39.5℃
僕だけなのかもしれないけれど、体温が39.5℃を超えた時、いつも同じ幻覚が現れる。
天井を突き破って一隻のボートが落ちてくる。そのボートの下敷きになって苦しむ、という幻覚。キャビテーションでボロボロになったスクリューが勢いよく回転しながら、僕の頭をぐちゃぐちゃに切り裂く。
初めてこのイメージを見たのは、たぶん、5歳くらいだったかな。インフルエンザに罹っていた。その頃、上から落ちてくるボートには顔見知りの友人や親が乗っていた。あとは、どこかで見た誰か。今、そのボートには人以外のものもたくさん乗って、僕を押し潰してくる。
意識は朦朧としていたから、何が乗っていたのかを上手く思い出せない。でも、そこには、その時、僕の気にかけている何かが乗っていた。
二日間39.5℃の熱が続いた。動けなくなって、ひたすら芋虫ごっこをして遊び、思いつきで抗原検査をしたら陽性が出た。会社に連絡して有給を取った。リモートワークの準備もした。来週は少し楽に過ごせるかな。
39℃を超えると、基本的に何もできなくなる。38度くらいなら、何とかなる。37度台なら、ほとんど普段と変わらない。ちょっときついけれど。
ちなみに、この文章を書いている今現在の体温は38.2℃です。
今回はカロナールのお世話になりすぎて、胃粘膜が荒れて吐いた。非常に難しい問題だ。この場合、お尻の方の粘膜を利用して解熱剤を吸収する方がいいのかもしれない。
流行り病に初めて罹った感想としては、
普通の風邪<流行り病<インフルエンザ
(苦しみの序列)
期待していたほど楽ではなかったし、心配していたほど重くもなかった。そして何より、今回は足の裏に爪楊枝が刺さっていなかった。
ただ、保険証入りの財布を職場に忘れたまま帰宅していたので、病院に行けなかったのが痛かったです。