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マタトゥの話

ケニアの公共交通機関としては、長距離大型バス、シャトルバス、タクシー、マタトゥ、トゥクトゥク、ピキピキなどがある。

ピキピキは、オートバイである、10年前に来たときからあったが、今や本当に多くなった。20年前は、ボーダボーダと言って、自転車の後ろに客を乗せ、それほど長くない距離を運んでいた。私も1回くらい乗った記憶がある。横乗りだが、それはもう、スリル満点であった。

ピキピキの運転手はたまにヘルメットをかぶっているが、客は基本的にノーヘルである。私は怖くて乗ったことがない。

よく使うのがマタトゥ(matatu)である。ワゴン車。最大で20人前後は詰められる。

昨日、都市部の教会に調査へ出るため、マタトゥを使った。行きは途中まで空いていた(少しずつ客を拾いながら走り、終点近くまでに満員になる)。

赤い色は隣のシートに座っている女性の服
白いのが、隣席同士を橋渡しする板=補助席である

満席といっても、車に備え付けのシートどおりではない。シートとシートの間に板を渡してそこに席ができる。補助席の誕生。

行きは、私も調査助手君も備え付けのシートに座れたのだが、帰りが大変であった。

二人とも、この補助席(前後の席)。そこで、満員状態のときの人数を改めて数えてみた。

横並びを「行」としよう。まず、ドライバの行は、ドライバを含め、最大4人乗りだ。私も以前、ドライバの隣でぎゅう詰めになったことがあるが、そのときは私の右尻の下にギアがあった(笑)。日本だと考えられないだろうが、ドライバ目線でいうと「邪魔くさい尻」である(なので、心持ち右尻を上げた、気遣いのできる私だ)。

2行目。ここも補助席を含めて4人乗れる。3行目、4人。4行目、4人。5行目、4人。ここまでで20人。そして、肝心のもう一人の存在を忘れてはならない。

コンダクタ(車掌)である。

コンダクタの仕事は、止めるタイミングを車の天井等を叩いてドライバに教える、客から料金を回収する、大きな荷物を車に固定させるなど。なお、停留所など基本的にないので、客は下りたいときにコンダクタに伝えればよろし。

席の話に戻すと、コンダクタは前方に向かって左側のドア(ドライバの行を除くと唯一の出入り口)付近にいる。満員の場合は車体の側面から天井のカーブに沿って身を曲げて過ごす。かなりの長距離を走るシャトル(車両は同じワゴン)の場合はそこまでぎゅうぎゅうにはしないので、コンダクタの席もある。

そんなわけで、21人乗りはかなり疲れた。片道1時間くらいの中距離なので、ぎゅうぎゅうにすることが多いのだ。

なお、乗り降りのときのほか、荷物の多い客の荷物は、他の客の膝の上に載せることもよくある(別に気にしない)。また、昨日は、私の前の補助席に座っていた調査助手君が寝落ちしてしまい、隣の学生とおぼしき若い女性の方にもたれかかってしまったので、私が手を添えてもたれかからないようにしていたら、その女性が助手の頭をそっと自分の肩に寄せてくれた。ありがとうと言ったが、別になんてことないという顔であった。

料金回収のことを最後に書いておこう。コンダクタへの支払いは、現金かM-PESAである。M-PESAの場合、手っ取り早いのは、個人の携帯番号宛てへの送金の画面(携帯番号の入力画面)を出した自分の携帯を、コンダクタに直に渡すことだ。そうしたら、番号が入力された状態で渡されるので、次の画面に進み、運賃を入力して「送る」をタップすればよい。送金できたら、ショートメールで送金内容(宛先の番号、氏名、送金金額が記されたもの)が届く。コンダクタに求められたら、その送金内容の画面を見せればよい。昨日は、送金先の携帯番号の所有者名を言って確かめた乗客がいた。

一般の旅行者の方には、あまりおすすめできない乗り物だが、慣れると楽しいものである。

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