2021年刺さったアーティスト Part1
ご無沙汰しております。サボりにサボって約1年ぶりのnote更新になります。
コロナ第5波もおさまっている状況ですが、早い段階で今年の秋ごろ開催予定だった自主企画を翌年に延期したため、ノベルゲームをやるか聖地巡礼するか時々ライブを観に行く生活を続けております。後述しますが、おすすめは「白昼夢の青写真」です。Ryotaです。
今年も終わりに近づいてるので例の #今年の9枚 なるものをやろうかなって思ったんですが、どうせ9枚に絞れないほど素晴らしい音源あるし厳選するのだるいなって思ったのと、昨年「今年の9枚とか言ってて絞れてないやつは何やってもダメ」っていう「うるせ~!知らね~!ぶっ〇すぞ~!」って言いたくなるようなツイートを見かけたので、もうツイッターで上げるのやめてnoteにしたためることにしました。
ということで、タイトル通り今年刺さったアーティストを全5回(予定)に分けて紹介していこうと思います(というか1年間の良盤を年末にさかのぼるなら月一で定期的に更新しろって話ですよね。ごもっともな意見なので来年からそうします)
1. The Air I Breathe / Nothing Feels Sound (シングル)
メタルコアリスナーならご存知の方も多いはずのアメリカ・ニュージャージーのメタルコアバンド。2010年にリリースされたフルアルバム「Great Faith In Fools」リリースから10年、そして解散から7年経ってついに再結成。長年Like Moths To Flamesで活躍してきたドラマーのGreg Diamondが元々在籍していたバンドでもあり、LMTFを脱退してからこのバンドに戻ってきました。
TAIBといえば、テクニカルなシュレッドリフ&リードギターとVo. Tony Dougardの独特のしゃがれ声スクリーム&美麗なクリーンの対比が持ち味なのですが、アルバムリリースから10年経っても何一つ変わらないどころかよりモダンに洗練されている印象でブランクを全く感じさせない完成度の高さ。時代錯誤と言われようが知ったこっちゃねえ、カッコよければ正義。
2. Made in Me. / 東京回廊(アルバム 「Re:Habilis」収録)
神奈川・横浜および東京・町田を拠点に活動しているミクスチャーバンド、Made in Me.の1stフルアルバム。大変申し訳ないのですが、僕は夕闇に誘いし漆黒の天使達のある動画から知ってその時はよくいるギターロックバンドかな?って思って聴いてこなかったのですが、偶然Twitterでこの曲を聴いたときはあまりのメロディーの良さにノックアウトしました。速攻でサブスクDLしました。
インタビューでは「拝金主義とか、資本主義みたいなものに対する思いとか、今の東京の空の狭さ、道行く人が何を考えているかわからない感じとか、そういう憂いを絡めたかった」とのことですが、まさに今のコロナ禍だから感じられる「冷たさ」と「孤独」を女性vo.のゆかりさんがボーカルに乗せて表現しています。サビでいきなりディストーションギターがなくなるアレンジも独特で素晴らしいです。
3. Lost In Separation / Chasing Apparition(シングル)
Rise Records傘下のPale Chord所属(Spiritboxと同じレーベルです)のテキサス州ダラスを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコアバンド。Spotifyがなかったら間違いなく知りえなかったバンドの一つです。このバンドを知ったきっかけは2年前にリリースされた「If There Is Love」なんですが、Invent AnimateやERRA直系のテクニカルリフとプログレッシブメタルコアの基本をなぞりながらもハイトーンなクリーンと純粋なクオリティの高さは目を見張るものがあります。
RIFF CULTでも触れられていたのですが、その持ち味に合わせてボーカルのシャウトがハイピッチ気味で切れ味抜群なのと、独特で無機質かつ未来的なサンプリングもどこか個性的で妖しい魅力を感じます。個人的にもっと人気が出ないとおかしいと思っているバンドの一つ。
4. Hymn Above Traumatic Emotion / 幻実(EP「幻葬」収録)
耽美なビジュアル系のエッセンスやVtuberのキャラクター性(多分)を加えた、女性クリーンVo.をフィーチャーしたメロディックデスメタル・メタルコア同人サークル。何気に1stフルアルバム「OMBRA」から追いかけてるお気に入りでもあります。この世のありとあらゆる憎悪やら怨念やら負の感情をブラストビートや単音リフや歌詞やスクリームに入れ込まれていながら、コード観あふれるバッキングやメロディックなリードと壮大なシンセアレンジは一種の相乗効果をもたらします。
