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【ゲストハウス紀行】川の側で70%自給自足!ゲストハウス『亀成園』
先月、三重県多気町に行くのに、宿を探していた
多気町は松阪市から車で30分なので、松阪らへんで探してみると、ゲストハウスで一件ヒット
「農業・自然体験つきゲストハウス」
農家民宿ではなく、かといってドミトリーが基本の低価格なゲストハウスでもなさそうな様子
HPをスクロールすると、星野道夫さんの言葉が
「短い人生で心惹かれることに多くは出会わない。もし見つけたら 大切に、大切に」
ちょうど『魔法の言葉』を読んでいたところだったので、ビビッときたし、三重県への移住を考えているところだったので、ドキドキしながら予約フォームを送信した
香肌峡ー川と香り高い食べ物に恵まれた場所
『亀成園』は、三重県松阪市・飯高にあった
飯南地域は松阪の4分の1~3分の1を占めるらしく、市内とは全然違う雰囲気櫛田川と山々に囲まれ、マイナスイオンが飛んでいそうな地域だ
道中、木材や板材が置かれた場所が見られ、木材生産も盛んな様子が伺えた
実際に、松阪市にはウッドピア松阪という板材・木材製品の置き場みたいなものがある
レンタカーにドキドキしながら、松阪市から車を走らせること1時間半
夕方に到着するはずが、気づけば、18時
周囲は暗くなり始めていた
人が優しくコアな人達が集まる香肌峡で自然ライフ!
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「バックで止めるの怖いですよね。もう1回回って停めましょうか」
車の駐車誘導をしてもらい、今晩泊まる部屋へ
チェックインしながら、「どうして、三重県に移住されたんですか?」と早速移住の経緯を伺う
大学で出会い、ご主人が1年早く就職
海外勤務を経て、脱サラして松坂飯南町へ、というのが簡単な経緯
北海道、長野も回ったが、なんとなく三重がいいなーとのことだった
「もう暗くなってきてますけど、畑とか見学されますか?」と言っていただき、「ぜひ」とチェックインを済ませて、畑に向かう
今の時期は、らっかせい、ナス、ヘチマ、サツマイモなどを育てているとのことだった
雑草と野菜の見分けがつかないのは「自然農」だかららしいが、暗闇の中でも「これが黒いとうがらしで、これがナス」とするすると野菜の説明をしたいただいた
「これ、色変わったナスでしょ。ウグイスナスっていうんですよ。」
「ウグイスってこんな色じゃないよ。皆メジロと間違えてるんじゃない?」
ご主人の淡々として語り口に、奥さんのスピーディーなツッコミが気持ちいい
「ここ、僕が触ってたところ、握ってください」
訳も分からず、私には土しか見えない部分を握り、「せーの!」の掛け声で引き抜く
丸っこい、茶色い、ミニジャガイモのような実が出てきた
「落花生です。市販のものはもう少し白いですよね」
奥さんの追加説明が入り、「これが落花生なんですね」と納得する
黒トウガラシ4本、ウグイスのような長めのナス2本、落花生10個ほどを収穫し、引き上げる
部屋に戻る前に、少し立ち話をする
「松阪のこの飯南地域の魅力ってなんですか?」と聞いてみる
人が優しくてあまりキツくないこと、食べ物が美味しいこと
川が近い場所に住みたかったので、遊べる川があるのがいい
学校の教育がすごいことなど、色々あるみたいだったが、印象的だったのは変人が集まるということだった
「この地域の人は皆、独立心を持って、それぞれに活動していて、多気町の人たちみたいにまとまらないですね。あと、お上に頼らない気風で「なんとかしてくれ」っていう人は少ないです。びっくりしたのは、プラごみを野焼きし始めた時で。でも、慣れました。」
行政が力を入れて宣伝していないのに、人が集まるらしいが、「自分はこれをやりたいねん!」という気風も1つの理由のように思えた
電気なし、自給自足、お金に頼らない暮らしは、自分で何とかできる部分を増やしたかったから
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翌朝、ニワトリ小屋を案内してもらいながら、「どうして自給自足、お金に頼らないことに目覚めたのか?」聞いてみた
「災害起こった時に避難して、行政の備蓄に頼るってどうなんと思って。
とりあえず、備蓄じゃないけど米と野菜とニワトリがいればやっていけるんじゃないかと。この辺も災害多いから。コロナの時、さすがにゲストハウスは閉めたけど、通常通り生活してて。県内移動していいんやったら、遊びに行こうやって。川とか山とかに子ども連れて遊びに行ったり、やりたい放題でしたね。ただ、お金に頼らなすぎるのもなかなか困るから、現金収入とのバランスは模索してきましたね。」
とはいえ、ニワトリを飼い始めたのは、地域の方から烏骨鶏(うこっけい)を引き取ったことからだという。
「『もうあかんわ。誰か烏骨鶏30羽を引き取ってくれへんか』という時に、30羽なんて一気に受け取られへんわってなって。そんな時に、僕らに白羽の矢が立ったんです。」
ただ烏骨鶏が卵を産むペースは1日に10羽中1個
並行して国産の「後藤もみじ」を少しずつ増やし、今では烏骨鶏40羽、後藤もみじ60羽の計100羽を飼っている
「エサは米、米ぬか、シイタケ菌床のおがくず、オカラ、カキの殻。米は精米機の管理している人とか米農家、菌床はしいたけ栽培しとる人から、おからは近所で美味しい豆腐つくってる人から。ほぼ知ってる人からもらってますね。ただこの辺も、耕作放棄する人が出てくるので『あの人の畑だれがやりはるんですかね?』っていう風に、別の農家さんに聞いといて、なるべくエサを知ってる人からもらえるようにしてます。知らない人からだと、『もうあげられないです』って急に途切れてしまうこともあるだろうから。」
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エサまで徹底された自給自足
米ぬかが入っていることで発酵するそう
見るからに身体に良さそうなエサで、朝に食べた卵かけご飯の美味しさのヒミツを垣間見た気がした
烏骨鶏の習性についても、教えてもらった
「見た目が可愛らしいので、ペットみたいなカンジで飼う人もいます。人が怖いから、ニワトリみたいに、草とかエサぶら下げてもほいほい来ないんですよ。ニワトリは卵を産むように、人間の都合で品種改良が進んでしまってないけど、烏骨鶏の場合は、卵を産卵場所に置いておくと温めてヒナを孵すんです。ヒナに手を出そうとすると『私の子に何するのよ!』って威嚇するし。」
烏骨鶏の愛情深さはそうだが、ご主人の知識にも愛情を感じる
さらに、養鶏だけでなく、狩猟も行っているという
「この地域の人たちの遊び方が面白くて。早朝から釣りして、もう釣りばっかりしてた人もいるから、魚の習性も覚えてて。『こうしたら次こっちにくるからこうひっかけたらとれるやろ』って言うんですけど、やってみるけどわからない。僕のわな猟の師匠なんですけどね。」
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野菜の栽培、養鶏、罠ー
地域の方への尊敬を忘れず、自然の生業を続々と手にしている姿が眩しく映った
私も、少しずつ自然・地域の人々と生きる術を身につけたいと、さらに思わされたゲストハウスでの滞在だった