフヨンカの島々」
ここでは、Fillyjonk(フィリフヨンカ)のジュエリーが生まれるまでのストーリーや制作について、ものづくりをしている友人たちのことなど、Fillyjonkの活動とその周辺の世界についての記事を更新します。
今回はフィリフヨンカの世界をより一層お楽しみいただくうえでのキーワード「フィリフヨンカの島々」についてのお話です。
ブランドをスタートさせた頃、コレクションをどのような区切りで発表するか検討していました。じっくりと素材と向き合いながらひとつひとつ制作するコレクションづくり、また完成したジュエリーを自分たちでお客さまひとりひとりにお伝えしながら販売するスタイルを考えると、準備期間を含めかなり長い時間を要することも分かっていました。
作り手や使い手の暮らしのなかで、ゆっくりと時を刻んだものが携える魅力。自分たちが大切に考えているその時間を育むには、年に一回、コレクションの発表をすることがベストだと思い、毎年秋に新シーズンの発表をすることに決めました。
シーズンテーマが島になるのは、ブランドのスタートから4年ほど経ってから。海に囲まれた島、という独立した存在は、地続きの大陸とは異なる独自の文化を形成することに魅力を感じ、2014年から毎年ひとつの架空の島を設定しています。
新しいコレクションを考えるとき、まず、これまでの制作や日常のなかで気になったことやもの──植物や建築、天候や言葉など、興味をひかれた物事を調べます。これは新しいコレクションのため、というよりも、これってなんだろう?という純粋な好奇心から調べていると言えるかもしれません。そこで分かったことの欠片をフィリフヨンカの描き出す「島」の要素に取り入れ、ジュエリーのデザインへと発展させていきます。
例えば2016-2017"Rainy Kingdom"は、よく雨が降る、ガーデニングが盛んな王国という設定でした。そこでは人の想像をこえて成長する(時には暴走する)植物や自然があり、それを受け入れながらも必死に生きる死生観があるだろうと想定し、それをデザインの種として、その国でみられるであろう過剰に成長したお花や、ツタが絡みついた建物などを作りました。
2021-2022"Ancient FILIF"は時代をさかのぼり古代フィリフ王国があったとしたらと想定し、その遺跡から出土した秘宝たちをデザインした。Fillyjonkというブランドの歴史や事象、デザイナーやスタッフやペットの記憶などを、実際の古代という時代にあてはめ、「人類史としての古代と、パーソナルとしての記憶」がない交ぜとなった古代フィリフ王国を表現しました。
異世界に思いを馳せたり、過去を懐かしんだり、小さな発見をしたり、自然を敬ったり。そんな「思いを馳せる時間」をコンセプトに、年を重ねる毎に世界地図が広がっていき物語が進んでいくフィリフヨンカのアクセサリーから、ご自身だけの物語を想像して頂けたら嬉しいです。
フィリフヨンカの島々をビジュアルとして表現してくれる素敵なイラストレーターさんについては、別の機会にご紹介したいと思っています。