今回のEPでは、7弦ギターやワウを用いたソロや速さだけに頼らないリズム感などコンポーザーのKUHLEさんの作曲の幅も大きく広がり、意欲的な挑戦が伺えます。イラストレーターのRINNEさん(ナイスネイチャ推し)の負の感情が込められている前述のスクリームとゲストボーカルのぬのさんの力強く流麗なクリーンの対比も美しい作品。
5. Downswing / Shapeshifter(シングル)
自ら「EAST COAST TRASH」を掲げた、Modern Empire Musicのアメリカ・ニューヨーク州オルバニー発ポストハードコア・メロディックハードコアバンド。元々メンバーの何人かはAnimalというニューメタルコア・ダウンチューニングメタルコアバンドに所属していたのですが、脱退後にこのバンドを立ち上げたそう。昨年デビューアルバム「Good Intentions」(過去自分のnoteでも紹介)に携わっていたボーカリストBrett Colvinが脱退し、新しいボーカリストHarrison Seanorが加入してから2作目の楽曲になります。
前ボーカルのBrettのスクリームは独特で癖がある感じでしたが、新しく加入したHarrisonはクリーン&スクリームもシンプルにそつなくこなす万能選手のイメージです。楽曲もメタリックかつグルーヴィー、それでいてキャッチ―なコーラスなのですんなりと入りやすいと思います。アレンジもモダンメタルコア特有の「ブレイクダウンの時にチューニングが変わる」ギミックも搭載しており、まさに新世代ハードコアバンドの一角を担うであろう存在。
6. Nimbus / Lost Esthesia feat. Yosuke from UNWAVERING(シングル)
東京を中心に活動しているメタルコアバンドの4thシングルから。元々はSailing Before The Windから影響を受けているかのようなメロディックメタルコアサウンドだったが、現ギタリストたにき君加入後は徐々にこのバンド特有の独特かつ多様なアプロ―チを行うように。特にこの作品の前にリリースされた極悪なビートダウンが持ち味の「Bloody Trigger」はその好例とも言えます。Vo.たまちゃんの化け物じみた声量から放たれるスクリームもその一端を担っていると言えます。9月にUNWAVERINGのレコ発で観た時も圧倒されてました。
この曲に限って言えば、A Ghost Of Flareにも通ずるような日本語詞を交えた叙情性の高いメロディックメタルコアなんですが、たまちゃん曰く「日本詞入れれば叙情だと思ってる人へのアンチテーゼ」「あくまでもNimbusというバンドの一側面に過ぎない」とのこと。もうすぐリリースされるであろう5thシングル「Nova」もリスナーの度肝を抜くような異次元ブレイクダウンと激エモ最強リフと悪魔召喚ボーカルアプローチが詰まっていると思います。
7. Holding absence / Afterlife (アルバム「The Greatest Mistake of My Life」収録)
現行ポストハードコアシーンにおける最重要バンドの1つ。この作品から初めてちゃんと彼らの楽曲を聴くようになったので、過去作品は後追いでしたが、霧がかかった森をイメージさせる陰鬱で哀愁漂うポストハードコアから、森から抜け出た平原をイメージさせる光さす太陽がかかった温もり溢れるサウンドに変化したように思えます。同じようにモノクロ調から鮮やかで温かみのある色調の世界観の変化も見られております。ただタイトルを直訳すると「人生最大の過ち」なので、決して明るいとは言えないのは変わらないかと。ちなみに僕の人生最大の過ちは大学生の時にD&Gの財布を紛失したことです。
その壮大なスケール感と叙情的なメロディはまるで映画のサウンドトラックを通り越して耳で聴くアカデミー賞ノミネート級の映画。聖母のごとく優しく温かかくも切ないメロディはまるで一冊の大作小説を読み終えたような読後感ににた感覚を呼び起こすと思います。
豆知識ですが、現在ツアーやフェスでサポートギタリストをしているToby Evansは元々Caseyというメロディックハードコアバンドのギタリストです(現在は解散)。
8. View From The Soyuz / Attestupa(EP「In Misty Path」収録)
