見出し画像

書きたい言葉を引き出すための
鍵を探している。鍵はある私の
喉の奥底に。喉を今にも突き破
りそうに虎視眈々と三日月の先
が鋭く光る瞬間を見つめている
何かが指に触れた。硝子の破片
皮膚を切り裂き血の叫びを呼ぶ
血は叫ばない。繊細なアリアの
冷たい川の流れが降りてくる。
その冷たさに驚いて言葉になら
ないものがあふれて流れ込んで
くる。言葉にならないものたち
を繋ぎ合わせて詩を書くと記憶
の深淵から聴こえてくる声のな 
かに見たことのない世界の息吹
が熱く熱くこの肩を濡らしてい
る。喉を掻き切った鍵の行方は
わからないがひりついた痛みが
私の存在を消えない焔としてい
つまでもいつまでも揺れている

いいなと思ったら応援しよう!