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私を救ったプログラミングを子どもたちに還元する / 石川麻衣子(Kids Code Club 代表理事)

企画・制作:Ambitions

一般社団法人 キッズコードクラブ
設立:2016年5月5日(任意団体)・2020年9月1日(一般社団法人)

プログラミング学習プラットフォームの開発と、バーチャル空間で子どもが学び合うコミュニティ事業を展開するソーシャルスタートアップ。

人生を変えられたのは、「ITが好きだったから」

一般社団法人 キッズコードクラブの代表理事 石川麻衣子さんは、2008年に1社目となるWeb制作会社を起業しました。家庭環境に悩みを抱え、経済的な問題から大学を中退。そんな石川さんの一筋の光は、ITへの興味関心でし
た。友人から譲り受けたパソコンを使い、独学でWeb制作を学習。起業をかなえるまでにスキルを磨いたそうです。「私自身、ITを学んでひとつずつできることが増え、それが自分への自信につながり、起業に至りました。私と同
じような境遇にある子どもたちは大勢います。この成功体験を子どもたちに共有することで、プログラミング技術はもちろん、どんな困難にも立ち向かえるマインドセットを養ってほしい。そう思い、キッズコードクラブの立ち
上げを決意しました」

2016年にプログラミング教室の活動を始め、2020年に一般社団法人キッズコードクラブを設立。現在、プログラミング学習のコミュニティ活動への参加者は、のべ1万5000人。デジタル作品の制作を学ぶことができる初心者
向けのプログラミング教材「キッズコードレシピ」の利用者数は約80万人にまで成長しています。

石川さんは、福岡市の充実したスタートアップ支援が、2度の起業を支えてくれたと語ります。

「特に、2社目(キッズコードクラブ)を検討していた2010年代後半にかけて、福岡市ではたくさんのスタートアップ支援が整備されました。それも表面的な助成の支援だけではなく、新たな挑戦を促進するために既存の規制の見直しが行われる、スタートアップ都市として根本の仕組みから変えようする動きが見られます。起業家にとって非常に魅力的な環境に変わったと感じています」

FGNという“つながりの場”で想像を超えた協業へ

2017年にFGNが誕生。石川さんは同年からFGNに入居し、チームルームにオフィスを構えました。(現在はコワーキングスペースを利用)。石川さんは、FGNの一番の魅力に「つながり」を挙げます。

「FGNには、たくさんのスタートアップが集まっており、また視察やイベントなどで外部からもさまざまな人が訪れます。事務局の皆さんが声をかけてくれて、内閣府のスタートアップ視察で紹介していただいたり、意見交換会に参加したりする機会をいただいたりしました。FGNに入居し、さまざまな方とつながりを得られることは、まだ無名のスタートアップにとって非常に大切な経験です。自分たちからは到底アプローチできないような大手企業さんや経済団体さんからお声がけをいただき、さまざまな協業が実現しました」

FGNでは、各分野のスペシャリストからスタートアップ起業家に必要なスキルと知識を包括的に学ぶインキュベーションプログラム「FGN JUMPSTART PROGRAM」を毎年開催しています。石川さんは当時1期生として参加し、貴重な経験を得られたそうです。

「経営戦略やファイナンス、人事、法務のような、経営の“いろは”を体系的に学ぶことができた、貴重な機会でした。私は非営利のソーシャルな事業に取り組んでいますが、当時学んだスタートアップの経営ノウハウに無駄なも
のはひとつもなく、経営者としての視座や意識ががらりと変わりました。このときに一緒に学んだ起業仲間や講師陣とはいまも交流があります」

スタートアップエコシステム循環の担い手になりたい

社会性のある事業を展開しつつも「小さなことから始め、大きな社会的価値やインパクトをスピーディーに提供する」スタートアップ思考を大切にしていると石川さん。

「FGNには、夢をかなえられるまち・福岡市の中心的存在になってほしいです。小さな課題ながら大切な事業を手がける起業家にも目を向け、支援に注力してもらえれば、もっと福岡の底力が上がるのではないでしょうか」

目指すは、社会課題の解決に取り組むさまざまなスタートアップが、規模や立場を超えて協力する、スタートアップエコシステムの未来。「今後は私自身、スタートアップ事業の経験者として、次の挑戦者を支える立場になり
たいです」と語ります。


事務局コメント

「子どもに、格差のない教育を」という思いで入居された石川さん。教育とビジネスの両立に悩んでいた彼女に「スタートアップであることが夢の実現を邪魔するのなら、形にこだわらなくていい」と伝えたことを思い出しました。一般社団法人として成長している姿を見て、とてもうれしく感じています。(池田)