ex. MILLのVo. マサ君、多くのバンドをギタリストとしてサポートしているナリサワ君、そしてDisease of the FadeやALIENGUMでもドラマーとして活躍しているシュンスケ君の3人を中心に今年始動したメタルコア/ニュースクールバンド。
00s Metalcoreを主軸とした楽曲+現代ハードコア要素を混ぜたような楽曲陣はMILLの精神性を引き継いでおり、随所に入れられるフューリーエッジ・ニュースクール的展開は、ハードコアモッシャーの皆様も裸足で踊りだすこと間違いないと思います。鋭角なアップライズ必須のアグレッシブかつメロディックなイエテボリリフと前述の現代ハードコア要素を混ぜた音楽性は、常に斬新かつ突飛なアプローチが求めがちな現在のメタル・ハードコアリスナー達に一石を投じるであろう一作になるかと思います。
今後精力的に各地のライブにも出演していきたいとのことなので、イベンターの皆様はぜひアプローチしてみてください。(あわよくば誰かVFTSと一緒にStainedやFallen Grace, World Collapse In My Burdenあたりを火影に呼んで、救急車が出動するレベルの異臭騒ぎが起こりそうなイベントを開いてください)
9. Aphasia / Recover(アルバム 「Rebirth」収録)
アメリカ・ニューヨーク州ロチェスター発プログレッシブメタルコアバンドのデビューアルバムから。このバンドもSpotifyの恩恵を受けて出会ったバンドの一つです。「This Means War」期のAttack Attack!をややデスコア寄りにしたリフワークながらも、センチメンタルかつアンビエントなメロディと伸びのあるハイトーン・クリーンの組み合わせに惹かれます。知名度はまだまだ高くないながらも確かなクオリティがあるかと思います。
動画の曲はアルバムの最後の曲なんですが、上記の例に漏れずアグレッシブなスクリームとリフワークを交えながら、アンビエントなクリーンギターとクリーンボーカルではっきりと対比を魅せているかと思います。あと個人的に3拍子のリズムが好きなのもあってこの曲をピックアップさせてもらいました。3拍子は叙情、わかりますよね?
10. ELYSIUM / Mindless Receiver(シングル)
東京を中心に活動する、プログレッシブメタルコア・Djentバンド。僕ががっしー君と組んで人生で初めて自主企画を開いた「Buried Alive」にも出演して頂きました。直後にいろいろあって当時のボーカリストを解雇し、解散の危機に陥るかと危惧されていましたが、メンバー募集を行い二人のボーカリストが加入したことで無事に再始動しました。
人の四肢を切断できるくらい切れ味の鋭いチャグやフロアの人間を圧○させることが出来るくらいの地響きを起こしそうなベースドロップはそのままに、周平さん(歌い手)を彷彿とさせるような特徴的なスクリームとクリーンを放つツインボーカルは間違いなく唯一無二。また、このPVのようにトラップ/ヒップホップ要素も取り入れた、チャラさと東洋直系の妖しさとソリッドさをミックスさせた意欲的なアプローチも見られます。本当に中毒性が高い。
また、楽曲と関係ないけどDr.のふぃん君はこの記事読んでたら早く「結城友奈は勇者である-大満開の章-」を観てください。
11. No Face No Case / Out of Blue(シングル)
チェコ・プラハを拠点に活動するニュー・ビートダウン / スラミング・ビートダウンバンド。ひたすらスラムして落とすシンプルかつバイオレンス、でも踊りだしたくなるようなリズムはビートダウンとしても新しいスタイルを確立しつつあり、SLAM WORLDWIDEでも人気の高いバンドです。音も映像も情報量が多すぎて混乱しそうなのに気持ちよくなってしまう謎の中毒性があります。
14歳の不良少年が書いたんかってレベルの卑語連発の低俗な歌詞(もちろんいい意味で)は一時のAttilaやEMMUREにも匹敵すると思います。「スラムとベースドロップとエアホーン鳴らして、強めのビートダウンとラップを入れたらカッコよくなるじゃん?」っていうDQNマインドはどことなく大阪のネオヤンキーハードコアREVERSE BOYZにも通ずるところがあるかなと。多分気のせいだと思いますが。僕にだってたまには小難しいことを考えずに馬鹿になりたい時間があるんです。
12. HARDSHIPS / Our hearts, strong ties (シングル)
