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目を閉じると、広がる世界
企画メシ第4回、「対話の企画」は、ダイアログ・イン・ザ・ダークの暗闇の中のアテンドとして活躍する、檜山晃(ひやまっち)さんをゲスト講師にお迎えした講義でした。
今日の #企画メシ 盲点ハンター・ひやまっちこと檜山晃さんからの課題は「パラリンピックを耳で観戦し、発見を40秒で話す」。80以上の音声ファイルに「ひとつひとつ濃密でなかなか進まなかった」と満面の笑顔な檜山さんと、各々どう着目したかという企画生とのやりとりも楽しんだ #対話の企画 でした。 pic.twitter.com/dNhcB6jsjA
— BUKATSUDO (@bukatsu_do) September 11, 2021
ツイートにもある通り、今回の事前課題はこちら。
目を閉じてパラリンピックを「音」で観戦してきてください。
そこで発見したことを「40秒」で話してください。
いつも見えている自分が目を閉じることで気づいたこと、
いつも目を使っていない人が見ている世界から感じたこと
ここに書き留めておこうと思います。
目を閉じることで、自由になる
今回の課題に取り組むにあたって、私が意識したのは2つ。
・ とにかく感じたことを、素直に話すこと
・ 可能な限り視覚情報を入れず、耳だけでどれだけイメージが描けるかトライすること(檜山さんの視点に少しでも近づけるかも?)
できる限り視覚情報を持っていないものを、ということで、これまでに見たことがない競技「馬術」を観戦してみました。
最初に、音声だけでルールや概要の説明を聞き、なんとか理解して、実際の試合観戦へ。
部屋でひとり、
目を閉じると、明かりがまぶしくて集中できないので、急いで部屋を暗くする。
……
再生ボタンを押し、暗闇の中で一生懸命に音を拾おうとするものの、何も見えてきません。気づいたら1組目の演技が終わっていました。
……
でも、根気強く聞き続けていると、だんだん音が見えるようになってきました。
カラン、カランと聞こえるのは演技開始の合図、
ザッ、ザッ、とリズミカルに聴こえるのは、馬の足音、
それにあわせて、フッ、フッ、と馬の鼻息、
ジジジジ、と聞こえるセミの声
そうか、馬の足音はパカラッかと思っていたけど、地面が固くないからパカラッではなくてザッザッなのか。演技中は馬の鼻息がリズミカルだけど、演技終わると、ちょっとだらしない感じの大きい鼻息がするな。やっぱ馬も演技後は緊張が解けた感じがするのかな。セミが鳴いているってことは野外でやっていて、雨は降っていないのかな。
わたしが、少しずつ、音を見ることができるようになったのは、なぜか?
それは、正確に音を捉えることができた、というよりも、自分自身が音だけの世界に適応して、想像を膨らませる自由さや無責任さを備えることができた、ということかな、思っています。
今回の課題に取り組む中で、頭に描いた映像は、もしかすると大半が現実とは違う映像かもしれない。でも、それでもいっか、それも面白い、と思うことができました。
「盲点からのアプローチ」で、檜山さんがこんなことを言っていました。
「水球の審判がどこにいるか、というのが最近気になっているんです。上から見ているの?まさか水の中にいるの?と迷宮に入っていて。でも、誰かに教えてもらったら、あ~そうなんだ、で終わってしまうから、まだ知らなくていいかな。」
分からないから面白い、余白があると自由になれる。
目を閉じることで、自由になり、広がっていく世界があることを、実感することができました。
暗闇では、世界の法則性が変わる
当日の講義では、阿部広太郎さんのファシリテートのもと、檜山さんの学生時代のこと、現在のお仕事の話、日常で感じていることなど、幅広くお話を聞きました。
生まれてから視覚で物事を捉えたことがない檜山さんが、普段みている見ている世界は、私が想像していたよりも、遥かに大きくて鮮やかな世界でした。
盲学校の体育の授業は、グラウンドを走るしプールも入る。遠近法を視覚に頼らず、体感的に教えてくれる先生がいる。地理は模型の地図を触って理解する。目で見なくても、「昨日テレビ見た?」と聞く。一目惚れならぬ、一耳惚れをしたり、足音に恋することもあるらしい。
大学を卒業後は、ダイアログ・イン・ザ・ダークのアテンドを長年務め、たくさんの人を暗闇の中へ案内してきた檜山さん。暗闇の中での気づきのうち、「世界の法則性」という言葉が印象的でした。
見えない人は暗闇に入ってもそのままだけど、もともと見える人達は何もできなくなる。1歩を踏み出すのも怖くなる。
暗闇の中でも、その人自身は変わらないけど、世界の法則性が変わり、関係性が変化する。
私たちが日常で当たり前に感じてきた関係性って、よくも悪くも意外と脆いもの。いま見えている関係性に縛られて極端に委縮したり、苦しくなったりする必要はない。そんな風に言われた気分になりました。
*Special Thanks!*
前回7月末にnoteを書いてから1か月くらい、どうしてもnoteを書く気になれませんでした。ある程度の期間書かないと、どんどん更新しづらくなっていく私だったのですが、企画メシライター部で春花さんが「みんなでnote書きませんか?」「一旦、今の自分を受け入れる、という感じで」と背中を押してくださったおかげで、今回書くことができました。ありがとうございました!