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うかい竹亭 閉店に寄せて

何年前からだったか、ご馳走を食べにいくといえば、うかい亭八王子によくいきました。
格調高いお店の佇まい、内装、調度品どれも美しく、目の前でシェフが焼いてくれるお肉も美味しくて、最高のご褒美時間でした。
母の80歳の誕生日の時もそこでお祝いして大喜びだったので、またいつか連れて行こうと思っていた頃

そのうかい亭系列に、うかい竹亭というお店があること知り、実家からも近かったので2年前の母の誕生日はそちらに行ってみることにしました。

駐車場にはすぐにお迎えが現れ、16も「はなれ」として独立したお部屋があり、グループごとに案内されます。そのはなれに向かう道は、木々に囲まれ、小川や池があり、涼しげに水車が周り、水の流れと鳥の声に耳を傾けているといつの間にか現実の世界を忘れてしまいます。池ではたくさんの美しい錦鯉が口をパクパクさせて寄ってくるので、それだけでも可愛くて、楽しくて、穏やかで幸せな世界に引き込まれる場所でした。

はなれの入り口は、玉砂利に飛び石が敷いてあり、いよいよ入り口となれば、つい足取りも上品に静かになってしまします。その演出にすっかり心が清められたところで到着
お部屋には木陰のお庭から柔らかい光が差し込んでいます

角角に飾られたお花はどれもさりげなく美しい。
何もかもが無駄な音を消してくれる空間でした。

そこに運ばれてくるお料理は、一つ一つお料理が際立つ盛り付けで、豪快に笹に盛られた鮎には驚きが、それが団扇が3枚くっついたデザインのお皿に1人分ずつ乗ってくると、それもまた楽しい。お料理の静と動が目の前を巡ります。
お皿もお料理も全体が黄色と緑を意識して統一されて夏らしいエネルギーと涼やかさを感じます。出てくるたびに母は声を上げて喜んでいました。
つくづくと食事をいただくとはどんな場所で、どういただくか、味だけではなく、どのカテゴリーも総合して確立されなければならないと思いました。
まさに全てにおいて行き届いたお食事でした。

家族しかいないお部屋で遠慮ない会話をしながら、目にも舌にもワクワクするお料理をいただくのは贅沢なひととき。この日の母の笑顔も良い思い出です。

また行きたいなあ、と思い先日予約を取ろうとホームページにアクセスして

ショック!

11月30日で閉店。その最終日まで予約でもう埋まっていました。

ここにうかい竹亭さんのHPを引用いたします

49年はもう半世紀。また一つ時代が終わってしまう。
自分の先人たちが徐々にいなくなり、人だけでなく場所も消えていく、これが長く生きると言うことなのか。
新宿も、玉蘭もそしてうかい竹亭も、私の記憶にあった場所は記憶の中だけのものになっていく。
その切なさはできるだけ優しく訪れてほしいと思う


水車と錦鯉
この石の間隔すら美しい
この盛り付けに感動しました
はなれに向かう母

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