50代後半がフルタイムで仕事をしながら1年強でなんとかTOEIC800点台から900点台にした話
昨年夏から今年秋にかけてTOEICを4回受験し、なんとか905点を取ることができた。
そもそもこの歳でムキになってTOEICを受験する人も少ないだろうし、800点台から900点台へというのもあまりニーズがない話だろうと思うが、参考にしていただける方がいるかも知れないので書いてみる。
〇そもそもなぜ英語を勉強するか
語学の勉強は、勉強方法よりも、モチベーションを保って長く勉強し続けることの方が重要だと思う。良くも悪くも、勉強しなくてもなんとかこの歳まで生きてこられたわけなので、勉強するとしたら、自分はどういう理由で、どういうスタンスで勉強するか、一度考えてみるのがいいと思う。勉強にあたっての私のスタンスは以下の通りだが、これは人によっていろいろ違うだろうと思う。
・お金はあまりかけたくない(お金は子のことや、親の介護にかけたい)
・時間はかかっても構わない(短期間で無理する必要はない)
勉強する理由は、自分の場合は定年まで働いても子がまだ未成年なので、再就職の助けになればと思って勉強している。とは言え、世の中そんなに甘くないだろうし、TOEIC900点台だけではそうそう簡単に職は見つからないだろう。
〇加齢を甘く見ない
情けない話だがこの歳になると、TOEICの試験時間(Listening45分+Reading75分=2時間)の間、集中し続けることがなかなか難しかったりする。またその日の体調によっても、集中力にかなり差がある。視力も聴力も落ちているし、指が乾燥してページをうっかり2枚めくってしまったりなど、若いころのようにはいかないことがいろいろある。でも、試験場には年配の方も結構おられるし、高齢者でもいろいろ気をつけた上で、がんばろうと思えばがんばれると思う。
〇現在の実力と将来の伸びしろを冷静に把握する
まずはあまり準備をせずに、TOEICを1回受験してみることをお勧めする。その上で、現在の実力と目標との差を埋めるために、(1)英語の実力をつけるか、(2)TOEICのテクニックを身につけるか のどちらに伸びしろがあるかを冷静に考えるといいと思う。自分の場合は明らかにListeningが劣っていたので、まずは(1)に重点を置き、最後の方は(2)もやって何とかした。
〇英語の実力をつけるための勉強方法(お勧め順)
(1)について、自分の場合は「お金をかけず」「持続可能な」以下の勉強方法を選んだが、他にもいろいろな方法がある。自分に合った勉強方法を見つけるのも、勉強のうちである。合わなければ他の方法を試せばいいし、ベストな方法は人それぞれだと思う。なるべく毎日勉強するようにして、勉強しない日があっても気にせず、また淡々と再開すればいい。幸い、お金をあまり使わなくても、勉強する方法はいろいろある。
<アプリ「BBC Sounds」で英語をたくさん聴く>
BBC Sounds: Radio & Podcasts (Android, iOS)
英国BBCのラジオや音楽を聴くことができるアプリ。利用登録の際に居住国と生年月日を入力したが、それ以外の個人情報は不要で、無料で利用できる。通勤の行き帰りなどでずっと聴いていると、英語の音に慣れてくる。全部理解しようとせず、気が向いたときに注意を向けて聞くのでもいいと思う。イギリス人の英語だけでなく、アジアやインドなど、いろいろな地域の英語も聴くことができるし、ニュースのトピックも日本のとはだいぶ違っていて面白い。私の一番のおすすめの勉強法である。
ずっと聞いていられるように、自分は以下のヘッドホンを使ったが、もっといいものもあると思う
<毎日ラジオを聞く>
月曜から金曜日、毎日15分のラジオ番組。英文はWeb上に全文掲載されるので無料で勉強できる。いろんなトピックについてのニュース英語を勉強できるので、聞いていて面白い。自分は英文を小さいノートの左ページに書き写して、右ページには単語と訳を書いている。
月曜から金曜日、毎日15分のラジオ番組。テキストは660円位。ここ最近は4月から9月に新作を放送して、10月から3月はその再放送なので、テキストは最初の半年だけ買えば間に合う。
<アプリ「NHKゴガク」で復習する>
アプリにはいろいろな機能があるようだが、自分は「ニュースで学ぶ「現代英語」」のニュースの動画を見るのに使っている。放送後1週間は、NHK worldのニュースの動画を見ることができ、上記のラジオの内容が頭に入りやすくなる。
<TOEIC公式問題集で試験の形式に慣れる>
試験の間際に「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」をやった。1冊の問題集に2回分の試験が収録されている。付録としてCDがついているが、下記のabceedアプリでも聴くことができる。最終的には問題集の2~10をやった。最新版は11である。まさにTOEIC試験対策という勉強だが、自分の場合はこれで何とか800点台後半から900点台にすることができたと思う。
<単語集で英単語を勉強する>
英検1級 でる順パス単 5訂版
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
後者は通称「金フレ」と呼ばれる。両方を毎日100語くらいずつ勉強した。覚えても覚えても忘れてしまうので、役に立ったかどうかはわからない。
<アプリ「abceed」で短時間のTOEIC模擬試験を受ける>
多くのTOEIC受験者が使っているようなので、自分も使ってみた。いろいろな機能があるようだが、自分は以下の2つの機能を使った。
