【FIDFF2020特別プログラム】犬童一心監督のムービー・ラボ
2012年に始まった、犬童一心監督をお迎えしてのコンペ年恒例の公開プログラム「犬童一心監督のムービー・ラボ」。7回目を迎えた今年は、最終日の11月23日(月)14時~16時に映画祭会場の階下にある六本松蔦屋書店のイベントスペースで開催しました。
会場入り口にディスプレイした、蔦屋書店でレンタルされている犬童一心監督の過去作品DVDを目にして足を止める人も多く…(特に、嵐のファンと思しき母娘など…)
一昨年までとは異なるスタイリッシュな雰囲気で、参加者が気持ちよく話すことができるよう、音響やレイアウトなどのセッティングにご配慮くださった六本松蔦屋書店の皆さんに、この場を借りて改めて感謝申し上げます。
(犬童一心監督のサインも店内に飾られているはずです…!)
今回登場した受賞監督・関係者は下記の6組になります。
鬼木幸治監督(20分部門『Blumen und Funken』)
大川裕明監督&ピースケさん(40分部門『ファミリーファミリー』)
川西薫監督(60分部門『子供は天使ですか』)
吉田惇之介監督(アニメーション賞『蘆屋家の末裔』)
元木伸一監督(ドキュメンタリー賞『ダイオウイカ大解剖』)
松尾豪監督(グランプリ『グラフィティ・グラフィティ!』)
※監督が不在の『はい、ええ転です。』『そしてまた私たちはのぼってゆく』はメンションのみ
このプログラムは、映画祭メンバーだけでは気付かない、もしくは言語化が難しい各作品・作り手の細部・深部について、犬童一心監督と作者のディスカッションを通して、作り手の方には自身の映画作りを省みるきっかけに、観客・映画祭メンバーにとってはより深く楽しく映画を観る一助となることを目的に開催しています。
今回も各作品、様々なポイントから話が拡がりましたが、一番名を上げたのは「最もレベルが高かった」と言及された60分部門『子供は天使ですか』の撮影監督・平野礼さんではないかと思います。犬童監督も川西監督に「平野さん紹介してよ」と言うなど、かなり本気の様子で…。
犬童一心監督はこのFIDFFや若手映像作家の登竜門とされるぴあフィルムフェスティバルなどで出会った人たちと実際に仕事をするケースも多々あるので、近い将来、犬童監督の作品にも平野さんがクレジットされるかも…と楽しみがまた増えました。
平野礼さんはFIDFF2013グランプリ作品『家族の風景』(佐近圭太郎監督)では照明としてクレジットされていますが、近年は『わたしは光をにぎっている』『四月の永い夢』(共に中川龍太郎監督)など評価の高い劇場公開作品で撮影・照明として携わっています。今後の作品にもぜひ注目してみてください。
前日の授賞式でのスピーチ、映画祭パンフレットのコメント、そしてこの「ムービーラボ」の内容と、犬童監督の話で一貫していたのは「たやすくルーティンに陥っていないか、無自覚に誰かがやっていることをフォローしてラクしていないか、まず自分を考えてみて」ということだったように思います。それは作り手だけでなく(FIDFFを含む)映画祭と観客に対しても同じではないかと。
受賞の有無に関係なく、今回FIDFFに来て下さった皆さんが、犬童監督の言葉も含め、次の創作の助けになるものを何か持って帰ってくださっていたら幸いです。そしてもちろん、より良い映画祭になるようがんばらなければ…と改めて思った次第です。
ところで『ダイオウイカ大解剖』パートでは、実は今回受賞の50分版は小中学生が教材として観ることを意識したもので、編集・構成が異なる70分のフルバージョンもあることが元木監督から明かされました。
『ダイオウイカ大解剖』は、今回の映画祭で最も反響が大きかった作品のひとつなので、来年度は70分版でのリバイバル上映を考えています。ぜひお楽しみに。