「子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本」
「子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本」(フィリッパ・ペリー 高山真由美 日本経済新聞出版)
英国の心理療法士の著者による、子どもとの向き合い方についての本。「親子の絆を深めるための秘訣をまとめた話題の書」との宣伝文句にある通り、子育てをしている際についつい忘れがちな大切なことをひとつひとつ指摘している。特に第4章の「親になるための土台をつくる──妊娠と出産」は子どもが生まれる前後に読んでおけばよかったと思った。
私は子育てを長い目で捉えています。ちょっとした秘訣やコツで乗りきろうとは思っていません。私が興味を持っているのは、子どもとの関係をどう築いたらいいかであって、子どもをどうコントロールするかではありません。自分の乳幼児期や子ども時代をふり返ることを読者のみなさんに勧めています。自分自身が育てられたなかで、してもらってよかったことは継続し、助けにならなかったことはやめるために。(12ページ)
子どもにまつわることであなたが怒りを感じたり、過度に感情的なほかの反応が起こったりするのは、自分が子どもと同じ年齢だったときに抱いた感情から自分を守るための手段なのです。子どもの行動が過去の自分の失望、憧れ、孤独、嫉妬、欲求の引き金となるのを無意識のうちに怖れているのです。その結果、子どもの感情に寄り添うよりも、一足飛びに安易な選択をしてしまい、怒ったり、ストレスをためたり、パニックに陥ったりするのです。(19ページ)
子どもを押しやってしまうのは、自分の人生のほかの領域---仕事とか、友人とか、ネットフィリックスとか---のためにもっと時間がほしいからだと言いたくなるのもわかります。けれども、そこで大人になるべきは私たちのほうです。私たちは、こんなに子どもに手がかかるのはほんの一時期であることを知っています。仕事や友人とのつきあいやほかの趣味は、目の前の小さな人がこれほど私たちを必要としなくなってから再開すればいいのです。(31ページ)
1日のうちに頭に浮かんだ自己批判的な思考を書きだしてみましょう。その批判は、過去に誰か別の人から投げかけられた言葉と同じではありませんか? (38ページ)
どんな親でも間違いをおかします。重要なのは、間違いそのものよりも、その間違いにどう対処するかです。だからもし、いままで子どもが怒っていたり不幸だったりするときに気づかないふりをするのが最善の方法だと思っていたとしても、心配無用です。子どもの感情に反応するときのパターンを、子どもが見てもらえている、聞いてもらえていると思えるように、これから変えればいいのです。(72ページ)
感情は、私たちの行動のすべてに、そして決断の一つひとつについてまわります。親が自分の感情をどう扱うかは、子どもが自分の感情の扱い方を学ぶ際に影響を与えます。感情と直感は密接につながっているので、感情を否定すると、子どもの直感を鈍らせてしまう危険があります。子どもの直感は身の安全を守るために必要です。(76ページ)
スマートフォンを手放せないのは、人とのつながりを維持する必要があるからだと思うかもしれません。でも、お子さんもあなたとつながりを保つ必要があり、こちらのほうがより重要です。子どもには、脳内のネットワークをつくるのにそうした接触が不可欠だからです。人は孤立状態では成長することができません。人には人が必要なのです。(195ページ)
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