色彩豊かな世界の中で

好きな色が増えた。

華やかで、暖かくて芯が真っ直ぐな、一際目を引く色。コップとか、ペンとか、その色を見るとつい手に取ってしまって家には同系色の物で溢れている。
私の大好きな、赤。
私はこの色が世界一似合う人間を知っている。いや世界一は言い過ぎたかもしれない。撤回しよう、宇宙一似合うのだ。

そんな、赤色が銀河一似合うあほの坂田。という人間を好きになった私の話。

きっかけはほんの些細なことで。
当時、人生初のライブであるひきフェスに参戦した私は浦島坂田船のことが密かに気になっていた。「もっと4人のパフォーマンスを見てみたい」そう感じたのが全ての始まりだったと思う。そんな訳で仲の良い友人が浦島坂田船のチケットを余らせているという話を聞いた時は自分から行きたいと申し出た。当時の私の気持ちとしては「少し興味はあれどほぼほぼ付き添いのようなもの」くらいの感覚だったが今思えば天命だったのかもしれない。

そのライブを見に行った私がどうなったかは言うまでもないだろう。
あえて言葉にするとしたら"落ちた"のだ。視界にかかっていた靄が一瞬のうちに晴れるような、静かでいて確かな衝撃。

私はこの時、ペンライトを赤色に光らせていた。いくつか理由はあるが、一番はその存在感の大きさだろう。一時も目が離せないのだ。何かものすごい引力が働いているかのように。
私は「この人にずっと着いていくんだ」と確信していた。はっきりとした根拠はない。それでもそう思わざるを得ないライブだったのだと思う。

こうして私は底無しの沼に足を踏み入れた。

それぞれの時代にも、幸せはちゃんとあったんだ

これは坂田さんが作った絵本「キミに伝えたいこと」にある台詞だ。「昔」に戻って少年時代を謳歌していた主人公が、「今」の仲間と夢を追いかけている日々を思い出したときに言う、物語の軸になる言葉。

私はこの台詞が大好きだ。

坂田さんの「昔」を私はあまり知らない。当たり前のことだが、私より多くの年月を共にしているファンは沢山いる訳で、そんなどうしようもないことに苦しめられるときもある。

その度に、この台詞が私を救ってくれるのだ。
知らない時間は、ある。でも「今」私は坂田さんが好きで、坂田さんはそこにいる。好きなことを共有できる友人もいる。この事実はきっと変わらない。それならばあれこれ悩むよりも今の幸せを大事にしていきたいと思えるようになった。
大切なことはいつも坂田さんが教えてくれた。きっとこれからも私を支えてくれる言葉になるだろう。


素敵な世界を見せてくれてありがとう。辛い時苦しい時前を向いて手を引いてくれてありがとう。
歌ってくれてありがとう。

そんな沢山のありがとうを込めながらわたしは客席からステージへと精一杯の拍手を贈る。ペンライトは、大好きな赤色を光らせて。

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