「デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義」
「デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義」(マイク・ヴァイキング 枇谷玲子 晶文社)
デンマーク幸福研究所所長の著者による、幸福研究についての本。最初と最後はやや学術的な説明も多かったが、哲学、心理学、統計学、生物学、社会学など、いろいろな観点から幸福について論じられていて、なかなか面白かった。
デンマーク幸福研究所のサイトである。一度行ってみたい。
幸福研究者の大半は、信頼こそ、ある国が他の国より幸福になる要因のひとつだと考えます。これはたとえば以下のような質問をすることで測れます。「他の大半の人を信頼できると思いますか? それとも知らない人は用心するに越したことはないと思いますか? 」すると社会への信頼と幸福度には、明らかな相関関係があることが分かりました。北欧諸国は信頼について、世界記録を保持しています。ここ北欧では、4人中3人が知らない人を信頼できると言います。一方、世界全体の平均は4人に1人です。(139ページ)
2つの異なる世界を想像してみてください。あなたはどちらに住みたいか選ぶことができます。ひとつ目の世界では、他の皆の年収が15万クローネであるのに対し、あなたの年収は30万クローネです。もうひとつの世界では、他の皆の年収が120万クローネであるのに対し、あなたの年収は60万クローネです。
この2つの世界の物価は同じです。ひとつ目の世界であなたは、2つ目の世界の半分のお金しか使えませんが、他の人と比べると、2倍もお金を使えます。ひとつ目の世界で、あなたの絶対収入は、2つ目の世界より少ないのですが、相対収入は多くなります。さあ、あなたはどちらの世界に住みたいですか?
これは1998年に初めて、ハーバード大学の学生グループにされた質問で、大半の生徒は、ひとつ目の世界を選びました。つまり学生たちは、稼げる額がより少ない世界であっても、周りの人より多く稼ぐことができるのであればそちらに住みたい、と臨んだのです。
学生たちはなぜ、貧しくなる選択をしたのでしょう? 使える額も少なくなるのに。もちろんこれは私たちの幸福が、私たちの社会における立場、ステータスに一部基づくからです。
私たちの幸福は、他の人に対する自分の立ち位置に左右されます。(153-154ページ)
この調査によると、たとえばFacebookの利用と生活満足度には、明らかな相関関係が見られました。Facebookを使えば使うほど、人は悲観的になるのです。(163ページ)
ただ、結婚している人が結婚していない人より幸福だからといって、必ずしも結婚することで幸福になるとは言えません。実際は、幸福な人が結婚できる、または結婚生活を維持できる可能性が高いだけのことなのかもしれません。(170ページ)
人間関係が幸福度へ及ぼす影響は、私たち幸福研究者が、ボランティアをする人たちは長期的幸福度が高いと断言する理由のひとつとなっています。
これはもちろん幸福な人たちがより利他的な行動をとりやすいこと、つまり他の人のために何かよいことをしようとしやすいこと、ボランティアをすることによって生活の質が高まることも理由になっています。(177ページ)
大半の国際的な幸福度調査では、都市部より田舎のほうが概して幸福度が高いことが分かりました。
(中略)
都市部では概して貧富の差が大きく、そのことが幸福度にネガティブな影響をもたらしています。(184ページ)
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