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【ネタバレ感想】ベヨネッタ3

プラチナゲームズが誇る人気アクションゲームの3作目、「ベヨネッタ3」のストーリーを一通り遊び終えたので感想を書きます。

簡潔な評価を見たい場合は目次から「まとめ」まで飛んでください。


ベヨネッタ3 とは

Nintendo Switchで発売。魔女である主人公・ベヨネッタが、格闘や銃撃、魔獣召喚などを駆使して華麗なコンボを決めるスタイリッシュアクション。平和なニューヨークを突如襲ったホムンクルス、見知らぬ世界からやってきた謎の魔女「ヴィオラ」はこの襲来を止めるためにベヨネッタを探しにやってくる。ベヨネッタとヴィオラ、そして盟友ジャンヌは自らの住む世界を侵略から守るため立ち向かう。

!!!!! 注意 !!!!!
以下からは過去作も含め大きなネタバレが含まれているため、
展開を知りたくない方はご覧にならないようお願いいたします。

ゲームプレイ

ベヨネッタシリーズの強みはそのままに、エンタメ性を何倍にも広げて面白さを格段に上げていて驚きました。

基本的には従来どおりのスタイリッシュアクションで、各攻撃のコンボは気持ちがよくウィッチタイム(敵の攻撃をギリギリで回避すると周りがスローになる能力)と合わせてとにかく爽快感のあるバトルを楽しめます

ベヨネッタの基本アクション。
かんたんな操作で爽快なコンボが繰り出せるので、気持ちの良い戦闘が流れるように続く。

それに加え、新たに加わった新要素「デーモンスレイブ」で大魔獣を召喚し魔獣ごとのアクションで敵を圧倒したり、物語の進行に伴って開放される個性豊かな武器で好みの遊び方を極めたりと、まさにベヨネッタっぽい(そしてプラチナゲームズっぽい)アクションゲームとしての幅広さを感じられました。

今作はそんなベヨネッタに加え、新キャラクター「ヴィオラ」を操作するパートもあるのですが、これも私としてはなかなか面白かったです。ヴィオラは剣での斬撃を主体とするキャラクターですが、華麗で爽快なベヨネッタと比べるとやや荒っぽく攻撃に癖があり、ベヨネッタのパートとはまた違う戦闘が楽しめました。

剣での戦いを主体とする新キャラ、ヴィオラ。
戦闘に癖があり、ベヨネッタとは違う楽しさがある。

逆に言えばベヨネッタほどの爽快感はありませんが、主な原因はウィッチタイムの発動条件の違いです。敵の攻撃を回避して発動させるベヨネッタに対し、ヴィオラは剣でのジャストガードでそれを発動させますが、これが驚くほどにタイミングがシビアでなかなかうまくできません。そのためコンボが止まることも多く、慎重な戦闘にならざるを得ないわけです。(これはヴィオラの駆け出し魔女の設定を表現した操作性とも取れますが)

またその2人だけにとどまらず、ベヨネッタ最大の友「ジャンヌ」のパートも存在するのですが、こちらはなんと横視点のスパイ・アクション。ベヨネッタやヴィオラほど操作パートは多くないものの、そもそもゲーム性からガラリと変わるので別のゲームで遊んでいるかのよう。(しかも毎回カウボーイビバップみたいなおしゃれオープニング映像が流れるこだわりっぷり)

ジャンヌパートはスパイ・アクション。

そして何より最高なのが、各ボス戦などのイベントパート。つい数分前までコンボを繋いでいたかと思えば、

いきなり大怪獣バトルが始まったり……

往年の縦スクロールシューティング風になったりと、とにかく遊び心が満載です。他にも様々な映画やアニメのオマージュ演出が入っていたりと、わくわくしてニヤリとできるシーンも豊富にあるのがベヨネッタらしいですね。

爽快なコンボで魅せるベヨネッタ、荒々しさでシビアな戦闘を楽しむヴィオラ、スパイ・アクションで雰囲気を変えるジャンヌ、そしてそれぞれゲーム性が違うボス戦。今作はシリーズ最大級にいろいろな遊びが1つのゲームの中に詰め込まれており、様々なパターンで常に新鮮に楽しめるように工夫されています。

ベヨネッタシリーズが好きな人もそうですが、ゲームという媒体が好きな人へのたくさんのサービスが詰め込まれていて、個人的にはゲーム体験としてはシリーズ最高傑作だと思いました。

ストーリー

今作は混沌界(人間の住む世界)を舞台にしたマルチバースがテーマですが、そもそもベヨネッタの世界でこんなにSF色が強い設定が出るとは思っていなかったのでかなり驚きました。どの世界のベヨネッタも、強く美しい魔女であることは共通していて良いですね。

新キャラ・ヴィオラは操作こそ難しいものの、他の主要キャラと差別化された設定はかなり面白いと感じました。彼女がいるとコメディ色が強くなったり、稚拙さや荒々しさが見えたりするのもいいアクセントになっていると思います。

