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ニ〇二四、仲秋の草上。

ㅤ仲秋。白露。草露白くさのつゆしろしの侯。朝晩はとても冷え込んで毛布を一枚重ねたい程の寒さである。かと思ったら、昼間は仲秋と言えど酷い暑さで何もせずとも汗が流れる程であった。そんな極端な気候のある中、私は冷え込む朝に散歩をするようになった。
ㅤ朝、五時五十分頃。空が明るくなり始めて少し経ったぐらいに外へ出る。秋の虫たちの声が鳴り響く中、道の左手には朝露をたくさんまとった草たちが朝の呼吸をし始める。草露を指に取り頬に着けると、何故だか草たちの仲間入りをしたような気持ちになる。その道の先を行くとニラの花が道路の隅に列を成して咲いている。(においはしない)ニラたちが咲き誇るその上空には梅の木が枝を張って伸びているが、今年の空梅雨のせいか葉が既に枯れ落ちてしまっている。そしてこの場所は猫のご飯の匂いがして、嗚呼、今日もご飯が貰えたのだなと思うと温かい気持ちになれるのである。
ㅤその先の散歩道にも色々あるのだが、何ぶん歩き続けると思考が冴えるようになってきて考えごとの方が多くなり、周りに目を掛けることが少なくなってくるのである。とはいえ、ここで私の閃きごとを語ってもほとんど意味を成さないのでここでは端折はしょることにする。

ㅤ来る新暦の九月九日は重陽の節句、又、旧暦の八月十五日は満月であり中秋の名月である。(後で調べてみたが中秋の名月は満月の日の一日前であった)これらを清酒でもって祝いたいところであるが、清酒に慣れない故に飲みはせず、窓辺に御供えする程度で終わるであろう。しかし、祝い事には積極的に参加する身である者として、気持ちは特別である。特別であるが故に予祝としてほかひびとの役を務めたく思ふ。

ㅤ秋の豊かな実りと祝事に添えて、

ㅤ水落ちてㅤ頭を垂れるㅤ穂の波よ
白風しろかぜ染めるㅤ黄金こがねの色よ
ㅤウカノミタマのㅤあかき鳥居の
百千ももちを通りㅤ地を渡る
野分のわき千々ちぢにㅤ散り々々ちりぢり割れて
ㅤ高き空にはㅤが昇る
ㅤ草枯るるㅤ風吹く中のㅤ豊かさを
ㅤ明日へと渡すㅤ命なる哉

ㅤここにほかひびとの短連歌を並べる。

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