RIZIN.41 GW周辺の大会の豪華さにより霞む2023年RIZIN開幕大会 ※大会後追記あり
3月も最終日となってしまった2023年だが、日本最大の総合格闘技イベントRIZINは、明日4月からの始動という遅めのスタート。
年度制度のように考えれば4月1日スタートというキリのいい日なのか。
大晦日やGW周辺の2大会に豪華なカードを並べすぎ、開幕大会の開催が遅れ、その開幕大会もMMAのコアなファン層しか喰いつかないような、新規ファン獲得には程遠いようなカードが並んだというネガティブな感じではないことを信じたい。
榊原氏は溜めが必要という感じで話していたような記憶があるので、そんなことはないか。
今回の記事では、そんな2023年のRIZIN開幕大会となるRIZIN.41 in大阪 を簡単に見ていきたい。
と言ったものの、MMAのコアなファンではない私。
メインのキックボクシング喧嘩マッチというのか、エンタメマッチというのか、皇治vs芦澤の試合の考察的なことがほとんどの記事となってしまっているが、試合前の実力、相性云々などでのどっちが勝つか負けるかの予想よりも、試合の結果が全て出切りインタビューなど諸々終わった後の方が記事の書きがいがあるはずなので、試合前の記事は簡単に。試合が終わった後に多少力を入れてこの記事に追記したいと思うので、試合後の追記もお楽しみに。
RIZINは総合格闘技団体のはずだよな?
この疑問に関して私はずっと持っている疑問だ。
このRIZINという団体。何度キックボクシングの試合が総合格闘技団体のメインを張ってきたのか。
柔軟といえば柔軟な考え方をしている団体なのだろうが、キックボクシングファン、MMAファン、ムエタイファン、ボクシングファンなどなど1つの格闘技のジャンルの試合が見たいというファンの方が圧倒的に多く、1大会1ジャンルの格闘技興行の方がいいというのが私の考えだ。
那須川天心というスーパースターが出てくれるから。皇治や芦澤のように他団体で話題性に富んだ選手が電撃参戦してくれたから。
天心に関してはRIZIN参戦当時はMMAを行い説得力を持たせたわけで例外としても、RIZINでやってるやってない関係なしにMMAを本気でやっている選手からしたら国内最大の総合格闘技団体と謳っている団体のメインがポッと出のキックボクシングマッチというのはふざけんなでしかないだろう。
この私の考え方、古臭いだろうか。
RIZIN.41 地方大会で地元選手参戦ケースは大阪大会で皇治が集客率No.1 運営としては貴重な人材
金太郎や萩原京平の復帰戦にして連敗脱出がかかった試合、超実力派の神龍誠や堀江圭功の試合、ケラモフ再来日などMMA好きには堪らないであろう選手達が参戦する今大会。
そんな中メインイベントは、お世辞にもその世界で実力がトップクラスとは言い難い2人のキックボクシング。
RIZINファン、MMAファンも多少不満があるのではないだろうか。
まぁそれは前の項目で問題提起したことであって、ここではそっとしておこう。
ただ注目度などを考えるとこのキックボクシングの試合がメインになるのが必然であろうし、試合内容や結果はさておき、このような部分に関しては大阪大会ではしっかりと皇治が皇治たる所以を見せつけるのは流石である。
実力があっても見てもらえなければそこまでの評価は見込めない。
見てもらってナンボの世界。
そんなプロ格闘技業界のシステムを体現し、そして上手く使っているのが皇治というのは、セルフプロデュースが苦手な超実力派の選手たちにとっては皮肉なことだろう。
この注目されることの重要さの現実を突き付けられることとなっているのが今大会だと私は考えている。
RIZIN.41 総合格闘技での私的注目試合