(i)TOEIC模擬試験を受ける
(ii)「金フレ」や「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」の音声を聞く
(i)については、短時間(例えば30分)でミニチュア版のTOEIC模試をオンラインで受けることができる。いつでも何度でも受けることができて、TOEICの予想スコアなども表示されるので、ときどきやって実力を確認した。ただ本番の試験は2時間なので、やはり上で述べたTOEIC公式問題集も使うことをお勧めする。(ii)については、以下で述べる参考書の音声を聞くために使った。
アプリは無料だが、有料版だと機能が増える。(i)は有料版の機能である。料金は1年間で2万円位で、キャンペーン期間中は1万円位だったと思う。自分は1万円を払って使っているが、(ii)だけなら無料版でも良かったかなとも思う。
<BBCのテレビを観る>
TVKや千葉テレビでは、平日朝にBBCの2か国語放送を流している。英語の勉強にもなるが、純粋にニュースの内容を日本語で観るだけでも面白いと思う。
〇TOEICのテクニック
(2)は小手先の話のようにも思えるが、高得点を得るためには、TOEICのテクニックを身につけることもなかなか重要だと思う。
<Listening>
PART 1 写真描写問題:与えられた写真に合う英文を選ぶ問題。ひっかけに注意する(英文が例えば"She is wearing an apron"で、写真ではエプロンをつけた人が何かをしている場合、(今まさにエプロンを身につけている写真ではないから)この英文を選ぶのは正しくないなど)。
PART 2 応答問題:質問とそれに対する3つの答えの中から正しい答えを選ぶ問題。質問の最初の単語がWhatなのかWhenなのかWhoなのか、とにかく集中して聞く。そもそもどのような状況での質問かを理解するようにする(ただ"私はその会議に出ていない"など、ややはぐらかした答えが正解になることもある)。
PART 3 会話問題:複数の話者の英語が流れて、それについての答えを選ぶ問題。できれば英語が流れる前に問題文を先読みする。3問の問題のうち、できれば最初の1問は聞きながら回答するようにする。
PART 4 説明文問題:与えられたメニューや図表などについての英語が流れて、それについての答えを選ぶ問題。できれば英語が流れる前に問題文を先読みする。3問の問題のうち、できれば最初の1問は聞きながら回答するようにする。
<Reading>
PART 5 短文穴埋め問題:文法や語彙を問う短い問題。ここで手間取るとPART 7で時間切れになるので、なるべく速く解くようにする。
PART 6 長文穴埋め問題:文書の穴埋めや、抜き出した一文をどこに入れるべきかなどの問題。根拠となる部分を探しながら答える。
PART 7 1つの文書・複数の文書:与えられた文書についての問題。根拠となる部分を探し、かつ複数の文書の情報を結びつけながら答える。
自分はListeningでは、聞いてから回答するまでの間に、細部を忘れてしまうことがよくあるので、聞きながらどんどん答えていくようにした。またReadingでは、時間切れになってしまうことが多いので、雑でもいいからとにかく最後まで終わらせるよう心がけた。わからない問題や、時間のかかりそうな問題は飛ばして、後で戻ってくるようにした。
〇自分のTOEICスコアの推移
20代の頃のTOEICスコアも800点台前半だった。英検は準1級は合格したが、1級は全くだめだった。50代後半になって、思い立ってTOEICを受験した。
第331回(2023/8/20) L:395 R:420 計:815
第346回(2024/3/10) L:435 R:445 計:880
第364回(2024/9/14) L:475 R:410 計:885
第372回(2024/11/17) L:480 R:425 計:905
こう見ると、Listeningは順調に伸びていて、逆にReadingは全く伸びていないことがよくわかる。もしもっと高いスコアを狙うとしたら、Readingを何とかしないといけないし、そのための勉強方法を見つける必要があると思う。
〇ネットや本に出ている勉強方法
自分は割とアナログな勉強方法だったが、ネット上にはもっとハイテクな勉強方法が出ていて、参考になる。
また以前このサイトで紹介した本の中にも、YouTubeを観るなど、いろいろ有用な情報が書いてあるものが多い。
〇TOEIC批判
こんな記事を書くと、TOEICが大好きだと思われるかも知れないが、実はそれほど好きなわけではない。ただ、日本では英語と言えばTOEICという感じになってしまっているので、ある程度がんばってみる価値はあるとも思う。英語力と言っても、単語力や、大まかな意味をつかむ力や、緻密な翻訳をする力など、いろいろあると思う。それを3桁の数字一つで表すのには無理があるし、その数字だけで英語力をわかった気になってしまう現在の風潮は、(英語力が重要だと言っている割には)英語力の中身はそれほど重視していないのではないかと思ってしまう。
あとは、TOEICの試験のルールの中に「問題用紙に書き込みをしてはいけない」という謎ルールがあり、試験中に下線などを少し引きながら英文を読んでいたら、試験官に注意されて消すように指示された。指示には従ったが、なぜこのようなルールがあるのか、自分には全く理解できない。他にも、問題冊子を持ち帰れないなど、あまり教育的でないルールが多いように思う。