栃木・宇都宮を拠点に活動するハードコアバンドのシングルから。Give LifeやComeback Kidを彷彿とさせる、パワーコードとオクターブ奏法主体のスピード感を活かした軽快に駆ける展開とモダンオールドスクールにも通ずるスポーティーでタフに落としていくモッシュパートには踊らずにはいられなくなります。僕も夏ぐらいにこのバンドを知ったのですが、この音源を聴いてから一気に引き込まれ、つい先月名古屋まで行って念願の生ライブを観に行ったんですが久しぶりに「大阪から観に行った甲斐あったな~」って思っちゃいましたね。
軽快に走って走って落とすシンプルな曲展開がここまでカッコよくなるんだって改めて感じた作品。個人的には北関東のバンドは知識が浅いので他にお勧めのバンドがいたら是非教えてください。
13. Arborist / Worriment (EP「Mori 森」収録)
アメリカ・ルイジアナ州ニューアイビーリアを拠点に活動するメロディック・ハードコアバンドのEPから。このバンドもSpotifyを始めるまで知らなかったバンドの一つです。バンドのロゴの「O」を形どった二つの木の枝を挟んで「森」の漢字をさらっと入れるあたりセンスを感じます。並大抵のバンドは世界観に合わないフォントを使うことが多いので。。。
肝心のサウンドはメロディックハードコアのコード観&疾走感は崩さないエネルギッシュなリフワークとプログレッシブメタルコア寄りのリードがバランスよく交わっている作品。そのサウンドはジャケットの雰囲気も相まって本当に自然豊かで澄んだ空気を醸し出した山の中にいるような感覚と錯覚しそうになりますが、そう思うのは決して自分だけではないと信じています。NapoleonやCounterpartsあたりのリスナーに聴いてほしいです。
14. Laplacian / into gray (PCゲーム「白昼夢の青写真」OST 収録)
今回の特集の中では唯一ゲーム作品からの選出になります。冒頭でも述べた僕が今年一番ドはまりしているPCゲーム「白昼夢の青写真」のOPテーマの一つです。元々は成人向け作品なんですが、早ければ年内に追加要素マシマシの全年齢版がsteamでリリースされるっぽいので、僕がどういう人間か知っているオタクは是非プレイしてみてください。
↑横浜ランドマークタワーからの夜景とパッケージイラストの比較、完全に一致してて叙情泣きしました。
曲の歌詞や映像の内容に触れると物語本筋のネタバレになるのでここでの言及は避けさせていただくのですが、ポストロック・スワンコアを彷彿とさせるアトモスフィア(あくまでも個人の感想です)は叙情系を聴いている方も何となく感じ取ってもらえるかと思います。Vo.の宮本由来さんの歌詞に合わせた細かいアプローチも注目です。このゲームクリアしてから聴くと染み入りすぎて泣き出すオタクと化します、多分。
15. Earth Caller / Choke (EP「There Are Things Worse Than Death」収録)
オーストラリアを拠点に活動するメタルコアバンドの最新作。元々メロディックハードコア要素を取り入れたタフなメタルコアサウンドを奏でていたものの、前作「Crook」ではラップパート・ニューメタル要素を取り入れて引き出しの多さを見せつつも、それまでの叙情的な要素は損なわれないというバランス感覚の良さが垣間見えていました。
今作ではデスコアの女王でTiktokerとしても有名なMisstiqをフィーチャーし、荘厳なシンフォニック要素やブラストビートなどデスコア要素をふんだんに取り入れたEPをリリース。しかしながらタフでグルーヴィーなメタルコアサウンドはやはりEarth Callerであることを思い出させてくれます。これから注目を集めるであろうオーストラリアのメタルコア・ダークホースとしての期待が高まる意欲作。今からチェックしても遅くないですよ。
番外編 YUSHABU BAND / U・D・N (EP「U・D・N」収録)
現在放送中の「結城友奈は勇者である-大満開の章-」の1話の挿入歌的な何か。女子中学生のメインキャラクター達がバンド演奏をするシーンがあるんですが、なぜかチューニングがドロップCのラウドロック・メタルコア。フルモッシュ必至なビートダウンパートとマキシマムザホルモンインスパイア系のスラップパートが見どころです。歌詞の内容はうどんなのにしれっとほかの麺類も混ざります。
というわけで、1年間の振り返りとしてこんな感じでまずは15曲+αを紹介してみました。とりあえず年末までにあと最低4回は更新するので、引き続き要チェックしていただけると嬉しいです。素敵な音楽で生活を豊かにしていきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。感想とかTwitterでもらえると喜びます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?