さて、冒頭では皇治vs芦澤を見ていく記事と書いたが、私もMMA見ないわけではないということで、私的楽しみな2試合と2選手につい簡単に書いている。まぁMMAのコアなファンから見たら物凄くミーハーな試合チョイスと意見になっているかもしれないが、その辺は悪しからず。
金太郎 3連敗から脱出なるか
一昨年の6月から勝利から遠ざかっている金太郎。
対戦相手が井上直樹、元谷友貴、堀口恭二と国内トップクラスとの厳しいマッチメイクで鎬を削ってきたということで、そこまで評価が下がっているということはないだろう。
がしかし、文字や数字だけで見れば3連敗中。厳しい状況と言え、何より選手本人としての気持ちは辛い現状のはずだ。
どんな試合も負けられない1戦である事は、私自身アマチュアでキャリアを積み今もなおアマチュア選手として試合をしているので重々承知しているが、金太郎の今回の試合、相手に関しては、過去3戦とは知名度やネームバリュー的に圧倒的に劣っていることは明らかで、その点では負けられない1戦である。
しかし、現DEEPバンタム級王者というナチュラルに実力者である選手を対戦相手として迎え撃つ金太郎の格闘家としての姿勢というのか、そのような部分は脱帽であり、是非とも勝ってほしいと個人的には思っている。
神龍誠 世界へ向けて そしてあの日本人との対戦実現に向けて
超実力派の神龍誠。
CFFC王者となってRIZINのリングに、日本のリングに凱旋となる。
15勝1敗1分という戦績と数々のタイトル獲得歴。
フライ級という日本人が世界と渡り合うのに最も可能性を感じる階級の超新星にして、日本フライ級トップではないかというほどの実力の持ち主。
堀口恭二を除いては。
やはり、今現在のフライ級を語る上では欠かせない存在の堀口だが、堀口vs神龍という日本人フライ級対決は勝負論という一点のみでファンが待望している〝格闘技〟の試合だろう。
堀口との対戦にさらに説得力を持たせるために、今回の試合は勿論、連勝街道を爆進していってほしいと格闘技の実力に魅力を感じる選手の1人である。
[第6試合 RIZIN MMAルール5分3R/66.0kg] カイル•アグォン vs 萩原京平
5月のRIZIN.42にて、最強の相手を迎えて引退試合を行う妻山本美優に良いバトンを渡すことができるのか、地獄の3連続1本負けのトンネルを抜け出せるのか。
両者ともに、上記のようなテーマのある区切りとなるような試合だろう。
アグォンに関してはクレベルに喫した失神負けの試合しか私は知らないため、萩原の視点で。
萩原に関しては、朝倉未来の盟友白川陸斗の咬ませ犬的な感じのRIZINデビューだったわけだが、しっかりと噛みつき、そこから平本蓮、朝倉未来などネームバリューのある選手との試合を重ねるうちにRIZINの常連選手として認知され、選手としての色気で人気が出ていった選手。
ただ現在は格上とのマッチアップとは言えど、3戦連続ほぼ同じような負け方で成長が見られないという絶望的な弱点を露呈している。
内村洋次郎や昇侍をKOした勢いは完全に過去の話になっているが、あの勢いを取り戻してほしい。
[第9試合 RIZIN MMAルール5分3R/66.0kg] ウガール•ケラモフ vs 堀江圭功
2人に対して共通して持っている私的なイメージは、RIZINフェザー級の門番。
ケラモフに勝てば、堀江に勝てばフェザー級トップという認識をされるというか、ファンも指標としやすい選手だろう。
裏を返せばしっかりと実力のあるという意味だが、そんな2人の対戦は興味深い限りだ。
ケラモフは斎藤戦以外は安定した勝ちを拾っているという印象。
堀江はRIZIN全勝で圧倒的でかつ試合に安定感があるという印象。
実力者同士の対戦で勝負論という視点だけで注目が集められるであろう試合。
だったはずだが、UFC発言で榊原氏をキレさせたり、変なビデオに騙されて出演してしまったり、そのビデオ出演をイジられマジトーンでキレたりと、堀江のイメージと素の姿とのギャップ、こんなに人間味溢れる選手だったんだという事で意外な方面で注目を集めて見られる試合となるだろう。
