「ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法」
「ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法」(Kazu Languages SBクリエイティブ)
5年間で12ヵ国語を習得したインフルエンサーの著者による、語学学習法の本。
「本書で紹介する言語習得のメソッドは、大きく①「ネイティブの発音を真似る」②「実践的な文法を学ぶ」の2ステップに分かれています。」(102ページ)にあるように、いきなり文法を学ぶのではなく、「そのままネイティブに対して使える「実用的なフレーズのストック」を作ることです」(104ページ)と述べている。その上で、その規則性から文法を学ぶことを勧めている。PimsleurやAssimilなど、英語で外国語を学ぶツールを紹介していて、なかなか面白かった。学習法自体はオーソドックスな感じだが、学習を継続するための工夫がいろいろ書かれているのも良かった。
言語に対する興味、そして世界中の人々と話したいという願い---この2つが、私が外国語を学び続ける大きなモチベーションになっています。なぜ、ほんの5年で12ヵ国語も習得できたのかと問われれば、自分の中にこの2本の柱が常にあったからだと答えるでしょう。
言語習得のためには「目的意識」が欠かせません。(50ページ)
言葉は、いってみれば生き物のようなものです。
そこにはマシンのような100%のルールは存在しません。基本ルールはあるもののイレギュラーな部分も多々ある。そういう性質のものを習得する際に、「先にルールを覚えてから、実践に入る」という手順を踏むのは、実は遠回りになるのではないかと思うのです。
そのため、ひとまず「どういうルールのもとで、こうなっているのか」ということはさて置き、どんどんフレーズを覚えていきます。
ある程度、フレーズが蓄積されていくと、自然と「パターン」のようなものが見えてきます。そうなってから文法に着手したほうが効率的に習得できます。(69ページ)
おすすめの「メインツール」
・「ニューエクスプレス」シリーズ
あらゆる外国語をカバーし、初級の学習者に対応した「教科書」
「会話→その会話に登場した文法」で構成されており、文法を学びながら使えるフレーズが身につく
・Pimsleur
「聴く」「理解する」「話す」に特化してトレーニングできるアプリ
1日1レッスン×約1ヵ月で外国語の音に慣れ、発音と文法を無理なく学べる
・Assimil
ストーリーを読みつつ、文法や頻出フレーズを学ぶ教材
実際に起こりそうなストーリーを通してリアルな会話で役立つ「フレーズ」「文法」「発音」を同時に学べる
・Anki
フラッシュカード型の外国語学習アプリ
単語やフレーズのカードを自作し、繰り返し出題してもらうことで効率的に記憶できる
(73ページ)
おすすめの「補助ツール」
・Google翻訳
テキスト(5000文字以内)、Webページ全体を他の言語に翻訳する機能をもつ、Googleが提供するサービス
調べた単語の例文を表示できる。また、単語の発音もチェックできる
・DeepL
32の外国語に対応した高度なAI翻訳ツール
長文の理解、文章の推敲に最適
・Google翻訳拡張機能
Google Chromeの拡張機能の1つ
Webページ上のテキストを選択し、日本語へ翻訳することができる
・Podcast
モバイルデバイスで、配信される音声や動画を視聴できるサービス
いつでもどこでも、学習中の外国語に触れることができる
・LingQ
著名な多言語話者、スティーブ・カウフマンが開発した音声教材
テキストを読みながら、ネイティブの発音を真似る学習に最適
・ケンドラ・ランゲージ・スクール
よく使うフレーズを紹介する世界的人気を誇るYouTubeチャンネル
頻出フレーズを聴き、真似る練習におすすめ
・Easy Languages
ネイティブスピーカーに街頭インタビューをする、YouTubeチャンネル
ネイティブの会話を日常的に聞くことができる
・Language Reactor
動画コンテンツで日本語字幕と英語字幕を同時に表示できる、Google Chromeの拡張機能