物語全体を見ると、これまで愛を表現されてきたベヨネッタが、今作で明確に他者への愛を表現していたのはかなり印象的でした。1作目で母の想いを知り、2作目で真の父を知ったベヨネッタが、今作で最愛の人に気づき(平行世界の)我が子へ愛情を受け渡していく展開が、まさに運命的で素晴らしいと思います。

ラストシーンで1作目のデザインと2作目のデザインのベヨネッタが現れた部分に関しても、考察の余地はありそうです。そのまま見れば彼女らは各作品の主人公で「ベヨネッタが毎作コスチュームと武器を変えていたのは、各作品が違う並行世界の話だったから」という結論が出せそうですが、個人的にはやはり3作目の彼女は1、2作目から引き継いでいる存在だと信じたいです。(じゃあデータ引き継ぎ特典の武器の説明はどういうことなのかと言われると、そこも無理やり否定するしかないですが……)

そして、今作で「セレッサ3部作」とも言える流れを完全に終わらせに来ていたのも衝撃でした。ジャンヌ、ルカ、平行世界を含む全てのベヨネッタの消失、そして「To be continued in a new generation(次なる世代へと続く)」というメッセージは、次回からはシリーズとして心機一転し展開していくことを確実に打ち出しています。

どんなピンチでも最終的には乗り越えて余裕な顔をしてきたベヨネッタだけにこの展開は非常に辛いものがありますが、次回作の参入障壁を低くしつつマンネリ化を防ぐという意味では良い展開なのではないかなと思いました。とは言え、ヴィオラの父親(多分ルカ)が生きているのを匂わせてもいるし、セレッサもまたしれっと出てきそうな気がします……

惜しい点としては、並行世界それぞれの物語が薄味なこと。並行世界のベヨネッタを見つけ共闘するも、平行世界のベヨネッタはやられてしまい魔獣や武器を託される流れは毎回ほぼ同じで、やや単調に感じました。

そして、特に後半の展開は説明不足で、唐突な設定で何が起きているか分かりにくいまま物語が進むので大切な要素にあんまり集中できませんでした。エンディングは多分、平行世界が1つに集約されるなどして平和な世界に書き換えられたものだとは思うのですが、それに至るまでの描写がもう少しあれば良かったかなと思います。

サウンド

相変わらず個性豊かなジャズナンバーが、ベヨネッタのスタイリッシュで華麗な面をばっちり表現していて素晴らしいです。ジャンヌパートのOP曲もアニメーション込みで最高。

対照的に、ヴィオラに関する楽曲やSEが激しめのロックになっているのもいいですね。見た目からそうですが、その粗暴さが音として表れている上に、今作までのお馴染みを断ち切るかのようにベヨネッタと曲調を変えているのが面白いです。

グラフィック

各並行世界のベヨネッタはそれぞれ別の国や時代をモチーフにしていていますが、オリジナルとは全然違いそれぞれ奇抜な姿だけどなんとなく「この世界のベヨネッタならそうかも」という納得感が出るいいデザインです。

サウンドや演出面でもそうであったように、ヴィオラの見た目は従来のベヨネッタっぽさとはずらしており、その性質をパンクロッカーのように表現してるのも好きなポイントです。

ただ、ハードの制約上しょうがないとは言え、テクスチャの粗さや激しい場面での残像が気になる部分も多くありました。特に序盤の渋谷は人工物ばかりなので、凹凸が少ないモデルにのっぺりしたテクスチャが貼られていて、カットシーンなどでそのチープさが目立ちます。

逆に罪・ゴモラのディティールなどのこだわっている部分は、細部の表現が素晴らしくて大興奮でした。

罪(シン)・ゴモラのビーム発射直前。
口が大きく避け全身から放熱する演出などが完全にシン・ゴジラのそれで笑みが溢れる。

まとめ

ゲームプレイ:気持ちのいい爽快なアクションと高いエンタメ性が詰まっていて、最後まで飽きずに楽しめる。ゲームという表現媒体が好きな人におすすめ。

ストーリー:説明不足な箇所があり各並行世界の物語は単調。しかし、全体に流れる謎やテーマは非常に興味を惹き付ける。一区切りつけるには悪くない展開。

サウンド:全体を通しベヨネッタを表現したジャズは魅力的。その中に差し込まれたヴィオラをモチーフとするロックサウンドも、いい異物感があって面白い。

グラフィック:キャラデザインはあらゆる可能性を探っていて楽しい。テクスチャやフレームレートなどは次世代機に期待。

総評:遊んで楽しい娯楽というゲームの性質を見た時、1本のゲームで得られる体験としてはかなり素晴らしい出来だと思います。今後は雰囲気こそ共通なものの全然違う操作感のゲームになるかも知れませんが、このバラエティ豊かなゲーム性は残しておいてほしいですね。
今後のシリーズ作品も楽しみです!

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