福岡インディペンデント映画祭2022 作品紹介 その⑪(1106-P1)
(部門最優秀作品・グランプリ作品→特別招待上映作品を終盤に紹介するため、先に11月6日のプログラムについて書きます)
11/6(日)第1プログラム(10:20~12:00)
'若者のすがた、社会のすがた 優秀中短編特集'
「生きづらさ」という言葉がこの社会を考える上で外せないキーワードになった中、それを正面から、更には立場の異なる若者の視点から描いた2作品を上映します。
ここで映し出されるのは、近くにいる誰かでもあり、観ている自分自身でもあるはず。そして周りの人への視線も、少し変わるかもしれません(画像クリックで作品ページに飛びます)。
『名無し草たち』(監督:橋本英樹、49.19min)
これこそ正に画面の中だけではなく、観る人自身の話でもあるはず。
様々なつらさを抱えて生きる人、特にその真っ只中にいる若者の姿をストレートに描き、かつ誰かが誰かを抑圧することが巡り巡るさまが可視化される。この現実や連鎖から抜け出せる術はあるのか、変えられる可能性はあるのか。それも問われることになる。
作り手の静かながらも強い思いが見える、稀有な作品です。
『ふたり ~あなたという光~』(監督:佐藤陽子、39.55min)
ひとりで抱え込まなくてもいい。障がいや病気のある子の兄弟姉妹である「きょうだい」に光を当て、2021年の神戸インディペンデント映画祭グランプリなど、各地の上映で多くの共感を呼んだ注目作。
監督は2020年の優秀作品『わたしのヒーロー』、そして今年発表の『陽菜のせかい』で作品ごとに評価が高まっている佐藤陽子さん。
ずっと家族に囚われないといけないのか、逆に捨てるしかないのか。それとも別の道があるのか…。「現実」とは何かを考えさせられ、主人公・のぞみの葛藤とともに心が揺さぶられる40分。
文:大塚 大輔(プログラミングディレクター)
福岡インディペンデント映画祭2022は、11月3日から6日まで開催されます