言語の字幕と日本語訳を並列で表示させたり、字幕中の知らない単語をクリックすると意味や用法がわかる。正しい発音を聞くことも可能
・生成AI
ChatGPTなど、さまざまなコンテンツを生成できるAI
外国語学習の「練習相手」として最適・アイデア次第で活用法はさまざま
https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/
(79ページ)
おすすめの「コミュニケーションツール」
・italki
ネイティブとオンラインで会話できるプラットフォーム
ネイティブと実際に会話し、レベルアップできる
・HelloTalk
・Tandem
ネイティブとやりとりができる言語交換アプリ
会話中で単語や文法を間違えたとき、相手がどこを指摘してくれたかわかる「訂正機能」がある
(91ページ)
そこで、本当に役立つメインツールの見極め方を2点、お伝えしておきたいと思います。
まず重要なのは、「すぐにネイティブ相手に使ってみたいと思える実用的なフレーズが学べること」です。
(中略)
そしてもうひとつは、「なるべくリスニング、スピーキング、リーディングを1つのツールで学べること」です。(93-95ページ)
では改めて、ひとつの言語を習得するのに、どれくらいの時間がかかるのか。
言語ごとの難易度にもよりますが、基本的には日常会話レベル---たとえば「ネイティブとコミュニケーションを取りたい」「映画を字幕に頼らず原語で楽しみたい」といった目標であれば、半年~1年で習得できるでしょう。(100ページ)
本章では私が実践している言語習得のステップを紹介していきますが、重要なポイントは「赤ちゃんが母語を学ぶ過程」と同じように学んでいくことです。(100-101ページ)
おすすめの「YouTubeチャンネル」
・スペイン語
Spanish After Hours
・フランス語
Piece of French
innerFrench
・ブラジルポルトガル語
Speaking Brazilian Language School
・ロシア語
Russian With Max
・ドイツ語
Deutsch lernen mit der DW
・トルコ語
Turkishle
・アラビア語
Learn Arabic with Khasu
・タイ語
Beam Sensei
・中国語
びびさんのポスト
・韓国語
Didiの韓国語Podcast (Didiの韓国文化Podcast)
(110ページ)
Kazuがすすめる覚えるべきフレーズ30
①お名前は何ですか?
②出身地はどこですか?
③どこに住んでいますか?
④元気ですか?
⑤あなたはどうですか?
⑥はじめまして
⑦何をしていますか?
⑧○○語を話しますか?
⑨なぜ○○語を勉強していますか?
⑩なぜなら○○だからです
⑪どれくらい○○語を学んでいますか?
⑫趣味は何ですか?
⑬○○したことはありますか?
⑭○○してもいいですか?
⑮いつ○○しましたか?
⑯○○が好きですか?
⑰○○はどういう意味ですか?
⑱○○ができますか?
⑲○○がありますか?
⑳もう一度言ってください
㉑○○はいくらですか?
㉒○○に行きたいです
㉓○○まではどうやって行きますか?
㉔どの○○ですか?
㉕あの方はどなたですか?
㉖何時ですか?
㉗おすすめの料理は何ですか?
㉘これをください
㉙お会計をお願いします
㉚○○していただけますか?
(117ページ)
私も、いつもCDつきの教材を購入し、教材のスクリプトを読みながらCDの音声と同時に音読する「オーバーラッピング」をしています。
オーバーラッピングは、テキストを読みながら音読することで、リーディング、リスニング、スピーキングを同時に鍛えることができる効率的な学習法です。私自身、非常に学習効果が高いと感じています。
(120-121ページ)
逆翻訳は、物語や会話文の和訳を最初に読んで、それを学習中の言語に翻訳してみるという手法です。原文で答え合わせをすることで「正しく書けたところ」「間違って書いてしまったところ」が明確になるため、単語の用法や文法に対する理解度を客観的にチェックすることができます。(133ページ)
では、覚えるべき頻出単語はどのように絞り込んだらいいでしょうか?
