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「世界大異変」

「世界大異変」(ジムロジャース 花輪陽子 アレックス・南レッドヘッド 東洋経済新報社)

世界的投資家の著者による、世界経済の見通しについての本。巨大バブルの崩壊の予測や、それにどう対処すべきかなど、話が多岐に渡っていて面白かった。アメリカ人のためか、アメリカやドルに対するやや悲観的な意見があって意外だった。MMT批判もあった(34ページ)。「もし海外に行くのなら、大惨事に見舞われた国に行くのがよい。なぜならこれ以上はひどくはならないからだ。(中略)現実的には、移住は難しいかもしれないが、北朝鮮、ロシア、ジンバブエなどがおもしろいオプションだろう。」(35ページ)「危険な状況にこそ果敢に向かっていくのが私のスタイルだ。」(36ページ)など、面白いコメントもあった。注目している対象として農業やコモディティ(商品)を挙げ(40ページ)、環境重視へのシフトは(常にテクノロジーを進歩させる必要があるから)日本にとってプラスにならないと述べている(61ページ)。

「古代ギリシャの言葉で「戦争の最初の犠牲者は真実である」というものがある。」(79ページ)

「 日本の将来を考えたとき、ものすごい勢いで子供を増やすか、移民を受け入れるか、とんでもないスピードで借金を減らすかしない限り、この先も安全で豊かな社会が続く見通しは絶望的だ。若者が減って高齢者が増える。社会保障のサービス水準が変わらないとすると、数少ない若者に重税を課さない限り借金は増え続ける。
 このまま何もしなければ、日本には恐ろしい未来が待っている。すぐに消滅することはないが、経済破綻した他国と同じように、外資に買われまくる運命をたどるだろう。大多数の中間層は、今よりも貧しくなる。そうなれば、おそらく現在のような穏やかで豊かな社会は維持できなくなる。
 改めて、私は日本の子供たちに伝えたい。「あなたが10歳だったら日本から逃げるか、AK-47(携帯用の自動小銃)を使えるようにしろ」と。生きているうちに社会の混乱から逃げられないからだ。」(81ページ)

「 私は日本の農業には大きな期待を寄せている。例えば、イチゴや桃やブドウなどの果物は世界的に見ても高い競争力を持っている。事実、日本の果物が中国やシンガポール、ヨーロッパの高級食料品店で売られている。現地までは空路で持っていくわけだから、そのコストの分、値段は高くなる。それでも売れるということは他にはない価値があるということだ。
(中略)
 それと同じように、日本の漁業やその他の水産業にも大きな可能性があるのではないだろうか。あれだけ美味しいお寿司が食べられる日本で、漁業やその他の水産業の競争力が弱いはずはない。自らのポテンシャルに気がついていないだけだ。おそらく、農業と同じように従業者の平均年齢は高いのだろう。世界に目を向けたマーケティングについても、視野になかったに違いない。」(98-99ページ)

「 実は「待てる」ということも、投資家として成功するために大切な資質の一つと言える。待つことができずに失敗した投資家を数多く知っている。投資家に必要なのは、ほとんどの場合、何もしないことなのだ。私の経験上、利益を出した直後に、次の良い投資機会が存在することはない。なので、落ち着いて待つことだ。くり返しになるが、人生でたった20回の投資機会しかないと考えることだ。そうすれば、急がず、焦らず、次の投資機会を待つことができるだろう。」(132-133ページ)

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