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「子どもが本当に思っていること」

「子どもが本当に思っていること」(精神科医さわ 日本実業出版社)

精神科医で、発達障害の不登校児を育てながらYouTubeで発信する著者による、親子関係についての本。すごく人気の本のようだけれども、全体としては少しぼんやりとした印象のように自分は感じた。おそらく自身の子が不登校だということ、YouTubeでのファンが多いということが人気のポイントなのかも知れない。ただ、107ページの、親の不安と子どもの問題とを分けて考えよとの話は、全くその通りだと感じた。

 親の態度や声のかけ方、家庭の雰囲気というのは、親が思っている以上に子どもの精神状態に大きな影響をおよぼします。
(23ページ)

 いずれにしても、子どもが不安を感じていたら、とりあえず「大丈夫!」と言わず、まずはその不安な気持ちに「不安なんだね」と寄り添ってあげてください。
 もちろん、人それぞれ感じ方が違うので、たとえお母さんであっても、不安の強い子の気持ちを完全に理解することはできないかもしれません。
 それでも、相手の不安を理解しようとする姿勢が大事なのです。
 そして、「お母さんやお父さんになにかできることはある?」と、子どもにどうしてほしいかを聞いてみてください。
(32ページ)

 私の診察室には、不安の強いお子さんも多くやって来ます。
 たとえば、そういう子の親御さんには、「家の中では人に聞こえるもっとも小さな声で、ゆっくりおだやかに話すようにしてください」と言っています。
 不安の強い子どもがいる場では、日常的におだやかに話すことを心がけてください。
 「たったそれだけで不安がなくなるの?」と思われるかもしれませんが、想像以上の効果があるのです。
(49ページ)

 そういえば先日、次女は片栗粉で実験をしたいと、新品の片栗粉を全部使い切ってしまいました。
 液体と混ぜた片栗粉は、ゆっくり触ったときはドロドロになるのに、素早くたたくと固くなります。このように液体に力を加えると固体のようになる「ダイラタンシー現象」をやってみたかったようです。
 そして私は、恥ずかしながら親になってはじめてこの現象を知りました(娘に感謝です)。
(88ページ)

 子どもに関する不安があるときは、どこからどこまでが親である自分自身の不安で、どこからどこまでが子どもの問題なのかということを分けて考える必要があります。
(107ページ)

 子どものことをちゃんと見て、声を聞いて、信じるというのは、頭ではわかっていても、「じゃあ、どうすれば?」と思うかもしれません。
 「見ない、待てない、気づかない」の裏返しは、ただ笑顔で、愛情を持って、子どもを見守るということです。
 ふだん子どもにいろいろなことをしてあげている親からしてみれば、「それだけ?」と思われるかもしれません。
 でも正直言って、それだけなんです。
 一番簡単だけど一番大切で、多くのお母さんが一番できていないことです。そして、やろうと思えば、すぐにできることでもあります。
 この本を通してずっとお伝えしていること、それはお母さんが笑顔でそばにいるだけで子どもは安心し、おだやかになり、自分の言いたいことを伝えられるようになるのです。
(130-131ページ)

 親も子も、それを失敗と思わなければ、「失敗」とはならないのです。やり直せることはたくさんあります。
(146ページ)

 クリニックに来る患者さんの中にも、親からのプレッシャーに苦しんでいる子がたくさんいます。
 その多くは、わが子によりよい人生を歩んでほしいと思うあまり、親御さんの教育に熱が入りすぎてしまうケースです。
 「子どものためを思って」という親の思いが強すぎると、子どもの負担になってしまうことがあるのです。
 とくに今はひとりっ子が増えているぶん、1人の子どもにかける情熱も期待も、お金も増えています。
(154-155ページ)

 なにより、勉強ができてもできなくても、あなたの存在価値は変わらないというメッセージを、子どもにぜひ伝えてあげてほしいのです。
(172ページ)

 なにかをがんばったから「すごいね」「えらいね」とほめるのではなく、なにげない日常で、あなたがいることがすばらしいことなのだ、誇らしいことなのだとどうか伝えてみてください。
(211ページ)

 親ができるもっとも大切なこととして、子どもに「人生の素晴らしさ」を教えてほしいと思っています。
(中略)
 勉強をしなければ人生がダメになるわけでもないし、学校に行かなければ人生が終わるわけでもありません。
 子ども時代にはいろいろなことを経験して、失敗しながら、少しずつ成長していけばいいのです。
 生きているだけで花丸です。
 ぜひ、お母さんはそれをお子さんに伝えてあげてほしいと思います。
(244-245ページ)

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