漢方の飲み合わせに関するご質問にお答えします
皆さんこんにちは
産婦人科医の内田美穂です。
皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。
今回は、「漢方の飲み合わせ」に関するご質問についてお話したいと思います。
漢方は、医療機関以外にネットや薬局で気軽に購入できるのですが、薬の飲み合わせについてご存じない方も多いため、今回の内容を参考にしてより安全にお使いいただけたらと思います。
Q1.漢方は何種類も内服していいのでしょうか?
1種類の漢方ですべての症状が緩和されることが理想ですが、実際には多種多様な症状に対して複数の漢方を使用するケースがあります。
その際に気を付けていただきたいのが、次の4つの生薬「麻黄、甘草、附子、大黄」です。
これらが含まれている漢方を複数内服する際は、副作用が強く出てしまう可能性があるので注意してください。
気をつけたい生薬 ①麻黄(マオウ)
交感神経を刺激するエフェドリンを含むため、多量に服用すると、不眠、多汗、動悸、脱力感、精神興奮などがあらわれることがあります。
麻黄が含有している有名な漢方として、葛根湯やダイエットに使用される防風通聖散などがあげられます。
②甘草(カンゾウ)
低カリウム血症をきたし、悪心嘔吐、筋力低下、麻痺、不整脈などの症状が出る可能性があります。
2.5gを超える量は特に注意が必要です。
③附子(ブシ)
植物のトリカブトを使用したものです。
鎮痛作用、温める作用があるため、痛みや冷えなどに対して使用されます。
しかし、トリカブトは毒があることで有名な植物です。
処理によって毒は弱くなっていますが、附子の用量が増えると、のぼせたり、舌がしびれたり、悪心などの症状があらわれることがあるので要注意です。
④大黄(ダイオウ)
便秘を改善する際に使用されますが、多量に服用すると下痢になります。
インターネットで薬を検索すると含まれている生薬の詳細がわかりますので、確認しておくことをお勧めします。
Q2.漢方と西洋薬の飲み合わせについては?
以下の3点に気を付けていただければ、そのほかの併用は問題ないと考えられています。
絶対に併用してはいけないのが、①小柴胡湯とインターフェロンです。間質性肺炎になる可能性が高くなるため併用しないでください。
また、このほかに注意が必要なものとして、②麻黄が含まれる漢方と喘息の薬の併用です。不眠、頻脈、動悸などが生じやすくなります。
次に、③甘草が含まれる漢方と利尿作用のある薬剤の併用です。低カリウム血症が生じやすくなります。
どんな薬でも副作用のリスクはつきものです。
知識を得て安全に使用しましょう。
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