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ぬくめし 随想500字

あまり耳なじみのないことばだったので、すぐにはピンとこなかったのですが「ぬくめし」が「ひやめし」の反対語だとわかると、突如として眼のまえに茶碗に盛られたあたたかいご飯が、立ち昇る湯気とともに顕現した。

ぬくめしも、ひやめしも、堅苦しい熟語ではなく肌感覚のある言葉なのがいい。

いまの世の中レンジがある、炊飯器も保温機能がある。ある程度のぬくめしが常態となると、ぬくめしのありがたみは希薄になるかもしれない。

かまどでお米を炊いていた時代、ぬくめしは時とともにひやめしになるばかり。そうゆう時代はご飯があたたかいだけで幸せな気分になれそう。

空腹ならば、ぬくめしに一品あるとそれでもう十分ということもあるか。
沢庵和尚は家光をかなり待たせて待たせたうえで空腹にさせてからご飯と大根のぬか漬けでもてなした。これが空きっ腹の家光にとって最高の美食となった。タクアンの由来の逸話だそうだ。

タクアンもいいが塩気のある方が好み。
去年の健康診断で血圧高めと指摘されたが実感なし。塩気は好きだがそんなに摂ってるかなぁと、ある日冷蔵庫を開けて気がついた。そこには梅干、佃煮、漬物、塩辛らが並んでいた。
合点がいったがやめらんない。


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