見出し画像

画期的なAI作曲の新たな可能性

AI作曲といえば、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか?私にとっては「使いたいけど使いづらい存在」です。なぜならば、作品の著作権の取り扱いに法的リスクがあるから。

この記事を読んでいただいている皆さんの中には、今週話題となったSuno AIに興味を持った方もたくさんいらっしゃると思います。ただ、Suno AIの利用規約をどれだけの方が読んでいるかというと、おそらくほとんどの方が読んでいないでしょう。

利用規約って難しいから読みたくないですよね。その気持ち、ものすごくわかります。私もそうでした。でも法的なリスクを自分が背負うとなるとなったらどうでしょうか?

前置きが長くなりましたが、今日の本題はこちら。生成AIを使ったこちらのシステム「Melisma(β)」。その特徴は、サンプリング音源のようなプラグインタイプではなく、MusicXMLを使ってシステム経由でWAVファイルを生成できるところにあります。生成AIを使ったシステムでありながら商用利用できるという点も画期的です。

使いこなせられるようになれば、自分のDTM制作をさらにレベルアップできるかもしれません。今回のニュースで、この音声合成システムを使った音楽制作に新たな可能性を感じた私は、リサーチかたがたこの記事を書くことにしました。


Melisma(β)を作ったのはベンチャー企業

音大卒の先生がYouTubeで演奏配信。→わかる。
エンジニアがPythonで生成AIシステム作る。→わかる。
演奏家がPythonでシステム作る。→!?!?!?

記事中に出てきたお名前で作者がどなたかすぐに分かりましたが、その内容に衝撃が走りました。システムもさることながら、欲しい技術を自分で作った経緯に驚かざるを得ません。

「あったらいいな、こんなシステム」とアイディアを思い浮かべても、技術や資金繰りが叶わず実現まで到り着けない場合が多いでしょう。

プログラミングには夢があります。演奏や作曲と同じぐらい、世界にインパクトを与えることができる。演奏や作曲と異なるのは、人間を超越した演奏ができる可能性があるところです。まさに生成AIの本領でしょう。

>> Melisma(β)ホームページ

生成AIによって、同じフレーズでも生成ごとに違うニュアンスが表現できたりします。そして「AIの学習には、権利的にクリーンな専用の楽譜と演奏データを使用しているため、安心して商用利用可能と書かれています。この一文の意義はとても大きいですね。

マニュアルページに進むと、サンプルMusicXMLのダウンロードもできるようになっています。奏者への還元の話も出ており、システムの社会貢献性にも注目したいと思いました。

ところで、こちらのYouTubeが発信された頃から存じ上げていた中迫さん、演奏家と思い込んでました。リコーダーのポテンシャルの高さを小学生の皆さんに見せたいと強く思わせてくれた動画。

Melisma(β)の料金プラン

月間最大書き出し時間と月額です。詳しくはサイトで確認してみてください。

無料プラン10分→0円
開発応援30プラン30分→300円
開発応援60プラン60分→1,000円
開発応援150プラン150分→2,000円

Melisma(β)の使い方5ステップ

準備するもの:XML形式の楽譜ファイル(MusicXML)

  1. ユーザー登録

  2. ログイン

  3. Melisma(β)の生成ページでMusicXMLを取り込む

  4. 生成ボタンを押す

  5. 必要に応じて詳細設定(楽器やピッチなど)

注意点:MusicXMLの互換性には課題がある。

まだ検証途中で、とりあえずSibeliusとMuseScoreでは問題なく動作しています。Finaleについてはまだ未検証で、Doricoについては少し不具合が出ているので確認中です。

AIによる楽器サウンド合成システム、Melisma(β)が爆誕。
サンプリングでは不可能だったリアルさを実現

神楽音楽出版のMelisma(β)ページはこちら。

開発や保守には資金が必要ということで、我々はpixivFANBOXで応援もできます。プランは¥500/月〜。

Melisma(β)のデモサウンド。SoundCloudでチェックしてみましょう。

その他の参考情報

神楽音楽出版

神楽は「かぐら」と読むそうです。

音楽関連の書籍や楽譜の出版のほか、楽器関連商品の製造、サンプリング音源・サンプル素材の販売、楽器レンタル、レコーディングなどを行なっております。

公式Twitterより

Melismaの語源

メリスマ(Melisma)は音楽用語。歌詞の1節ごとに多くの音符が割り当てられる、表情豊かで装飾的なメロディー。

使ってみたいと思った理由

ここの所しばらくDTMに取り組めていませんが、Melisma(β)はちょっと試してみたい!!と思いました。私の手持ちにもクラシック風にアレンジしたい曲があるから。

私の作曲は、サンプルを組み合わせたり、脳内メロディーを手元にある音源で演奏したりというフリースタイル。ただいくつか弦楽器を使った曲(「ネトフリで流れてそうなイメージ」みたいに雰囲気で作った曲)や、技術さえあればオーケストラ風にしたかった曲もあります。

Deep Seaは、iPadで弦の画面を指で一生懸命こすって演奏するという、誰にも見せられない地味な作業から創り出された著作権フリーのBGMです。弦楽器を自分で演奏できたらいいのですが。

ちなみに、GarageBandだとMusicXMLはエクスポートできません。残念すぎる!全体の楽譜を一発出力できるようにしてくれたら絶対課金するのに!

Logic Proでは出来るんだそうです。

自分で作った曲のMusicXMLファイルがあったら、音源指定して何か別の本格的な音色の曲に変換できるのではないかと期待して、こう呟いたのでした。

DTMの手技として、音声合成システムの使用は音楽の拡張には必要なことだと思います。「世の中に存在しない音を作ることも可能」というフレーズにもワクワク感がある。

もしかしたら新規サウンドのパイオニアになれるかもしれない。「この音はワシが最初に作ったんじゃよ。」とか言えます。自分の名前だって付けられてしまうかも。もし作れたら「赤子が眠りに落ちやすい音」を作って、地球上すべての国の寝かしつけ需要に応えたい。

楽譜ソフトの種類と課金有無

まったく分からない時は
おすすめから選ぶ派。

楽譜ソフトを全く触ったことのない私は、まず初心者向けの無料で使える楽譜ソフトがあるかどうかリサーチしました。ChatGPTで。そしてその回答を元に、1つずつ公式サイトで調べました。いずれも無償版から使えるシステムのようです。

  1. FinaleフィナーレFinaleは、世界標準の楽譜作成ソフトウェア。Windows・Macいずれにもインストール可能なハイブリッド版。

  2. Sibeliusシベリウス:デスクトップ版はMicrosoft WindowsとmacOSに、モバイル版はiPadとiOSに対応。

  3. MuseScore:MuseScoreは無料で利用できる楽譜作成ソフト。Windows、Macに対応。

  4. Dorico:Doricoはスタインバーグによって開発された楽譜ソフト。

  5. Notion:Notionは驚きのフリー楽譜作成&作曲アプリ。

利用するのはNotionの可能性が高くなってきました。

おわりに

Melisma(β)は、作者が専門性・演奏を極めてきたからこそ実現可能なプログラムと言えます。システムが今後進化することで、奏者や作曲家に新たな仕事が生まれることが楽しみです。


この記事を書いた人はこんな記事も書いています。

いいなと思ったら応援しよう!

fm23🎅
読んで下さりありがとうございます。読みやすいコラムを目指します。