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木のピアノ
木のピアノ
ちょっと前から耳にするようになったこの言い方
私と同世代ならば、は?と思うでしょう。だってピアノは木だから
ところが、ふと気がつけば、我が教室の受講生でもアップライトでさえ持っている子はほとんどいません
ピアノは電子ピアノ
ピアノを習いたいと入会申し込みする人の中には
ピアノないんですけど、教えてくれますか?
と聞いてくる人も珍しくありません
でも、この「ピアノないんですけど」のピアノもともかく鍵盤で音を出すものの総称になっている
電子ピアノですら、高価、場所を取る、音の苦情が来る、続けられないかもしれない、というマイナス思考で、ピアノを習おうとしているのに、テーブルにも置ける、鍵盤の数も足りない、かちゃかちゃしたキーボードを買ってくる人がいます。
ピアノ習いたいんじゃないの??
木のピアノの価値
ピアノってそういう楽器じゃないです!!!!
ピアノは鍵盤を叩くと木製のハンマーが弦を叩いて音を出す楽器です。
ピアノが発明される前は、強弱をつけることができない鍵盤楽器だったのに、強弱が表現できる、すなわちピアノpとフォルテfが表現できるから元はピアノフォルテと名付けられたと聞いています
その鍵盤の叩き方、つまりは弾き方によって、同じ音でも全く違う響きが生まれる
デリケートかつ豊かな楽器なのです。
もはやこの時代にどの家庭もピアノを持つことは諦めていますが、実際レッスンしていても、打鍵(タッチ)をはじめ響を作らせるのは電子ピアノでは難しいです
そしてついにピアノは「木のピアノ」とカテゴリー分けされてしまいました。
負のピアノ
私が合唱指導に使っている市民センターにはアップライトピアノが置いてあります。
この音がひどいっ!
年代ものなのか、いつ弾いても音はよれよれです。苦情が多いのか、ピアノの上に
「次の調律は◯月◯日です。ご理解ください」
と書いた紙が置いてあります
そう、木のピアノは調律をしなければならない。
さらには年を重ねると部品も劣化してくる。
ピアノを良い状態に保つには、それ相応の費用がかかるのです。
そうやって古くなってしまったピアノはますます評判が悪くなり
電話してちょうだ〜い
と財津一郎さんのところに行くわけです。
でも、そうやってまた木のピアノは減っていくのか?と思うと、音痴でも頑張って欲しくなります
本物のピアノの憧れ
一方、普段電子ピアノしか弾かない子たちにとって、発表会にホールで弾くグランドピアノは特別な喜びもあるようです。
もともと木のピアノが当たり前の時代でも、ホールで、グランドピアノを弾くとその音に感動したものです。今の子にはそのギャップがいよいよ大きい。以前、予定が合わず発表会に出られなかった子が
「この曲、ホールの本物のピアノで弾いてみたかったなぁきれいな音なんでしょ?」
と言っていました。本物のピアノ、そう、本物は木でできているのです。お家で木のピアノで練習することは叶わなくても、この憧れは持ってほしいです。
ピアノはどこへいく?
先日、ピアノの受講生じゃない子が、教室のグランドピアノを見て言いました
先生、これどこで音消すの?
えー!グランドピアノも電子だと思っているのか!と驚いていた時、偶然近くの楽器店の人が教室にやってきて
「先生のところでピアノ買う生徒さんいないですか?」
と聞くので、このことを話したら、口をあんぐり開けて、すごすごと帰っていきました。
いつもお願いしている調律師さんも、年々木のピアノの数が減るのに合わせてお仕事も減っていると
、調律師というスペシャルな技術者もいなくなってしまうのでしょうか?
まだまだピアノ人口は多くて、前回のショパンコンクールも注目されたし、YouTubeで人気のピアニストさんもいらっしゃいます。木のピアノの価値はきっと伝わっていることでしょう。
なんとか、弱小ピアノ教室でも、本物の木のピアノの響きを伝えていきたいものです。