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#035 小林鞄 トートバッグのその後
『鞄談義2』で特集した鞄職人小林さん製作のトートバッグ。昨年の7月に購入したものだ(#013で紹介)。購入したときは白色に近いベージュだったのだが少し飴色になってきた。ベルトを上げると、日に当たらないところが白色のままであることが確認できる。
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小学生の頃、夏になると川で毎日泳いだ。プールではない。川だ。島根県の西に流れる高津川。ダムがない唯一の川として知られる清流だ。水に潜ると目の前を鮎が泳いでいた。鮎は最も身近な魚だった。喉が渇けば川の水を飲んだ。泳ぎ疲れたら河原に上がり水切りをやった。平たい小石を探し、回転をかけて水平に水面ギリギリに投げる。石は水面をピョンピョンと跳ねながら飛んでいく。 そんなことを連日やっていると、日焼けして日に日に肌の色が黒くなる。しかし、日に当たらない水着の下は白色のままだった。泳ぎ終わって着替えるとき、水着を脱いだ裸はまるで白色のブリーフをはいているように見えて、その姿を仲間たちとお互いに笑い合ったものだ。
小林鞄のトートバッグのベルトの跡を見ていたら、子どもの頃の思い出と結び付いた。
このトートバッグも今後、新たな思い出が染み込んでいくことだろう。