「○○語 頻出単語集」みたいな市販の参考書を購入してもいいのですが、もっと手軽な方法があります。まずは、79ページで紹介したケンドラ・ランゲージ・スクールのYouTubeチャンネルです。各言語でよく使われる単語を音声とともに紹介しています。他にも「most common words in 言語名」でネット検索する方法があります。
そこで表示される単語リストのうち、知らない単語だけをピックアップして覚えていきます。
ただ、ネットだと間違っていることもあるのでGoogle翻訳やDeepLなどの翻訳ソフトで確認しながら自分で単語リストを作成するとさらに効果的です。(136ページ)
つまり「コンテンツを楽しむことを通じて言語能力をつける」という手法は、ある程度の理解力---目安としては「半分くらいは原語で理解できる力」が備わった後にこそ効果を発揮するのです。(139ページ)
英語とはまったく違う文字体系をもつ言語を学ぶ際、わたしはいつもYouTubeで「言語名Pod101.com alphabet」と検索します。
たとえばアラビア文字を覚えたい場合は「ArabicPod101.com alphabet」と検索すると、アラビア語のレッスン動画がたくさん現れます。その中から、文字の解説をしているものを選んで視聴します。「Pod101.com」は、さまざまな言語のレッスン動画を集めたチャンネルです。たいていの文字についても、初心者が理解しやすいように覚え方、書き方、発音の仕方などのポイントが丁寧に解説されている動画を視聴することができます。(143-144ページ)
難易度別 おすすめの「Podcast」
<初心者向け>
・Hapa英会話Podcast
アメリカ英語。日常的なテーマを扱う。英語と日本語の両方で解説が入るため、初心者も取り組みやすい
・Daily English Expressions Podcast
アメリカ英語。1日1個、実用的な英語表現を教えてくれる。全編英語であるものの、ゆっくりと話してくれるので聴き取りやすい
<中級者向け>
・Voices of America Learning English
アメリカ英語。時事ネタやサイエンスなどテーマが豊富。平易な語彙を使っているため理解しやすい
・6 Minute English
イギリス英語。BBCが運営するチャンネルで特定のテーマについて6分間話している
(155ページ)
早く上達するには、学習者の能動性が欠かせません。私の経験上、「ある程度は理解できるが、わからないところもある。そこを確認しながらアクティブに聴く」というのが、最も学習効果の上がりやすい学び方なのです。(170ページ)
あまり上を見すぎず、焦らず、「とにかく、やめないこと」「毎日、その言語に触れること」を意識してください。(175ページ)
継続の最大のコツは習慣化です。
(中略)
そのためには、1日のうちの「どのタイミングに勉強するのか」を予め決めておくことをおすすめします。(178-179ページ)
自分の「やる気」には頼らないとすると、鍵となるのは「物理的な環境」です。
(中略)
そのために私が実践しているのは、「教材をしまいこまずに、すぐに目につくところに置いておく」「学習に使用しているYouTubeチャンネルのページを開きっぱなしにしておく」「音声教材をダウンロードしてすぐに再生できるようにしておく」といったことです。(182-183ページ)
ライティングを上達させるのは、やはり実際に文章を書いてみるのが一番です。
日々、考えたことや感じたこと、印象的だった出来事、外国語学習などでがんばっていることの進捗や気付きについて、短い文章をいくつか書いてみる。わからない単語や、文法的に自信がないところは翻訳ツールでチェックする、といった要領です。
文章は紙に書いても、スマホやパソコンで打ち込んでもかまいません(スマホやパソコンで書く場合は、設定でキーボードを追加します)。
書いた文章をSNSに投稿するのもおすすめです。その言語のネイティブが読むかもしれないという緊張感も相まって、よりいっそう正しい文章を書こうと心掛けるようになります。こうした習慣は、上達に直結するでしょう。(189-190ページ)
外国語学習に自分の趣味を持ち込み、その言語で好きなことの情報をインプットするのは、まさに「楽しみながら語学の上達を早めるコツ」といっていいでしょう。(191ページ)
相手の母語のスラングを使うと、たいていの人は、まず驚き、笑い、そして気付いたときにはすっかり打ち解けているのです。(203ページ)
ネイティブと話すチャンスを得たら、ぜひ、そのときの会話を録音、または録画してください。それを後から聴き直してみると、自分のリスニングやスピーキングの改善点が見えてきます。(203ページ)
言語を習得するには、とにかく毎日、その言語に触れる時間を作ること。壁にぶつかっても立ち止まらず、走り続けることが必要不可欠です。
これは「早く壁を打ち破れるよう、とにかく頑張れ」という根性論ではありません。
むしろ根性論は、私からすると外国語学習の敵といってもいいくらいです。というのも、私の経験上、根性を発揮して無理に努力するよりも、無理のない範囲で楽しく学んだほうが、ずっと走り続けられるものだからです。
わからないことに遭遇するたびに翻訳ツールで調べたり、機会があればネイティブに確認したりすることは大切ですが、ここで必要とされているのは根性ではなく、むしろ気楽なマメさです。(210-211ページ)