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不倫リレー 

類は友を呼ぶという言葉がある。
同じような考えや趣味を持った人が集まって仲良くなるという意味があるが、一緒に時間を過ごし考え方や趣味を共有していって友が類になっていくのかもしれない。

私の友人達の不倫リレーも類友ではなく、不倫話を聞き不倫へのハードルが下がったことで引き起こされてしまったと思っている。

不倫リレーの第一走者は大学時代ずっと付き合っていた彼氏と同棲手前で別れた友人から始まった。
転職した先で出会った年上の上司で子どもがいない家庭の持ち主が相手だった。
友人は彼のことが本当に好きで、不倫男にありがちな「夫婦関係は終わってて離婚するつもり」という第三者から見たら一ミリも信用できない言葉を本気で信じていた。
私は友人である彼女に会う度に不倫をやめるように話したが、彼女は全くやめる気がないというよりやめられないという感じだった。
不倫する方が悪いとは言えないほど、見ていてどうにもできないほど彼に恋をしていた。
しかし不倫が始まり2年経たないくらいに相手の奥さんにバレたことで終わりを迎えた。
彼女は職場を退職、慰謝料100万円を払うことになった。それでもその時は慰謝料さえ払えばまだ彼が自分の元に来ると信じていた。
もちろんそんなわけはなかったのだが。

私の周りで不倫したのは彼女が初めてだったので最初は衝撃を受けた。そんな馬鹿なことはやめるべきだと何度も話し、いかにその不倫男が卑怯かを伝えたが自分でやめることは最後までできなかった。
テレビや雑誌で見るのとは違うリアルな不倫話が私の結婚という夢にヒビを与えることになった。

第二走者は第一走者の友人の不倫を止めてた側にいた友人だった。
彼女はどちらかというと性に奔放な方で、数々の武勇伝を残してはいたが不倫は否定派にいた。
「不倫を続けるなら友達をやめる」とまで言っていた彼女は転勤した東京で幼い子どもがいる家庭を持った中途採用の男と不倫した。
止める側にいた友人のまさかの不倫。
リレーとは言ったがもはや第一走者と併走し始めたのである。
第一走者の友人と違うのは彼女はあくまでも不倫という刺激を楽しんでいる部分があった。きっと彼女は不倫男が家庭を捨てて自分の方に来てもすぐに別れたと思う。
私も一応不倫をやめるようには言ったが彼女が長く続くことはないと思っていたため、第一走者の友人の時ほど本気では話さなかった。
「彼と一緒に地獄に落ちるなら本望」という阿呆な名言も飛び出したが、結局1年未満で嫌気が差し出した頃に不倫男が転勤し終わりを迎えた。

私は結婚してかわいい子どもが産まれても男は平気で不倫するということを知った。
そして結婚の夢がまた一つ崩れたのである。

不倫リレーのアンカーは大学時代最も多くの時間を過ごし、社会人になっても定期的に会う友人だった。
もちろん彼女も前2人の不倫を知っていた。
第一走者の友人が慰謝料のために水商売をしていたことも、第二走者の友人の不倫旅行の写真も知っている。
そんな彼女が「嫌いにならないで」と不倫した話をした時は本当にショックだった。
相手は昔から彼女の話に出てくる相談にのってくれて頼りになる職場の先輩だった。彼女からその人の子どもの写真を見せてもらったこともあるくらいだったので、どうしてそうなったのか訳がわからなかった。
彼女は相手に好意はあったのだろうが、不倫男の家庭を壊すという気は全くなく、ちょうど良い楽な関係と言っていた。
私は友人である私に嫌われることより不倫をとったことが悲しかった。不倫の話を聞いた後、落ち着いてから本気の長文LINEを彼女に送った。彼女からはダメだとわかっているのでケジメをつけるから見守って欲しいと返信がきた。
結果的に彼女は自分自身で蹴りをつけ不倫は半年経たずで終了した。

面倒を見ていた後輩の女の子に数年後手を出した不倫は私の結婚という夢をさらに崩していった。

不倫はすぐそばにある。
いつ旦那が職場の女の人に手を出してもおかしくない。結婚式で神に誓った言葉など全く信用できない。
好きの最上位のかたちと思ったいた結婚は続かない。かわいい子どもがいても性欲には勝てない。
自分が選んだ相手が不倫するような人だったらどうしよう。
この不倫リレーにより結婚という夢がボロボロに崩れ去り、ネガティヴな感情が大きな割合を占めはじめた。
しかしおかしなことに不倫話を聞いていた私を置いて、第一走者も第二走者も今結婚している。
自分の相手は不倫をしないと思えるのは本当にすごい。羨ましい。ただ話を聞いている私はそんなこと全く思えていないのに。 

とりあえず私が閻魔様として友人を地獄行きと捌かなくていいように彼女たちにはしっかり徳を取り返していってほしい。

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