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思春期ニキビの漢方治療~十味敗毒湯~

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「思春期ニキビの漢方治療」についてお話したいと思います。

思春期のニキビに対して保険診療で処方できる漢方、十味敗毒湯の説明をします。


【ニキビの原因と治療】


まずは、ニキビができる原因から説明します。

主に次の3点が挙げられます。
・毛穴のつまり
・皮脂の過剰な分泌
・アクネ菌の増殖

皮膚科の保険診療として、「毛穴のつまり」、「アクネ菌の増殖」に対してBPOやアダパレンの外用剤や抗菌薬が処方されます。

「皮脂の過剰な分泌」については、これらだけでは不十分であるため自費治療でイソトレチノイン、スピロノラクトン、低用量ピルなどの内服やピーリング、レーザー治療などさまざまな治療が行われています。

しかし、いずれも自費であるためそれなりの費用が掛かってしまいます。

特に思春期の時期は、ホルモンの影響で皮脂の分泌が促進されるため、ニキビが生じやすく治りにくいケースがあります。

そこで保険診療で処方でき、皮脂の分泌を抑え、炎症を鎮める効果が期待できる漢方、十味敗毒湯を紹介します。

【十味敗毒湯とは】


この漢方は名前の通り、10個の生薬から構成されている漢方薬で、消炎・解熱・抗菌に働く生薬、排膿に働く生薬の他、皮疹や掻痒感を抑える生薬で構成されており、ニキビに限らず、様々な皮膚トラブルに用いられています。

また十味敗毒湯には皮脂合成の抑制作用が報告されており、西洋薬と併せることで治療効果の向上が期待できます。

炎症を早い段階から落ち着けることは、治療期間の短縮だけでなく、ニキビ跡を残さないためにも重要です。

そして十味敗毒湯のもう一つのメリットとしては粉薬の他に錠剤の製剤もあります。

特に若い世代の方では、粉薬を服用できない方もいるので、そういったケースでも使用しやすいお薬です。

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