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3行日記[2023年9月25日]

神宮外苑再開発のシンポジウムをリモート視聴しながら、インボイス反対のデモの様子も見ていた。どちらも根っこは一緒。日々、コツコツと働き、自分のお金で生活し、家族を守るという、個人のささやかな幸せを、権力者が自分たちが属するムラの利益や権力維持のために搾取する。

あなたたちはお金も地位も持っている。人を支配する力も持っている。でも、その力は何のために使うの? 何が欲しいの? 環境が破壊され、国を支えている名もない人たちがいなくなった世界は、あなたたちも生きられないというのに。今のあなたたちには顔がない。ムラから出て、1人の人間として地面に立ってみれば、名もなき人と同じ存在なのに。

『料理人』という小説を思い出す。お城がある、平和で暮らしやすかったのどかな村に、1人の背の高い料理人が訪れた時から物語は始まる。城主や村の有力者は料理人の料理に魅了され、美食に溺れ、最後は城を乗っ取られる。新たな城主となった料理人と有力者たちは、毎日毎日、美食を続ける。吐きながら食べまくる。城を遠くから見守る村人は、ひたすら食料品を城に届けるだけ。そこには、幸せだった頃の村の面影はなく、消費する虚しさだけが残る、ゆるやかなディストピア。

でも、まだ間に合う。私たちは声をあげる力をまだ持っている。歴史を変え、未来に希望を繋いだのは、いつも名もない市井の人たちだったのだから。

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角田奈穂子@Fillmore East
仕事に関するもの、仕事に関係ないものあれこれ思いついたことを書いています。フリーランスとして働く厳しさが増すなかでの悩みも。毎日の積み重ねと言うけれど、積み重ねより継続することの大切さとすぐに忘れる自分のポンコツっぷりを痛感する日々です。

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