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久保田万太郎のはかなき夏
こんばんわ 唐崎夜雨です
八月十九日に 久保田万太郎の夏 と題して
クボマン先生の俳句を
いくつかご紹介しました
本日はその続編です
先の俳句は食べ物ばかりで
こんどは別な角度から
夏を感じていただきましょう
暑さよりも涼しさかしらん
◇ かずかずの亡き人おもふ蚊遣かな
◇ 若きひと死んで哀しき蛍かな
ホタルは亡くなった人の
魂などと言われる
蝶もそういわれるね
◇ 叱られて三味線さらふ浴衣かな
◇ うすものを著て前生をおもひけり
前生(さきしょう)は前世のこと
今生(こんじょう)はいまの世
後生(ごしょう)が来世
◇ 行末のことおもはるる端居かな
端居(はしい)とは
風通しのよい縁側などにいること
◇ 知らぬまにすこし眠りぬ夜の秋
◇ 親一人子一人蛍光りけり
◇ 梅雨ふかし猪口にうきたる泡一つ
◇ あぢさゐのいろ濃きうすき宿世かな
宿世(すくせ)
前世のことであるが
前世からの因縁ととるべきか
◇ わが老の業はねむれずあけやすき
◇ 何か世のはかなき夏のひかりかな
◇ 日に一度いたむ胃夏に入りにけり
◇ 一生を悔いてせんなき端居かな
◇ 亡き人に肩叩かれぬ衣がへ
◇ 黄泉の火をやどして切子さがりけり
と今回はいささか寂寥感あふれる句ばかり
になりました
クボマン先生のこうゆう俳句に実は惹かれてます