生活とは、補充に次ぐ補充の連続だ【1】
ゆうべはうっかり電気をつけっ放しにして寝たせいか、いつもより目覚めが遅かった。朝日の差す中、布団の上で大の字になったまま、お弁当を用意したり化粧したりする時間が削れていくのを黙って見過ごしていた。
出勤20分前にのろのろ起き出して、オールインワンジェルにSPF50の下地だけつけて出かけた。お昼は割高なカップ麺。
けれど午後、同僚に「今日具合悪いの?」と手抜きの化粧をしっかり見抜かれる。そういうわけじゃない、下地変えただけ、と適当に言い訳する。いつもは重ね付けする色付き下地もファンデーションも省略したから、顔色が変わっても致し方ない。体調はノープロブレム。ただし、多少の怠惰の名残り。
おまけに、数日前から通信制限の憂き目。メールチェックもできなくなって、仕方なく帰り道にフリーWi-Fiの飛んでいるカフェに寄った。カフェラテの代金を電子マネーで払おうとしたら、アプリすらまともに立ち上がらない。仕方なく虎の子の現金で払った。
フリーWi-Fiの方法を親切な店員さんに聞いて、やっと繋いだ回線でまずメールチェックをして、次にギガを購入した。来月は、お金もデータも節約したい。というか、転職成功させたい。
冷たいカフェラテで幾分か持ち直した心持ちでカフェを出る。途中の横断報道で、背後から来た自転車とスレスレにすれ違って追い抜かれる。甲高く短いブレーキ音。ごめんなさい、すいません、あるいは悲鳴か罵倒だったのか、何事か小さく漏らして走り去っていく制服の女の子。呆気にとられて振り返ると、横断歩道の自転車専用ラインのギリギリを歩いていた。ろくに足元を見ておらず、私の方も悪かった、と短いため息を漏らす。
一人暮らしを期に車を手放して、これで誰かや何かにぶつけたりする危険が減った、と安堵していたものの、徒歩中心の生活にはこういう場面も増えた。自転車保険はよく聞くようになったけど、徒歩の人間にもこういうときの保険ってあったりするのだろうか。
気を取り直して、今日のご飯はどうしよ、と思い馳せる。メインは昨日揚げ焼きにした肉の残りがある。じゃあ野菜で簡単に副菜を作ろう。今朝炊いたご飯は雑穀入りだ。献立が早く決まると、それだけで思考のリソースが節約される気がする。そして、夜は何をしよう。明日の朝胡そはきちんとお弁当を用意して化粧ができるよう、ハメを外しすぎない過ごし方をしたい。電気は消すぞ。
【今日の補充】
・クレンジングの封を開けた。
・洗い流さないトリートメントを使い切った。
・インスタントコーヒー(カフェインレスの方)を補充した。