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『ロドモンテの嫉妬』第ニ幕

[中略:ドラリーチェが召使いのボアセンとアルダインともにグラナダからフランスに到着する。アグラマンテの陣営の近くに天幕を張ってドラリーチェが休んでいると1人の騎士がやって来た]

マンドリカルドが登場して話す。

マンドリカルド:愛するカンドリマンドがその身を大地に託し、その魂を天に返した後、私は稲妻のようにフランスまで駆けてきた。これまで私が死を与えてきたように、遭遇したらすぐに私の憤怒による死がオルランドに必ず与えられるだろう。あの卑怯者[ルッジェーロのこと]は私の前から見えなくなった。見えなくなったと私は言ったが、大地が割けて奴を私から隠したのだ。しかし、リビアに砂がありエチオピアにバジリスクがいるのと同じくらい確かに奴は死んでしまっただろう。野原から間違いなく軍勢の音がする。兵士たちの天幕や軍旗がたくさん見える。トロイ人の剣が見つかるまでしばらくなりとも、私のすさまじい力をこの丸太で振るえれば嬉しいことだ。剣が手中にないから私が仕方なく木を引き裂いたときっとわかるだろう。おい、おい。おまえたちは私に声を張り上げさせるつもりか。何も答えてくれないのか。

ボアセン:いかなる神があなたを寄越したのか、そしていかなる挨拶であなたが人間の声を持つことを示すのか。

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