RIZIN.41 大阪大会=皇治というメインイベント
今回のメインイベントととして組まれたこのキックボクシングマッチ。
RIZINでの実績としては、皇治は天心に惨敗後、バッティングやローブロー反則オンパレードという試合を何度か繰り返して叩かれ、ボクシングルールの勝敗の付かぬエキシビジョンで生き場所を見つけたというもの。
芦澤はRIZIN初参戦。
どう考えてもメインを張っていい2人ではないだろうが、K-1時代からの長い因縁が生み出す混沌とした、殺伐とした、そして時に面白さありという様々な側面が見れる試合ゆえの注目度高さ。
そして、両選手の集客力、特に皇治。
言い方は悪いがこれだけでメインに抜擢だろう。
メインに相応しいかどうか云々はこの辺にして試合に関して、そして試合外のパフォーマンスに関してなどを下記に書いている。
また、この試合に関してはどちらが勝っても負けてもその後の反応が面白そうという事で試合後すぐに追記したいと考えているのでお楽しみに。
[第10試合 RIZIN キックボクシングルール3分3R/61.0kg] 皇治 vs 芦澤竜誠
K-1時代から芦澤が常に名前を出し続けていたことによって実現したこのカード。
芦澤がRIZIN初参戦でいきなりの皇治戦という、K-1で創ったストーリーをRIZINが美味しく頂いた感がプンプンする訳だが、皇治がいきなり天心と戦ったあの飛び級マッチメイクと比べれば可愛いものだろう。
乱闘と暴言というなんともこの2人らしさ全開の試合前会見。
皇治のイングラム戦でのメイウェザーとのトラッシュトークのような我々の想像の斜め上をいくような試合前パフォーマンスを期待していただけに、ここまでは予想通りすぎてなにか物足りないのは私だけだろうか。
まぁその分試合で爆発させてくれることを期待している。
どちらが勝つかの予想というのはこの試合に関してはどうでもいいかなとも思うが、強いていうなら芦澤がうまく戦い判定勝ち。
ファイトスタイルの相性的にも、前に出てパンチの打ち合いにいくしかない皇治とロングリーチを生かして戦える芦澤。
どう考えてもファイトスタイルの相性的に芦澤有利と考えられるため、芦澤が熱くなりすぎなければ芦澤の勝ちかなと。
体重61kgに関しては皇治寄りだが、攻撃力がない皇治相手ならYA-MAN戦の時のようにはならないだろう。
あとは試合が終わってから。
MMAでのサバイバル 勝ち残ったのは?
動くフェザー級 次回大会参戦選手との絡みが楽しみに タイトルマッチも決定
今最も熱いと言っても過言ではないRIZINフェザー級。
そんな階級だけあって、大会ごとに様々な進展があり面白い訳だが、今大会では2試合+タイトルマッチが発表された。
まず今大会で行われた2試合。
サバイバルマッチで萩原が生き残り、逆にアグォンは痛恨の1敗。魅力ある選手の生き残りはファンとしては見ていて面白い訳で、これから始まる負けた相手への萩原の復讐劇。復讐劇というシチュエーションが似合う選手だけに楽しみで仕方がない。
そしてケラモフvs堀江のフェザー級実力者同士の対決はケラモフに軍配。ケラモフが打撃を先に効かせたことが勝負を決めたように見えた訳だが、アゼルバイジャン勢に限らず外国人の爆発的な打撃の怖さを見せつけられたような気がした。
そして、6月にRIZIN北海道初上陸の発表とフェザー級タイトルマッチの発表。
王者クレベルに現在MMA5連勝中の鈴木千裕が挑む。
クレベル有利の声が圧倒的だと思うし私もそう思う訳だが、この大会に関してはアンダーカードをどのように編成するのか気になるところ。
金太郎 格闘技版イップス?で連敗脱出ならず
今大会、私の中では、選手としての魅力や色気を感じさせてくれる選手の連敗脱出がかかった試合が2つ。萩原と金太郎だ。
萩原は踏ん張りきって次に繋いだ訳だが、金太郎は判定で敗北。
厳しい状況を加速させる結果となって今後どのように舵を切っていくのか。
YouTubeに度々登場する金太郎のマネージャーがSNSにて金太郎の状況を格闘技版イップスで前に出るファイトができなくなっていると。
どうすればいいか模索しているようなことも書いていたが、慣れた練習環境や方法を変える他ないのではというのが私の考え。
両者負けられない戦いは美しい
皇治vs芦澤 メインイベントは成功か否か
総合格闘技団体のRIZINにあって、メインを張るのが、イマイチの結果のキックボクサーと初参戦のキックボクサーによるキックボクシングマッチ。
集客がどのくらいできる。
地元選手だから。
話題性があるから。
これらの理由でメインでいいのかという疑問は未だに持っている私だが、今回の試合の入場から最後の勝利者マイクまでの一連の流れを見るとメイン以外の選択肢のない試合だったなと。
入場は互いにド派手に。
地元大阪の皇治ファンの圧倒的多さ。
互いの応援合戦の大きくヒートアップ。
勝利者マイク等々の芦澤のパフォーマンスの異端児ぶり。
こんな異質な試合で大会が締まらないはずがない。
人気で注目度が高いからという理由でのメインイベント抜擢。
アリ派の考えが少し分かった気がした。
因縁に終止符を 7年に渡る因縁を知り格闘技が生み出すストーリー性の面白さを再認識
K-1時代、芦澤が小澤海斗に勝利した後あたりから皇治への対戦をアピールし出してから始まったと思っていた両者の因縁。
事あるごとに皇治の名前を口にしてきた芦澤だが、大岩龍矢との皇治への挑戦権を賭けた試合に敗北。
芦澤は一時引退しまた復帰。
しかしその頃にはK-1に皇治の姿はなく、このマッチアップはないのかと思っていた訳だが、RIZINで実現。
K-1で紡いできたストーリーをRIZINで清算するという思いもよらぬ舞台での因縁終結となった訳だが、そもそもの因縁の始まりはそこではなかった。
芦澤の元同門の先輩剣闘士vs皇治という7年も前の試合からの因縁。
皇治が剣闘士に対して中指を立てるパフォーマンス。そして右ハイキックでのKO勝利。
チームペガサス陣営としては屈辱の何者でもなかったのだろう。
チームペガサスの選手たちがこぞってこの試合の芦澤勝利を喜んだのは溜めに溜めた7年分の鬱憤からに違いない。
格闘技は個人スポーツであるが、同じジムの先輩後輩、仲間の敵討のような因縁も面白さの1つで、そのストーリーを知ることで格闘技の大きさを認識できる。
勝者と敗者の対照的すぎる姿 勝者は新たな挑戦へ 敗者は引退へ
どちらが勝っても負けても、勝った時に得るものよりも失うものが大きすぎる試合。
両者ともに旨味が少なくリスクが大きい試合は珍しく、その点でも面白さがあった訳だが、白黒はっきり出るのが格闘技。
あまりにも残酷な世界だが、見る側にとってもやる側にとってもそこが最高に刺激的で中毒性のある最も素晴らしい側面。
そんな残酷な現実は今回は皇治に。
イージーファイトとずっと言い放ってきただけに、あそこまで完封状態で負けたのには何も言うことがないという感じで、引退の文字がよぎるのは必然なのかもしれない。
対する勝った芦澤は、仲間と最大限に喜びを分かち合うことができ、MMAへの挑戦を表明しているだけに気持ちよくMMAの世界に飛び込めるといった状態だろう。
そして、最後に。
私の中で、今回の試合において様々な面で感じた事があり、この2つの写真を例に取って書き記したい。
勝者には賞賛の嵐が浴びせられ人が自然と寄ってくる。
敗者にはかける言葉が見当たらず、人が自然とそっとしておく。
この2枚の写真に限らず、様々な面で勝者と敗者の残酷な対比をされてしまうのが格闘技なのだと感じた。
格闘技は勝つ事が全て。
結果が全ての世界。
この当たり前の真理を皇治vs芦澤竜誠で見た気がした。